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PowerHA(パワーエイチエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PowerHA(パワーエイチエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

パワーハイ (パワーハイ)

英語表記

PowerHA (パワーハー)

用語解説

PowerHAは、システムの可用性を高めるためのクラスタリングソフトウェアの一つである。システムの停止時間を極力短くし、ビジネスの継続性を確保することを目的とする「高可用性(High Availability: HA)」を実現するために利用される。サーバーの故障やソフトウェアの障害、ネットワークの問題など、予期せぬトラブルが発生した場合でも、自動的に処理を別のサーバーへ引き継ぎ、サービスが停止する時間を最小限に抑える役割を担う。主にIBMのUNIX系OSであるAIX環境で利用されることが多く、以前は「HACMP (High Availability Cluster Multi-Processing)」という名称で知られていた。基幹業務システムやデータベースなど、停止が許されない重要なシステムにおいて、その安定稼働を支える非常に重要なソフトウェアである。

PowerHAは複数のサーバー(これらをノードと呼ぶ)を一つのグループとして連携させ、互いの状態を監視し合うことで高可用性を実現する。基本的な仕組みとしては、通常時にアプリケーションやサービスを実行している「アクティブノード」と、そのアクティブノードに障害が発生した場合に備えて待機している「スタンバイノード」という構成が一般的である。これらのノード間では、「ハートビート」と呼ばれる定期的な信号のやり取りが行われる。このハートビートが途絶えたり、アクティブノード上で実行されているアプリケーションやOS自体に異常が検知されたりすると、PowerHAは障害が発生したと判断する。

障害が検知されると、PowerHAは自動的にフェイルオーバー処理を開始する。フェイルオーバーとは、障害が発生したアクティブノードから、待機していたスタンバイノードへとサービスやアプリケーションの実行環境を切り替えるプロセスである。この際、クライアントからの接続を受け付けるためのIPアドレスや、アプリケーションが利用する共有ディスク上のデータなども、スタンバイノードに引き継がれる。これにより、ユーザーはサービスが一時的に途切れたように感じるかもしれないが、システム全体としては短い時間で復旧し、サービスが継続される。この一連の切り替え処理が、人間の手を介さずに自動で行われる点がPowerHAの大きな特徴である。

PowerHAは、さまざまな種類のリソース(資源)を管理し、それらをグループ化してフェイルオーバーの単位とする機能を持つ。「リソースグループ」と呼ばれるこの単位には、IPアドレス、アプリケーション、アプリケーションが利用するファイルシステム(共有ディスク上に配置される)、ボリュームグループなどが含まれる。障害が発生した際には、このリソースグループ単位でアクティブノードからスタンバイノードへと自動的に引き継がれるため、関連するサービス全体を漏れなく移行できる。

また、PowerHAは単なるサーバーの故障だけでなく、ネットワークインターフェースの障害や、ディスクサブシステムの障害、さらには特定のアプリケーションプロセスが停止した場合など、多岐にわたる障害を検知する機能を持つ。これらの障害検知は、ICMPピングによるネットワーク経路監視、ディスクへのアクセス可否の監視、アプリケーションが特定のポートで応答しているかの監視など、複数の方法を組み合わせて行われることで、高い精度と信頼性をもってシステムの異常を捉える。

高可用性クラスタリングソフトウェアであるPowerHAを導入するメリットは多岐にわたる。最も重要なのは、予期せぬシステム停止によるビジネスへの影響を最小限に抑え、継続性を確保できる点である。これにより、顧客へのサービス提供が中断するリスクを低減し、企業の信頼性を維持することができる。また、計画的なメンテナンス作業を行う際にも、手動でリソースグループをスタンバイノードに切り替える「計画的フェイルオーバー(スイッチオーバー)」を利用することで、システムのサービス停止時間を最小限に抑えながら安全に作業を進めることが可能となる。

PowerHAのような高可用性クラスタを構築するには、単一のサーバーを構築するよりも複雑な設計と構築作業が必要となる。具体的には、複数のサーバー、共有ストレージ、冗長化されたネットワークなどが求められ、初期投資も大きくなる傾向がある。しかし、そのコストと複雑さは、システム停止がもたらすビジネス上の損失を考慮すれば、十分に価値のある投資と見なされる。構築後も、定期的なフェイルオーバーテストを実施し、万が一の障害発生時に確実に機能することを確認することが運用上非常に重要となる。このようにPowerHAは、企業の重要なシステムを守り、常に稼働し続けることを可能にするための強力なツールである。

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