【ITニュース解説】From Warehouses to Libraries: Understanding Data on AWS the Easy Way
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「From Warehouses to Libraries: Understanding Data on AWS the Easy Way」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
AWSのデータ活用では、S3で無制限にデータを保存し、RDSでリレーショナルDBを管理、Redshiftで大規模分析を行う。さらにGlueでデータ整形・変換、Lake Formationでデータレイクを安全に構築・管理する。これらがAWSでデータを扱う主要サービスだ。
ITニュース解説
AWS(Amazon Web Services)は、インターネットを通じて様々なコンピューティングサービスを提供するクラウドプラットフォームである。このプラットフォーム上でデータを扱う際には、そのデータの種類や目的に応じて最適なサービスを選択し、組み合わせて利用することが一般的だ。本稿では、システムエンジニアを目指す初心者がデータ管理の基礎を理解するために、AWSが提供する主要なデータサービスのうち、特に重要な5つのサービス、S3、RDS、Redshift、Glue、そしてLake Formationについて解説する。
まず、Amazon S3(Simple Storage Service)は、あらゆる種類のファイルを保存できる、事実上無制限のストレージサービスだ。写真、動画、ドキュメント、ログファイルなど、構造化されていないデータも、整理されていないデータも、そのまま保存できる。例えば、メディア企業が膨大な量の映像や画像を保存するのに利用したり、企業のバックアップ先として使われたりする。S3の大きな特徴は、その高い耐久性と可用性、そしてスケーラビリティにある。データレイクの基盤として、まずは全てのデータをS3に保存し、後で必要に応じて加工・分析するという使い方が一般的である。ストレージ容量を気にすることなく、大量のデータを安価に保存できる点が強みだ。
次に、Amazon RDS(Relational Database Service)は、リレーショナルデータベースの運用を容易にするマネージドサービスだ。MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverといった主要なデータベースエンジンに対応しており、データベースのセットアップ、パッチ適用、バックアップ、スケーリングといった運用管理タスクをAWSが自動的に行ってくれる。これにより、利用者はデータベースの管理ではなく、アプリケーション開発やデータ利用に集中できる。例えば、オンラインストアが顧客の注文履歴や商品情報を管理する際に、正確なデータの一貫性とトランザクション処理の信頼性が求められるため、RDSが適している。顧客と注文、商品とカテゴリのように、データ間に明確な関係性がある場合に特にその価値を発揮する。
続いて、Amazon Redshiftは、ペタバイト規模の大容量データを高速に分析するためのデータウェアハウスサービスだ。これは、大量の過去データを集約し、複雑なクエリを実行してビジネスインテリジェンスやレポート作成に活用することを目的としている。例えば、小売企業が数千店舗にわたる過去数年間の販売データを分析し、季節ごとのトレンドや地域ごとの売れ筋商品を把握するといった用途で利用される。Redshiftは、特に大量の読み込み処理に最適化されており、「どの製品カテゴリが前四半期に最も成長したか」といった大規模な問いに迅速な答えを出すことを可能にする。データの集計や傾向分析に特化しており、トランザクション処理よりも分析に重点を置いている点でRDSとは異なる。
AWS Glueは、データの前処理を行うためのサーバーレスETL(Extract, Transform, Load)サービスだ。ETLとは、異なるシステムに存在するデータを抽出し(Extract)、目的に合わせて加工・変換し(Transform)、最終的な保存先(Load)に書き込む一連の処理を指す。Glueは、この一連の作業を自動化し、データクリーニング、フォーマット変換、結合などを行う。例えば、旅行会社が複数の予約システムから収集された、形式の異なる散らかった予約データを、分析しやすい統一された形式に変換し、データウェアハウスに格納するといったケースで活躍する。手作業でデータを整形する手間を大幅に削減し、データの品質と分析効率を向上させる上で不可欠なサービスである。
最後に、AWS Lake Formationは、S3上にデータレイクを構築し、そのセキュリティとガバナンスを管理するためのサービスだ。データレイクは、あらゆる形式の生データを一元的に保存するリポジトリであり、将来的な分析のために未加工のデータを保持する。Lake Formationは、データレイク内のデータへのアクセス許可を細かく設定し、誰がどのデータにアクセスできるかを管理する。例えば、金融企業が機密性の高い顧客情報の一部には特定の部署しかアクセスできないようにしつつ、匿名化されたデータは全分析チームが利用できるようにするといった厳格なセキュリティ要件を満たすことが可能だ。大規模なデータを扱う企業において、データのセキュリティとコンプライアンスを確保するために極めて重要な役割を果たす。
これらのAWSデータサービスは、それぞれ異なる役割を持ちながらも密接に連携し、現代のデータプラットフォームの基盤を形成する。S3で大量のデータを保管し、Glueでそのデータを整理・加工し、RDSでトランザクションデータを管理し、Redshiftで大量データを分析し、Lake Formationでデータレイク全体のセキュリティとアクセスを統制する。これらのサービスを組み合わせることで、企業はデータの収集から保存、加工、分析、そしてセキュリティ管理までを一貫してクラウド上で行うことができ、データ駆動型の意思決定を迅速かつ効率的に実行できるようになる。システムエンジニアを目指す者にとって、これらのデータサービスの機能と連携を理解することは、現代のITシステム開発において非常に重要なスキルとなるだろう。