ZigBee (ジグビー) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

作成日: 2025年08月12日更新日: 2025年08月13日

ZigBee (ジグビー) の読み方

日本語表記

ジグビー (ジグビー)

英語表記

ZigBee (ジグビー)

ZigBee (ジグビー) の意味や用語解説

ZigBee（ジグビー）は、近距離無線通信規格の一つだ。IEEE 802.15.4という規格をベースにしており、主に低速で低消費電力な通信を必要とする用途で利用されている。例えば、スマートホームにおけるセンサーネットワークや、産業用制御システム、医療機器などが挙げられる。 ZigBeeの大きな特徴は、メッシュネットワークを構築できる点にある。これは、複数の機器が互いに通信を中継し合うことで、通信距離を延長したり、障害物を迂回したりできる仕組みだ。一つの機器が通信できなくなっても、別の経路で通信を維持できるため、信頼性の高いネットワークを構築できる。 ZigBeeの主な用途としては、以下のようなものが挙げられる。 * **スマートホーム:** 照明、空調、セキュリティシステムなどの機器をワイヤレスで接続し、一元的に制御する。例えば、スマート電球のオンオフや、温湿度センサーからの情報収集などに利用される。 * **産業用制御:** 工場内のセンサーやアクチュエーターをワイヤレスで接続し、生産ラインの監視や制御を行う。有線接続が困難な場所や、移動する機器との通信に有効だ。 * **医療:** 患者のバイタルデータをモニタリングするウェアラブルデバイスや、病院内の医療機器をワイヤレスで接続し、データ収集や機器制御を行う。 * **エネルギー管理:** スマートメーターやエネルギーハーベスティングデバイスを接続し、エネルギー消費量の監視や制御を行う。 ZigBeeの通信方式は、2.4GHz帯、920MHz帯、868MHz帯などの周波数帯を使用する。2.4GHz帯は世界中で利用可能だが、他の無線通信との干渉が起こりやすい。920MHz帯は日本国内で利用可能で、比較的干渉が少ない。868MHz帯はヨーロッパで利用されている。 ZigBeeのネットワーク構成は、通常、コーディネーター、ルーター、エンドデバイスの3種類のデバイスで構成される。 * **コーディネーター:** ネットワーク全体の中心となるデバイスで、ネットワークの作成、管理、セキュリティ設定などを行う。通常、1つのネットワークに1つのコーディネーターが存在する。 * **ルーター:** 他のデバイスとの通信を中継する役割を持つ。通信範囲を拡大したり、ネットワークの信頼性を向上させたりするために利用される。 * **エンドデバイス:** センサーやアクチュエーターなどの末端のデバイスで、直接データを送受信する。ルーターを介さずにコーディネーターと直接通信することも可能だ。 ZigBeeは、他の無線通信規格と比較して、以下のような利点と欠点がある。 **利点:** * **低消費電力:** バッテリー駆動のデバイスに適しており、長期間の運用が可能だ。 * **メッシュネットワーク:** 通信範囲の拡大や信頼性の向上に貢献する。 * **相互運用性:** ZigBee Allianceが認証したデバイスは、異なるメーカーの製品でも相互に接続できる。 **欠点:** * **低速な通信速度:** 高速なデータ転送には向かない。 * **比較的短い通信距離:** Wi-Fiなどに比べて通信距離が短い。 * **2.4GHz帯の干渉:** 他の無線通信との干渉が起こりやすい。 ZigBeeは、用途に応じて様々なプロファイルが定義されている。プロファイルとは、特定の用途に最適化された通信プロトコルやデータ形式の仕様のことだ。例えば、スマートホーム向けのZigBee Home Automationや、照明制御向けのZigBee Light Linkなどがある。現在では、相互接続性を向上させた「Zigbee 3.0」という統一規格が主流になっている。Zigbee 3.0は、従来のプロファイルを統合し、異なるメーカーのデバイス間でもよりスムーズな連携を可能にする。 ZigBeeを開発する際には、開発キットやモジュールを利用することが一般的だ。これらのキットやモジュールには、ZigBeeの通信機能を実装するためのハードウェアとソフトウェアが含まれており、開発者は容易にZigBee対応デバイスを開発できる。主要な半導体メーカーやモジュールメーカーから、様々なZigBee関連製品が提供されている。 ZigBeeは、IoT（Internet of Things）の普及とともに、ますます重要な役割を担うことが予想される。低消費電力で信頼性の高い通信を必要とする様々なアプリケーションにおいて、ZigBeeは最適な選択肢の一つとなるだろう。システムエンジニアを目指す上で、ZigBeeの基本的な知識を習得しておくことは非常に有益だ。