Wi-Fi 4(ワイファイフォー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
Wi-Fi 4(ワイファイフォー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ワイファイフォー (ワイファイフォー)
英語表記
Wi-Fi 4 (ワイファイフォー)
用語解説
Wi-Fi 4は、無線LAN規格であるIEEE 802.11nをWi-Fi Allianceが一般利用者やシステムエンジニアの初心者にわかりやすくするために命名した呼称である。この規格は、従来のWi-Fi規格に比べて飛躍的な通信速度の向上と通信安定性の改善を実現し、無線LANの普及を大きく後押しした。Wi-Fi 4は2.4GHz帯と5GHz帯の両方を使用できるデュアルバンド対応の規格であり、MIMO(Multiple-Input, Multiple-Output)やチャネルボンディングといった画期的な技術を導入したことで、最大で600Mbpsという理論上の高速通信を可能にした。
Wi-Fi 4の正式名称であるIEEE 802.11nは、IEEE(米国電気電子学会)によって2009年に承認された無線LANの標準規格である。Wi-Fi Allianceは、IEEEの技術的な規格名を一般の利用者やシステムエンジニアの初心者が直感的に理解しやすいように、世代ごとの番号を付与する命名規則を2018年に導入した。これにより、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」と呼ばれることになった。この命名は、それ以前のIEEE 802.11a/b/gといった規格には適用されなかったが、それ以降のWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)にも踏襲されている。Wi-Fi 4が登場するまで、無線LANの最大速度はIEEE 802.11gやIEEE 802.11aの54Mbpsが主流であり、有線LANに比べて大幅に遅いという課題があった。Wi-Fi 4は、この速度の壁を大きく打ち破ることを目標として開発された。
Wi-Fi 4の最大の特徴は、MIMO技術の導入である。MIMOは、複数のアンテナを同時に利用してデータを送受信する技術で、これにより通信速度を向上させるとともに、通信の信頼性も高める。従来の無線LAN規格では、データは1つのアンテナで送受信されていたが、MIMOでは複数のアンテナで異なるデータを同時に送受信する空間多重化(Spatial Multiplexing)が可能になった。これにより、複数のデータストリームを並行して扱うことができ、同じ周波数帯域幅でもデータ転送量を大幅に増やすことができる。Wi-Fi 4では、最大4本の送信用アンテナと4本の受信用アンテナ(4x4 MIMO)を使用することができ、理論上は4つの空間ストリームを同時に扱うことが可能である。アンテナの本数と空間ストリームの数が増えるほど、通信速度は向上する。
もう一つの重要な技術がチャネルボンディングである。従来の無線LAN規格では、データ通信には20MHz幅の周波数チャネルが使用されていた。Wi-Fi 4では、隣接する2つの20MHz幅チャネルを結合して、合計40MHz幅の広帯域チャネルとして利用できるようになった。これにより、データ伝送に使用できる帯域幅が2倍になり、通信速度も理論上は2倍に向上する。ただし、40MHz幅を使用すると、他の無線LAN機器やBluetooth機器などとの干渉のリスクが高まるため、環境によっては20MHz幅で運用される場合もある。
さらに、Wi-Fi 4では変調方式も改良された。従来のIEEE 802.11a/gでは64-QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が用いられていたが、Wi-Fi 4ではこの64-QAMをより効率的に利用し、データシンボルあたりの情報量を増やすことで、データ転送効率を高めている。また、短縮ガードインターバル(Short Guard Interval, SGI)の採用も高速化に貢献している。ガードインターバルとは、データシンボル間の干渉を防ぐために設けられる空白時間のことだが、Wi-Fi 4ではこの時間を短縮することで、データ伝送効率を約10%向上させている。
これらの技術革新により、Wi-Fi 4は理論上の最大通信速度で600Mbpsを達成した。これは、IEEE 802.11a/gの54Mbpsと比較して約11倍以上もの高速化である。実際の使用環境では、電波状況、端末の性能、周囲の干渉、利用者の数など様々な要因によって速度は変動するが、それでも数10Mbpsから100Mbpsを超える実効速度が実現され、動画ストリーミングや大容量ファイルのダウンロードなど、より帯域を必要とするアプリケーションの利用が快適になった。
Wi-Fi 4の登場は、無線LANが家庭やオフィスにおいて有線LANの代替となりうる可能性を示した。スマートフォン、タブレット、ノートPCといったモバイルデバイスの普及と相まって、Wi-Fi 4対応機器は急速に市場に浸透した。これにより、多くのユーザーがワイヤレスでインターネットに接続する利便性を享受できるようになった。企業や公共施設でも、多数のデバイスを収容できる安定した無線LAN環境の構築が進んだ。
Wi-Fi 4は、その後の無線LAN技術の進化の礎となった。MIMOやチャネルボンディングといった技術は、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)やWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)といった後継規格にも引き継がれ、さらなる高速化と効率化、多台数接続への対応が図られている。Wi-Fi 4は、無線LANが日常生活やビジネスにおいて不可欠なインフラとなる上で、極めて重要な役割を果たした規格と言える。現代のネットワーク環境を理解する上で、Wi-Fi 4が導入した革新的な技術やその影響を把握することは、システムエンジニアを目指す初心者にとっても基礎知識として重要である。