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UDID(ユーディーアイディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

UDID(ユーディーアイディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ユニークデバイス識別子 (ユニークデバイスシキベツシ)

英語表記

UDID (ユーディーユーアイディー)

用語解説

UDIDは、Unique Device Identifier(ユニークデバイスアイデンティファイア)の略であり、Apple製のデバイス(iPhone, iPad, iPod touchなど)それぞれに工場出荷時から割り当てられている、世界中で唯一無二の識別子のことだ。これは各デバイスを特定の個人とは直接結びつけずに、そのデバイス自体を一意に識別するために用いられる。かつてはアプリ開発者によって広範に利用されていたが、プライバシー保護の観点からAppleによってその利用が厳しく制限され、現在では限られた用途でしか使用されていない。

UDIDは、デバイスが持つ固有のシリアル番号やWi-Fi MACアドレスなどの情報を元に生成される40桁の英数字のハッシュ値である。この識別子はデバイスが物理的に存在し続ける限り変更されることはなく、iOSの再インストールやデバイスのリセットを行っても変わらないという特徴を持つ。システムエンジニアを目指す上でUDIDの歴史とそこから学べることは多い。iOSアプリ開発の黎明期には、アプリ開発者がユーザーのデバイスを一意に識別するための主要な手段としてUDIDが活用されていた。例えば、開発中のアプリを特定のテスターのデバイスにのみインストールするAd Hoc配信の際には、そのデバイスのUDIDをApple Developer Programに登録する必要があった。また、アプリ内でのユーザー行動追跡、広告の効果測定、特定のデバイスへの限定コンテンツ配信など、多岐にわたる用途で利用されていた。

しかし、UDIDの広範な利用は、やがてプライバシー侵害の問題を引き起こす可能性が指摘されるようになった。複数のアプリが同じUDIDを利用してユーザーの行動を追跡できるため、ユーザーのアプリ利用履歴や行動パターンが容易に統合・分析され、結果として個人の特定につながるリスクがあったからだ。例えば、異なる会社が提供する複数のアプリがUDIDを共有すれば、ユーザーがどのアプリをどれくらいの頻度で使っているかといった詳細なプロファイルを作成できてしまう。これは、ユーザーが意図しない形で自身のデータが収集・分析されることになり、大きな懸念事項となった。

このプライバシーに関する懸念を受け、AppleはUDIDの利用に対する規制を強化した。2011年頃からUDIDの利用を非推奨とし、開発者に対して代替手段への移行を促し始めた。そして2012年には、アプリ審査ガイドラインを改訂し、UDIDを利用する新規アプリの申請や既存アプリのアップデートを拒否する方針を明確に打ち出した。この決定により、ほとんどのアプリ開発者はUDIDの利用を停止せざるを得なくなり、よりプライバシーに配慮した代替識別子へと移行することになった。

UDIDの代替として登場した主な識別子には、IDFV (Identifier For Vendor) とIDFA (Identifier For Advertisers) がある。IDFVは、アプリのベンダー(開発会社)ごとに生成される識別子で、同じベンダーが提供する複数のアプリ間では共通のIDFVが利用される。しかし、異なるベンダーのアプリ間ではIDFVは異なり、ユーザーがそのベンダーの全てのアプリを削除するとリセットされるという特性を持つ。これにより、特定のベンダーのアプリ内での利用状況の分析には使えるが、複数のベンダーを横断してユーザーを追跡することはできない。一方、IDFAは、広告配信を目的とした識別子であり、ユーザーはiOSの設定からこのIDFAをリセットしたり、広告トラッキング自体を制限したりすることが可能だ。さらに、iOS 14.5以降では、アプリがIDFAにアクセスするためにはユーザーからの明示的な同意(App Tracking Transparency: ATT)が必須となり、ユーザー自身のプライバシーコントロールがより強力になった。その他、開発者がアプリ内で一時的に利用するUUID (Universally Unique Identifier) もあるが、これはアプリが削除されると消滅するため、デバイスの長期的な識別には向かない。

現在のUDIDの主な利用用途は、特定のテストデバイス管理やエンタープライズ(企業内)での利用に限定されている。例えば、Apple Developer Programを通じて開発中のアプリを特定デバイスにテストインストールするAd Hoc配信のプロセスでは、今でもそのデバイスのUDIDを登録する必要がある。これは、未リリースのアプリが承認された特定のデバイスにのみインストールされることを保証するためだ。また、企業のIT管理者が社用デバイスを一元管理するMDM (Mobile Device Management) ソリューションなどでは、内部的にUDIDを用いてデバイスを識別し、厳密な管理を行う場合がある。

システムエンジニアを目指す上でUDIDの事例は、デバイス識別子の利用がいかにデリケートな問題であり、プライバシー保護と利便性のバランスを考慮することが重要であるかを示している。将来アプリやシステムを設計・開発する際には、安易なデバイス識別子の利用がプライバシー侵害のリスクにつながることを常に意識しなければならない。IDFVやIDFAといった代替手段の特性を理解し、目的に応じて適切に使い分ける知識と、Appleをはじめとするプラットフォーム提供者のセキュリティおよびプライバシーポリシーの動向を常に把握しておくことが求められる。これは、信頼性の高い、そしてユーザーに受け入れられるシステムを構築するための基本的な考え方となるだろう。

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