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UHS-III(ユーエイチエススリー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

UHS-III(ユーエイチエススリー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ユーエイチエススリー (ユーエイチエススリー)

英語表記

UHS-III (ユーエイチエススリー)

用語解説

UHS-IIIとは、SDカードのデータ転送速度を向上させるために策定されたインターフェース規格の一つである。UHSはUltra High Speedの略であり、従来のSDカードでは対応できなかった高速なデータ転送を実現するために導入された。特に、8K解像度の動画撮影、VRコンテンツの記録、高解像度での高速連写など、大量のデータを瞬時に処理する必要があるアプリケーションの要求に応えるべく開発された。UHS-IIIは、このUHS規格の中で最も新しい世代の一つであり、UHS-I、UHS-IIに続く進化形として位置づけられる。

詳細に説明すると、SDカードの速度は、そのカードの物理的な能力と、カードとホストデバイス(カメラやカードリーダーなど)間のインターフェースの能力によって決定される。SDカードには、最低書き込み速度を保証するスピードクラス(Class 2, 4, 6, 10)、UHSスピードクラス(U1, U3)、およびビデオスピードクラス(V6, V10, V30, V60, V90)といった複数の速度表記が存在するが、UHS-IIIはこれらの速度クラスとは異なり、SDカードとホストデバイス間の「バスインターフェースの物理的な最大転送速度」を定義する規格である。

初代のUHS規格であるUHS-Iは、SDカードの既存のピン配置を利用し、最大バス速度104MB/sを実現した。これは、従来のSDカードが持つバス速度25MB/sと比較して大幅な向上であった。しかし、8K動画や高速連写などの大容量データ処理の需要が高まるにつれ、さらなる高速化が求められた。

そこで登場したのがUHS-IIである。UHS-IIは、SDカードの裏面に新しいピン列を追加することで、物理的なデータバスを増設した。この追加されたピン列は、専用の差動信号線として機能し、最大バス速度312MB/sという高速転送を可能にした。UHS-IIインターフェースを採用したカードは、UHS-Iや従来のSDカードインターフェースにも下位互換性を持つため、古いデバイスに挿入しても動作するが、その場合は対応するインターフェースの最大速度で動作する。

そして、UHS-IIの技術を基盤とし、さらなる高速化を目指して開発されたのがUHS-IIIである。UHS-IIIは、UHS-IIと同じくSDカードの裏面にある第二のピン列を利用するが、信号伝送技術の改良によって、その転送速度をUHS-IIの2倍である最大624MB/sまで向上させた。具体的には、Low Voltage Differential Signaling (LVDS) という技術を導入することで、同じ物理的なインターフェース上で、より高周波数でのデータ伝送と信頼性の高い通信を実現している。この技術的な進歩により、UHS-IIIはUHS-IIと同じ物理的なピン配置で、実質的にデータスループットを倍増させることに成功した。

UHS-IIIの登場は、特にプロフェッショナルな映像制作や写真撮影の現場に大きな恩恵をもたらす。例えば、圧縮されていない8K RAW動画のリアルタイム記録や、VR/ARコンテンツの制作・再生には、毎秒数百メガバイトにも及ぶ持続的な書き込み速度が必要となる。UHS-IIIは、こうした要求を満たし、データのボトルネックを解消することで、よりスムーズなワークフローと高度な表現を可能にする。また、大量のRAW画像を高速で連写する際にも、カメラのバッファからカードへのデータ転送が迅速に行われるため、撮影機会を逃すことなく連続撮影が可能になる。

システムエンジニアを目指す初心者にとっては、UHS-IIIのようなインターフェース規格が、ハードウェアとソフトウェアの性能を最大限に引き出す上でいかに重要であるかを理解することが不可欠である。高速なCPUやGPU、大容量のストレージがあっても、それらをつなぐインターフェースがボトルネックとなれば、システム全体のパフォーマンスは制限されてしまう。UHS-IIIは、ストレージデバイスのインターフェース設計において、物理層の改良だけでなく、信号処理技術の進化によって速度向上を図るというアプローチを示している。

ただし、UHS-IIIの恩恵を最大限に受けるためには、SDカードだけでなく、それを扱うホストデバイス(カメラ、PCのカードリーダーなど)もUHS-IIIに対応している必要がある。UHS-III対応のカードをUHS-II対応のデバイスに挿入した場合、速度はUHS-IIの上限である312MB/sに制限される。同様に、UHS-I対応のデバイスではUHS-Iの上限104MB/sとなる。つまり、システムの性能は最も遅いコンポーネントによって律速されるという原則がここでも当てはまる。適切なシステム設計とコンポーネントの選択が、期待されるパフォーマンスを引き出す鍵となる。今後のIT環境において、高解像度化やデータ量の増大は避けられない傾向であり、UHS-IIIのような高速インターフェースの重要性はさらに増していくだろう。

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