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Quad9(クアッドナイン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Quad9(クアッドナイン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

クアッドナイン (クアッドナイン)

英語表記

Quad9 (クアッドナイン)

用語解説

Quad9は、インターネットを利用する際に必要となるドメインネームシステム(DNS)サービスの一つであり、特にその高いセキュリティとプライバシー保護機能、そして高速性によって注目を集めているパブリックDNSサービスである。世界中のユーザーが無料で利用できる。その象徴的なIPアドレスである9.9.9.9は、サービスの名称の由来にもなっている。

インターネットでウェブサイトを閲覧する際、私たちは通常「google.com」のようなドメイン名を入力するが、コンピューターはドメイン名を直接理解することはできない。コンピューターは「172.217.160.142」のようなIPアドレスという数字の羅列で通信を行う。このドメイン名をIPアドレスに変換する役割を担うのがDNSである。私たちがインターネットに接続する際に、通常はインターネットサービスプロバイダ(ISP)が提供するDNSサーバーを自動的に利用しているが、Quad9のようなパブリックDNSサービスを利用することで、より安全で快適なインターネット環境を構築できるのである。Quad9を導入することで、ユーザーは悪意のあるウェブサイトへのアクセスを自動的にブロックされ、プライバシーが保護された状態でインターネットを利用できるようになる。

Quad9が提供する主な機能は、その堅牢なセキュリティ機能に集約される。Quad9のDNSサーバーは、世界中のセキュリティベンダーや脅威インテリジェンスプロバイダーから提供される最新の脅威情報に基づいて、膨大な悪意のあるドメイン名のリストを管理している。このリストには、マルウェアを配布するサイト、フィッシング詐欺を仕掛けるサイト、ランサムウェアのC2(コマンド&コントロール)サーバー、スパイウェア、ボットネットに関連するドメインなどが含まれる。ユーザーがウェブサイトにアクセスしようとすると、そのリクエストはまずQuad9のDNSサーバーに送られる。Quad9は受け取ったドメイン名がこの脅威リストに存在しないかを高速にチェックし、もし悪意のあるドメインとして認識された場合、そのドメインに対応する正しいIPアドレスをユーザーに返さずに、代わりに「存在しない」というエラー情報や、安全なブロックページへのIPアドレスを返す。これにより、ユーザーのデバイスが悪意のあるサイトに接続されることを未然に防ぎ、潜在的な脅威から保護する。この防御はDNSレイヤーで行われるため、OSやブラウザの種類に依存せず、ネットワークに接続されたすべてのデバイスに効果が及ぶ点が大きなメリットである。

プライバシー保護もQuad9の重要な柱の一つである。Quad9はユーザーのDNSクエリログ(どのユーザーがどのドメインにアクセスしようとしたかという情報)を一切保存しないポリシーを徹底している。これは、ユーザーのオンライン活動履歴が第三者に追跡されたり、個人情報と紐付けられたりするリスクを排除するためのものである。さらに、Quad9はDNSSEC(DNS Security Extensions)をサポートしている。DNSSECはDNSの応答が改ざんされていないことを検証するための技術であり、これにより偽のDNS応答による誘導(DNSスプーフィング)からユーザーを保護する。また、近年のDNS通信のセキュリティ向上のためのプロトコルであるDNS over TLS (DoT) および DNS over HTTPS (DoH) にも対応している。これらのプロトコルを利用することで、ユーザーとQuad9サーバー間のDNS通信自体が暗号化され、ISPやネットワーク上の第三者によるDNSクエリの盗聴や改ざんを防止し、より一層プライバシーを強化することが可能となる。

Quad9の高速性は、そのグローバルなインフラストラクチャと先進的なネットワーク技術によって支えられている。世界各地に多数のDNSサーバーが分散配置されており、Anycastというルーティング技術を採用している。Anycastは、ユーザーからのDNSクエリを地理的に最も近いQuad9のサーバーに自動的に誘導する仕組みであり、これにより応答速度が大幅に向上する。結果として、ウェブページの読み込みが速くなり、インターネット利用全体の快適さが向上する効果も期待できる。

Quad9の利用方法は非常に簡単である。個人のパソコン(Windows、macOS、Linux)のネットワーク設定において、DNSサーバーのIPアドレスを「9.9.9.9」に手動で変更するだけで導入できる。また、家庭用のWi-Fiルーターの設定を変更することで、ルーターに接続されているすべてのデバイス(スマートフォン、タブレット、スマート家電など)に対してQuad9の保護を適用することも可能である。この手軽さが、技術的な知識があまりない初心者から、より高度なセキュリティを求めるITプロフェッショナルまで、幅広い層に受け入れられている理由の一つである。

Quad9は、スイスに本拠を置く非営利財団「Quad9」によって運営されている。特定の営利企業や政府機関の支配を受けない独立した組織であるため、その中立性とプライバシー保護への強いコミットメントが保証されている。これは、信頼性を重視するユーザーにとって大きな安心材料となる。Quad9は、単なる高速なDNSサービスにとどまらず、インターネットの安全性とプライバシーを向上させるための重要なインフラとして機能しているのである。

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