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SNMPコミュニティ名(エスエヌエムピー コミュニティ メイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

SNMPコミュニティ名(エスエヌエムピー コミュニティ メイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

SNMPコミュニティ名 (エスエヌエムピーコミュニティメイ)

英語表記

SNMP community string (エスエヌエムピー コミュニティ ストリング)

用語解説

SNMP(Simple Network Management Protocol)は、ネットワークに接続されたルーター、スイッチ、サーバー、プリンターなどの機器をネットワーク経由で監視・管理するための標準的なプロトコルである。これらの機器の状態を把握したり、設定を変更したりするために利用される。SNMPコミュニティ名とは、このSNMPプロトコルにおけるアクセス制御の仕組みの一つであり、SNMPマネージャー(監視・管理を行うソフトウェア)とSNMPエージェント(監視される側の機器)間の通信において、正規のアクセスを許可するための「パスワード」のような役割を果たす文字列である。これにより、不正なアクセスからネットワーク機器を保護し、管理情報を安全に保つための重要な要素となっている。システムエンジニアがネットワーク機器の監視設定を行う際には、必ずこのコミュニティ名を適切に設定する必要がある。

SNMPは、マネージャーとエージェントという二つの主要な要素で構成される。マネージャーはネットワーク上の複数のエージェントから情報を収集したり、設定を送信したりする。エージェントは、マネージャーからの要求に応じて自身の管理情報データベース(MIB: Management Information Base)に格納された情報を提供したり、設定変更を受け入れたりする。また、機器に異常が発生した際には、エージェントからマネージャーへ通知(トラップ)を送ることもできる。

SNMPコミュニティ名は、このマネージャーとエージェント間の通信が正当なものであるかを確認するために用いられる。具体的には、SNMPマネージャーがエージェントに対して情報の取得要求(Getリクエスト)や設定変更要求(Setリクエスト)を送る際、その要求メッセージの中にコミュニティ名を付加する。エージェント側では、あらかじめ設定されているコミュニティ名と、マネージャーから送られてきたコミュニティ名を比較照合する。この二つのコミュニティ名が完全に一致した場合にのみ、エージェントはその要求を受け入れ、要求された情報を提供したり、設定変更を実行したりする。もしコミュニティ名が一致しなければ、エージェントは要求を拒否し、通信は行われない。この仕組みによって、権限のない第三者による機器へのアクセスを防ぎ、セキュリティを確保している。

SNMPコミュニティ名には、主に二種類のアクセス権限が設定されることが一般的である。一つは「リードオンリー(Read Only)」コミュニティ名で、これはエージェントから情報を読み取る(取得する)ことのみを許可する。例えば、CPU使用率、メモリ使用量、ネットワークインターフェースのトラフィック量、稼働状況といった監視情報を取得する場合に利用される。この権限では、機器の設定を変更することは一切できないため、比較的安全性が高いと言える。もう一つは「リードライト(Read Write)」コミュニティ名で、これは情報の読み取りに加えて、機器の設定変更を許可する。例えば、ネットワークインターフェースの状態を有効化/無効化したり、特定のパラメータ値を変更したりする場合に用いられる。リードライト権限は、機器の動作に直接的な影響を与えるため、より高いセキュリティリスクを伴う。そのため、リードライトコミュニティ名は特別な場合に限り設定し、通常の監視用途ではリードオンリーコミュニティ名を使用するのがセキュリティ上のベストプラクティスである。

SNMPコミュニティ名は、その性質上、パスワードと同様に慎重に取り扱う必要がある。特にSNMPv1やSNMPv2cといったバージョンでは、コミュニティ名がネットワーク上を平文(暗号化されていない状態)で流れるため、パケットキャプチャツールなどを使用すれば容易に傍受されてしまう可能性がある。もしコミュニティ名が第三者に知られてしまった場合、その人物は正規のSNMPマネージャーになりすまし、リードオンリーコミュニティ名であれば監視情報を盗み見ることができ、リードライトコミュニティ名であれば機器の設定を不正に変更したり、サービスを停止させたりするなどの深刻な被害を引き起こす可能性がある。

このようなリスクを回避するために、コミュニティ名の設定においてはいくつかの注意点がある。まず、工場出荷時のデフォルトで設定されている「public」や「private」といった一般的なコミュニティ名は、必ず変更すべきである。これらのデフォルト名は広く知られているため、悪意のある攻撃者にとって格好のターゲットとなる。次に、推測されにくい、複雑な文字列をコミュニティ名として設定することが重要である。大文字小文字、数字、記号を組み合わせた十分に長い文字列の使用が推奨される。さらに、セキュリティを強化するためには、SNMPエージェントがSNMP要求を受け付けるソースIPアドレスを特定のマネージャーのIPアドレスに限定する設定と組み合わせることが非常に有効である。これにより、たとえコミュニティ名が漏洩したとしても、許可されたIPアドレスからの通信以外は受け付けないため、不正アクセスをより強固に防ぐことができる。

最も堅牢なセキュリティを実現するためには、SNMPv3の利用を検討すべきである。SNMPv3では、コミュニティ名の代わりにユーザー名とパスワードを用いた認証機構が導入され、さらに、通信内容の暗号化もサポートされている。これにより、平文でのコミュニティ名送信による盗聴のリスクや、なりすましのリスクを大幅に軽減することが可能となる。しかし、SNMPv3はSNMPv1/v2cに比べて設定が複雑になる傾向があるため、既存の環境や機器のサポート状況に応じて適切なバージョンを選択する必要がある。

システムエンジニアとして、ネットワーク監視システムを構築・運用する際には、SNMPコミュニティ名の役割と重要性を十分に理解し、セキュリティを考慮した適切な設定を行うことが不可欠である。これにより、安全で安定したネットワーク運用を実現することができる。

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