Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

Wi-Fi 5(ワイファイファイブ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Wi-Fi 5(ワイファイファイブ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ワイファイファイブ (ワイファイファイブ)

英語表記

Wi-Fi 5 (ワイファイファイブ)

用語解説

Wi-Fi 5とは、無線LANの標準規格であるIEEE 802.11acを指すマーケティング名称である。この名称は、無線LANの世代をわかりやすく示すためにWi-Fi Allianceが導入したもので、802.11acは「第5世代Wi-Fi」に位置づけられる。2013年頃に登場し、それまでの主流であったWi-Fi 4(IEEE 802.11n)と比較して、劇的な通信速度の向上と効率化を実現した。

Wi-Fi 5の最大の特徴は、主に5GHz帯の周波数帯を利用することである。5GHz帯は2.4GHz帯に比べて電波干渉が少なく、より多くのチャネルを利用できるため、高速かつ安定した通信を可能にする。この規格は、高画質な動画ストリーミング、オンラインゲーム、大容量ファイルのダウンロードなど、現代のデジタル環境で求められる高帯域幅のアプリケーションに対応するために設計された。MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術の進化形であるMU-MIMO(Multi-User MIMO)や、電波を特定の方向に集中させるビームフォーミング技術、より広いチャネル幅、高密度な変調方式といった様々な技術革新を導入することで、理論上の最大通信速度はギガビット級に達し、家庭やオフィスにおける無線通信の利便性を大きく向上させたのである。

詳細に説明すると、Wi-Fi 5はまず周波数帯において、主に5GHz帯を主軸としている。2.4GHz帯は電子レンジやBluetooth機器など多くの機器で利用されており、電波干渉を受けやすいという課題があった。これに対し、5GHz帯は利用できる周波数チャネル数が多く、他の無線機器からの干渉を受けにくいため、より安定した高速通信が可能となる。ただし、5GHz帯は2.4GHz帯に比べて直進性が高く、壁などの障害物による減衰を受けやすいため、ルーターからの距離や遮蔽物が多い環境では通信が不安定になる場合もある。多くのWi-Fi 5対応ルーターは、両方の周波数帯に対応するデュアルバンド機能を持ち、端末や環境に応じて最適な周波数帯を選択できるようになっている。

通信速度の向上に大きく貢献した技術の一つがMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)である。これは複数のアンテナを用いて複数のデータストリームを同時に送受信することで、通信容量を増大させる技術である。Wi-Fi 5ではこのMIMOをさらに発展させ、MU-MIMO(Multi-User MIMO)に対応している点が重要である。従来のMIMOは、複数のデータストリームを一つの端末に向けて送信することで速度を向上させていたが、MU-MIMOは複数の異なる端末に対して同時に複数のデータストリームを送信できる。これにより、複数のデバイスが同時にWi-Fiを利用する環境において、各端末へのデータ転送効率が向上し、ネットワーク全体の処理能力(スループット)が高まるため、遅延の低減や待機時間の短縮に貢献する。

また、ビームフォーミングも通信品質を高める重要な技術である。これは、Wi-Fiルーターが電波を発信する際、接続している特定の受信端末の方向に向けて電波を集中的に送信する技術である。これにより、電波がより効率的に端末に届くため、端末側での受信感度が向上し、通信速度の向上や通信の安定化、さらにはWi-Fiのカバーエリアの拡大にも寄与する。特に距離が離れた場所や障害物がある場所での通信品質改善に効果を発揮する。

さらに、Wi-Fi 5ではチャネル幅の拡張も行われた。Wi-Fi 4(802.11n)が最大40MHz幅のチャネルを利用していたのに対し、Wi-Fi 5では80MHz幅や最大160MHz幅のチャネルを利用できる。チャネル幅が広がることで、一度に送れる情報量が増えるため、結果として通信速度が向上する。これは、より広い道路を用意することで、一度に多くの車を通行させられるイメージに似ている。

変調方式においても進化が見られた。Wi-Fi 4の64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)から、Wi-Fi 5では256QAMへと高密度化された。QAMはデジタル信号をアナログ波形に変換して伝送する際に、どれだけの情報量を持たせられるかを示す方式である。256QAMは64QAMに比べて、一つの信号でより多くのビットを表現できるため、同じ時間、同じ周波数帯域でより多くのデータを転送できるようになり、データ転送効率が大幅に向上する。

これらの技術革新により、Wi-Fi 5は理論上の最大通信速度において、Wi-Fi 4をはるかに上回る性能を実現した。しかし、理論上の速度はあくまで理想的な条件下での数値であり、実際の通信速度は、建物の構造、電波干渉の有無、ルーターと端末の性能、接続する端末数など、さまざまな環境要因によって変動することに留意する必要がある。

Wi-Fi 5の機器は、それ以前のWi-Fi 4(802.11n)やその他の古い規格の機器とも接続できる下位互換性を持っている。これにより、既存の無線LAN環境に新しいWi-Fi 5対応ルーターや端末を導入しても、古い機器も引き続き利用できるため、スムーズな移行が可能となる。

現在では次世代規格であるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の普及が進んでいるが、Wi-Fi 5は現代の高速無線通信の基盤を築いた重要な規格であり、現在でも多くの環境で広く利用されており、大半の用途において十分な性能を提供している。特に、5GHz帯の特性を活かした高速通信と、多端末環境における効率化は、その後の無線LAN技術の発展に大きな影響を与えた。

関連コンテンツ