UPN(ユーピーエヌ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
UPN(ユーピーエヌ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユーザープリンシパル名 (ユーザープリンシパルメイ)
英語表記
UPN (ユーピーエヌ)
用語解説
UPNとは、User Principal Name(ユーザープリンシパル名)の略であり、主にMicrosoft Active Directory(アクティブディレクトリ)環境におけるユーザーアカウントを一意に識別するための名前である。これはユーザーがWindowsコンピューターやネットワークサービス、クラウドサービスなどにログオンする際に使用する認証情報の一つで、一般的には電子メールアドレスに似た形式をしており、ユーザーにとって非常に覚えやすいという特徴を持つ。
UPNは、通常「ユーザー名@ドメイン名」のような形式で表現される。例えば、「tarou.yamada@contoso.com」といった形である。この「@」より前の部分をUPNプレフィックス、「@」より後の部分をUPNサフィックスと呼ぶ。UPNプレフィックスはユーザーアカウントを識別する名前であり、必ずしもユーザーの表示名やログオン名(sAMAccountName)と一致している必要はない。管理者はユーザーにとってわかりやすい任意の文字列を設定できる。一方、UPNサフィックスは、そのユーザーアカウントが存在するActive Directoryフォレストのドメイン名、または管理者が追加で登録した代替のドメイン名が使用される。これにより、複数のドメインが存在する大規模なActive Directory環境においても、ユーザーは単一の覚えやすい名前で認証を行うことが可能となる。
UPNの主な目的は、Active Directory環境内および、Microsoft 365やAzure Active Directoryといったクラウドサービスとの連携において、ユーザーに一貫性のある認証エクスペリエンスを提供することにある。従来のActive Directoryのログオン名として利用されてきたsAMAccountName(例: CONTOSO\tarou.yamada)は、一つのドメイン内でしか一意性を保証しない。そのため、複数のドメインやフォレストが存在する環境、またはクラウドサービスと連携する際には、ユーザーがどのドメインに属しているかを意識する必要があり、複雑さが増す要因となっていた。UPNはフォレスト全体で一意であることが保証されるため、ユーザーはドメインの物理的な境界を意識することなく、自身のUPNを用いてシームレスに各種サービスへログオンできる。これは、グローバルな識別子としての役割を果たし、特にハイブリッドクラウド環境におけるシングルサインオン(SSO)を実現する上で重要な要素となる。
UPNには「暗黙のUPN」と「明示的なUPN」の二つのタイプがある。暗黙のUPNは、Active Directoryでユーザーアカウントを作成した際に自動的に生成されるもので、通常はユーザーのsAMAccountNameとフォレストのルートドメイン名を組み合わせた形式になる。例えば、sAMAccountNameが「tarou.yamada」で、フォレストルートドメインが「contoso.com」であれば、「tarou.yamada@contoso.com」が暗黙のUPNとなる。一方、明示的なUPNは、管理者がユーザーのプロパティ設定を通じて任意に指定するUPNである。多くの場合、ユーザーの電子メールアドレスと同一の形式に設定することが推奨される。これは、ユーザーが既に慣れ親しんでいるメールアドレスをログオン名として利用できるため、利便性が向上し、認証情報の混乱を防ぐことができるためである。
UPNの管理は、Active Directoryユーザーとコンピューター管理ツールやPowerShellコマンドレットを用いて行う。管理者は、ユーザーアカウントのプロパティでUPNプレフィックスを設定・変更できるほか、Active Directoryドメインと信頼関係の管理ツールを使用して、フォレストに新しいUPNサフィックス(代替UPNサフィックス)を追加することも可能である。新しいUPNサフィックスを追加することで、ドメイン名以外のカスタムドメイン名をUPNのサフィックスとして利用できるようになり、例えば企業が買収などによって複数のブランドを持つ場合に、それぞれのブランド名に対応するUPNを提供するといった柔軟な運用が可能となる。ただし、どのUPNを設定するにしても、Active Directoryフォレスト内でUPNが一意であるという原則は常に遵守されなければならない。もし重複するUPNを設定しようとした場合、エラーが発生し設定は許可されない。
UPNは、単にユーザーを識別するだけでなく、Active Directoryの認証プロトコルであるKerberos認証においても重要な役割を果たす。Kerberosチケットの要求時に、クライアントは自身のUPNを提示して認証を試みる。また、UPNは電子メールアドレスと混同されやすいが、両者は厳密には異なる概念である。電子メールアドレスはメール配送のためのアドレスであり、UPNは認証のための識別子である。多くの組織で両者が同一に設定されるのは、ユーザーの利便性を考慮してのことである。
UPNは、現代のIT環境、特にクラウドサービスとの連携が不可欠な環境において、ユーザー認証の基盤として非常に重要な役割を担っている。覚えやすく、フォレスト全体で一意であり、クラウドサービスとの連携に最適化されているという特性から、システムエンジニアがActive Directory環境を設計・運用する上で、UPNの適切な理解と管理は必須の知識である。