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TCP/IP(ティーシーピーアイピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

TCP/IP(ティーシーピーアイピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ティーシーピーアイピー (ティーシーピーアイピー)

英語表記

TCP/IP (ティーシーピーアイピー)

用語解説

TCP/IPは、インターネットにおける事実上の標準プロトコル群であり、現代のあらゆるネットワーク通信の基盤を形成している。プロトコルとは、コンピューターやネットワーク機器間で情報をやり取りする際に用いられる、あらかじめ定められた通信手順や規約の集合体である。TCP/IPは単一のプロトコルではなく、複数のプロトコルが階層的に連携して機能する「プロトコルスタック」の総称として理解される。この技術があるからこそ、異なるメーカーの機器や異なるオペレーティングシステムが動作するコンピューターが、世界中で相互にデータを送受信できるのである。システムエンジニアを目指す上で、TCP/IPの仕組みを理解することは、ネットワークの動作原理を把握し、アプリケーション開発やインフラ構築における問題解決能力を高めるために不可欠な基礎知識となる。

TCP/IPは、通信に必要な機能を役割ごとに分割し、階層構造として定義されている。これにより、特定の層のプロトコルが変更されても、他の層に与える影響を最小限に抑え、システムの柔軟性と拡張性を高めている。一般的には「TCP/IPモデル」と呼ばれる4つの層に分類して説明されることが多い。これは、国際標準化機構(ISO)が定めた7層からなる「OSI参照モデル」を簡略化したもので、それぞれの層が特定の通信機能を担当する。

最上位に位置するのが「アプリケーション層」である。この層は、ユーザーが直接利用する多様なネットワークサービスを提供するプロトコル群を包含する。ウェブブラウザで情報を閲覧するためのHTTP(Hypertext Transfer Protocol)、ファイルを転送するためのFTP(File Transfer Protocol)、電子メールの送受信に利用されるSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol version 3)、そしてドメイン名(例:www.example.com)をIPアドレス(例:192.0.2.1)に変換する役割を担うDNS(Domain Name System)などが、この層の代表的なプロトコルである。アプリケーション層のプロトコルは、下位層が提供する通信サービスを利用して、それぞれのアプリケーションの目的を達成する。

次に「トランスポート層」は、アプリケーション層からのデータを、ネットワークを介して送信元から宛先へ、信頼性高く、または効率的に転送するためのプロトコルを提供する。この層の主要なプロトコルはTCP(Transmission Control Protocol)とUDP(User Datagram Protocol)である。TCPは、信頼性の高いデータ転送を保証するプロトコルである。通信を開始する前に送信元と宛先の間で「コネクション」(接続)を確立し、データを小さな「セグメント」に分割して送信する。送信されたセグメントが確実に相手に届いたかを「肯定応答(ACK)」で確認し、届かなかった場合には自動的に再送する機能を持つ。また、データが到着した順序を保証し、ネットワークの混雑状況に応じて通信速度を調整する「フロー制御」や「輻輳制御」も行う。これにより、ウェブ閲覧やファイル転送など、データの完全性が重視されるサービスで利用される。一方、UDPはコネクションを確立せず、データの到達確認や再送を行わない「コネクションレス型」のプロトコルである。そのため、信頼性は低いものの、オーバーヘッドが少なく高速なデータ転送が可能である。音声通話や動画ストリーミング、オンラインゲームなど、リアルタイム性が重視され、多少のデータ損失が許容される通信に適している。

その下位に位置するのが「インターネット層」である。この層は、異なるネットワーク間(インターネット全体)でデータを転送(ルーティング)するためのプロトコルを担う。この層の中心的なプロトコルがIP(Internet Protocol)である。IPは、送信元と宛先の「IPアドレス」に基づいて、データを「パケット」(IPではデータグラムとも呼ばれる)と呼ばれる単位に分割し、適切な経路を選択して転送する役割を果たす。インターネット上のすべてのネットワーク機器には一意のIPアドレスが割り当てられており、ルーターと呼ばれる特殊な機器がこのIPアドレスを参照し、パケットを最適な経路で次の中継地点へと送り出す。IP自体はデータの到達を保証しない「ベストエフォート型」のプロトコルであり、信頼性はトランスポート層のTCPによって補完されることが多い。

最下位層は「ネットワークインターフェース層」(またはリンク層、データリンク層、物理層)である。この層は、物理的なネットワーク媒体(イーサネットケーブル、Wi-Fiの電波など)にデータを送受信するためのプロトコルやハードウェアを扱う。具体的には、コンピューターのネットワークインターフェースカード(NIC)や、物理的なケーブル、無線LANアクセスポイントなどがこの層の要素となる。この層では、インターネット層から受け取ったパケットをさらに「フレーム」と呼ばれる単位に変換し、電気信号や光信号、電波といった物理的な形式で媒体に送出する。また、フレームには、同じローカルネットワーク内の機器を一意に識別するための「MACアドレス」(Media Access Control address)が付与される。イーサネットやWi-Fi(IEEE 802.11)といった技術が、この層のプロトコルに該当する。

これらのTCP/IPプロトコル群は、連携して複雑な通信を実現している。例えば、ユーザーがウェブブラウザでウェブサイトにアクセスする際、まずアプリケーション層のHTTPプロトコルがウェブページの要求を生成する。この要求は、DNSプロトコルによってドメイン名がIPアドレスに変換された後、トランスポート層のTCPによって信頼性のある接続が確立され、データがセグメントに分割される。次に、インターネット層のIPがこれらのセグメントにIPアドレスを付与してパケットとしてカプセル化し、ルーターを介して目的のウェブサーバーのネットワークまでルーティングされる。最後に、ネットワークインターフェース層がパケットをフレームに変換し、物理媒体を通じてウェブサーバーに送信する。ウェブサーバーからの応答も、同様の逆のプロセスを経てユーザーのブラウザに表示される。

このように、TCP/IPは階層化された設計とオープンな標準化により、異なるシステム間での普遍的な通信を可能にし、インターネットの発展と普及を強力に推進してきた。その堅牢性と拡張性は、現在のクラウドコンピューティングやIoT(モノのインターネット)といった最先端技術においても不可欠な基盤であり続けている。システムエンジニアとして、このTCP/IPの各層の役割とそこで動作するプロトコルの機能を深く理解することは、将来にわたって多様なITシステムを設計、構築、運用、そしてトラブルシューティングするために極めて重要なスキルとなる。

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