【ITニュース解説】Maximize Your Shipping Efficiency with the UPS API
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Maximize Your Shipping Efficiency with the UPS API」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
UPS APIは、自社のWebサイトやアプリに配送機能を組み込むための開発者向けツール。配送料金計算、配送ラベル作成、荷物追跡などをプログラムから直接呼び出せる。ECサイトでの送料自動計算や、注文追跡システムの構築に活用できる。(114文字)
ITニュース解説
システム開発の世界では、既存の優れたサービスを部品のように組み合わせて、効率的に新しいアプリケーションを構築する手法が一般的である。その際に中心的な役割を果たすのが「API(Application Programming Interface)」と呼ばれる技術だ。APIは、あるソフトウェアやサービスが持つ機能を、外部の他のプログラムから利用するための窓口や接続仕様のことである。今回解説するUPS APIは、世界的な物流企業であるUPSが提供する配送関連の機能を、開発者が自身のシステムに組み込むために用意されたAPI群である。これを利用することで、例えばECサイトに高度な配送機能をゼロから開発することなく、簡単に追加できる。
UPS APIが提供する中核的な機能は多岐にわたる。最も代表的なのは、荷物の大きさや重さ、配送元と配送先の住所情報をもとに、リアルタイムで正確な配送料金を計算する機能だ。これにより、ECサイトの購入手続き画面で、顧客が届け先住所を入力した瞬間に、利用可能な配送オプションとその料金を一覧で提示することが可能になる。また、配送に必要な宛名ラベル(伝票)を電子データとして生成する機能もある。これにより、事業者は手作業で伝票を作成する手間を省き、プリンターで印刷するだけで荷物の発送準備を完了できる。さらに、荷物が出荷されてから届け先に到着するまでの状況を追跡する機能も提供されている。顧客は追跡番号を使って、自分の荷物が今どこにあり、どのような状態かを確認できる。このほか、入力された住所が実在し、正しい形式であるかを検証する機能や、海外へ荷物を送る際に必要となる税関への申告書類を自動で生成する機能など、物流業務を効率化するための包括的なツールが揃っている。
これらの機能を実際にシステムへ組み込むには、開発者はまずUPSの開発者向けポータルサイトに登録し、アプリケーションを申請して認証情報を取得する必要がある。認証とは、誰でも無断でUPSのシステムを利用できないようにするための本人確認のような手続きであり、一般的に「OAuth 2.0」というセキュアな標準技術が用いられる。認証が成功すると、APIを利用するための鍵となる「アクセストークン」が発行される。開発者は、このアクセストークンを添えて、UPSのサーバーに対して「この荷物の送料を計算してほしい」といった要求(リクエスト)をプログラムコードを通じて送信する。すると、UPSのサーバーはその要求を処理し、結果をJSON形式などの構造化されたデータで応答(レスポンス)として返す。開発者は受け取ったデータを解析し、自身のアプリケーションの画面に表示したり、次の処理に利用したりする。
幸いなことに、UPSは「OpenAPI/Swagger仕様」という形式でAPIの公式なドキュメントを公開している。これはAPIのいわば「取扱説明書」であり、どのようなリクエストを送れば、どのようなデータ構造のレスポンスが返ってくるかが詳細に定義されている。この仕様書があるおかげで、開発者は手探りで試行錯誤することなく、効率的にAPI連携のプログラムを開発することができる。
UPS APIの利用料金は、使用量や契約内容に応じて複数の段階が設定されている。開発やテスト目的で少量のリクエストを試せる無料のプランから、実際のビジネスで利用するための、API呼び出し回数に応じた従量課金プラン、そして大量の取引を行う大企業向けのカスタム料金プランまで用意されている。
もちろん、配送APIを提供しているのはUPSだけではない。FedExやDHLといった国際的な物流企業や、各国の郵便事業者も同様のAPIを公開している。また、ShipEngineのように、複数の配送会社のAPIを一つにまとめ、共通のインターフェースで利用できるようにした便利なサードパーティ製サービスも存在する。どのAPIを選択するかは、自社のサービスが対象とする地域、扱う荷物の種類、必要な機能、そしてコストなどを総合的に比較検討して決定する必要がある。システムエンジニアを目指す上で、このように外部のAPIを調査し、その仕様を理解して自社のシステムと連携させる技術は、非常に重要なスキルの一つと言える。