OPAC(オーパック)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
OPAC(オーパック)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オンライン公共図書館目録 (オンラインコウキョウトショカンモクロク)
英語表記
OPAC (オーパック)
用語解説
OPACとは、「Online Public Access Catalog」の略で、図書館が所蔵する資料の目録情報を、インターネット経由で利用者が検索できるように提供するシステムの総称である。これは、かつて図書館に設置されていた、資料の書名や著者名などが書かれたカードを分類・整理した「カード目録」を、電子化し、ウェブ上で公開したものと理解するとわかりやすい。システムエンジニアを目指す初心者にとって、OPACは身近なウェブアプリケーションの一つであり、データベース、検索エンジン、ウェブインターフェースなど、様々なIT技術が組み合わされて実現されていることを理解することは重要だ。
OPACの主な機能は、利用者が図書館の資料を効率的に探し出すことにある。具体的には、書名、著者名、出版社名、ISBN(国際標準図書番号)、件名、分類番号といった多様な検索キーを使って、目的の資料を検索できる。高度な検索機能として、複数のキーワードを「かつ(AND)」「または(OR)」「ではない(NOT)」といった論理演算子で組み合わせる論理検索や、キーワードが前方一致、後方一致、部分一致、完全一致のいずれかで合致するかを指定できるオプションも提供されることが多い。検索結果は、資料の書誌情報(書名、著者名、出版社、出版年など)だけでなく、その資料がどの図書館(分館)に所蔵されているか、現在貸出中か、利用可能な状態か、貸出中であればいつ返却予定かといった所在情報や貸出状況も表示される。これにより、利用者は必要な資料があるかどうか、そしてすぐに手に入るかどうかを一目で確認できる。
さらに、多くのOPACでは、利用者がログインすることで、パーソナルなサービスを利用できる機能も提供されている。例えば、現在借りている資料の一覧を確認したり、貸出期間の延長を申請したり、読みたい資料が貸出中の場合に予約したり、図書館に所蔵されていない資料の購入をリクエストしたりといった機能だ。また、過去の貸出履歴や、お気に入りの資料を登録できる「マイライブラリ」のような機能を持つものもある。これらの機能は、利用者一人ひとりに最適化された情報提供とサービスを実現するためのものであり、利用者の利便性を飛躍的に向上させている。
システムとしてのOPACは、単独で存在するわけではなく、多くの場合「図書館システム(ILS: Integrated Library System)」と呼ばれる、図書館運営の様々な業務を統合的に管理するシステムの一部として機能する。ILSは、資料の購入・受入、目録作成、貸出・返却管理、利用者管理など、図書館業務全般をカバーしており、OPACはその中で、特に利用者に向けた情報提供インターフェースの役割を担っている。OPACの検索対象となる書誌情報や利用者情報は、ILSの中央データベースで一元的に管理されており、OPACはそこから必要な情報を取得して表示する形となる。
技術的な観点から見ると、OPACは典型的なウェブアプリケーションとして構築されている。フロントエンドはHTML、CSS、JavaScriptなどで構成され、利用者が操作するウェブブラウザ上で動作する。バックエンドはJava、PHP、Python、Rubyといったプログラミング言語と、それらを効率的に開発するためのフレームワークを用いて開発されることが多く、データベースサーバー(例えばMySQL、PostgreSQL、Oracleなど)と連携して、膨大な蔵書データを管理する。検索機能の性能向上や柔軟な検索を実現するために、ElasticsearchやApache Solrのような全文検索エンジンが採用されることも少なくない。
図書館の書誌データを扱う上で重要な標準規格として、「MARC(Machine Readable Cataloging)」フォーマットがある。これは、書名、著者名、出版情報、件名、分類など、資料に関するあらゆる情報をコンピュータで処理しやすい形式で記述するための国際的な標準であり、OPACはこのMARCデータを内部的に利用、またはデータベースに変換して格納している。異なる図書館システム間で書誌情報を交換するための「Z39.50」プロトコルや、それをウェブサービス化した「SRU/SRW(Search/Retrieve via URL/Web Service)」といったプロトコルも、相互運用性を確保する上で重要な役割を果たす。
OPACの開発や運用においては、システムエンジニアとしていくつかの重要な考慮点がある。まず、ユーザビリティだ。膨大な資料の中から目的のものを簡単に見つけ出せるよう、直感的で分かりやすいユーザーインターフェース設計が求められる。次にパフォーマンスで、大量の利用者が同時にアクセスしても、快適な検索速度を提供できるかという点が重要だ。セキュリティも欠かせない要素であり、利用者の個人情報保護や、システムへの不正アクセス防止策が講じられる必要がある。また、視覚障害者や高齢者など、様々な利用者が問題なくシステムを利用できるようなアクセシビリティ対応や、多言語環境に対応したグローバルな運用も考慮されるべき点である。
OPACは、単なる蔵書検索システムというだけでなく、図書館が提供する情報サービスの「顔」として進化を続けている。近年では、利用者のレビューや評価、タグ付け機能、ソーシャルメディアとの連携といったWeb 2.0の要素を取り入れた「ソーシャルOPAC」も登場し、よりインタラクティブな情報探索体験を提供しようとする動きがある。API(Application Programming Interface)を通じて外部サービスとの連携を強化することで、図書館の枠を超えた情報共有や新たなサービス創出の可能性も広がっている。システムエンジニアにとってOPACは、データベース、ウェブ技術、情報検索、UX/UI設計、標準化といった多岐にわたる技術要素が結集した、実践的なシステム開発の良い学習対象と言えるだろう。