【ITニュース解説】Building My First Large Language Model from Scratch
2025年10月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building My First Large Language Model from Scratch」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
LLM(GPT)をゼロから構築した経験を解説。テキストを数値IDに変換するトークン化、IDをベクトルへ変換する埋め込み、文脈を理解するAttentionメカニズムを実装した。ローカルでの学習が困難なためGPT-2の重みを活用し、分類問題に応用。LLMの内部構造への理解を深めた経験を共有する。
ITニュース解説
ある開発者が、大規模言語モデル(LLM)をゼロから構築した経験を共有している。この記事は、GPTアーキテクチャの内部構造を理解する上で非常に参考になる。特に、公開されているGPT-2の重みを利用することで、個人の計算環境では難しい大規模なモデルの学習を回避しつつ、実際にモデルを動かす試みがなされた。この経験は、LLMの深い仕組みへの理解を深めるものだったという。
LLMの基本的な仕組みとして、GPTアーキテクチャは「次の単語を予測する」という動作を繰り返し行うことで、新しい文章や段落、さらにはページ全体を生成する。GPT-2は「自己回帰」型の「デコーダーオンリー」モデルである。自己回帰とは、モデルが以前に出力した内容を次の予測の入力として利用する仕組みを指す。デコーダーオンリーとは、主にテキスト生成に特化した構造を持つことを意味する。
モデル構築の第一歩は「テキストトークン化」である。これは、テキストという離散的な情報を、コンピュータが計算しやすい連続的な数値の空間に変換する作業である。具体的には、テキスト中の単語や記号をそれぞれ一意のID(整数)に割り当てる。筆者はGPT-2の公開データセットに含まれる「Tiktoken」というトークン化ツールを利用し、テキストを数値IDに変換する層を構築した。GPT-2では合計50,257個のトークンが使われており、バイトペアエンコーディング(BPE)という手法がこのトークンIDの生成に使われている。
次に重要なのが「テキスト埋め込み」の構築である。トークン化されたIDは、そのままでは単なる数字であり、意味的な情報を持たない。そこで、これらのIDを、意味を持つ多次元の数値ベクトルに変換する。この変換を行うのが埋め込み層である。埋め込み層は二つのステップで構成される。一つ目のステップでは、torch.nn.EmbeddingというPyTorchの機能を使って、各トークンIDを768次元のベクトル(GPT-2 smallの場合)に変換する「トークン埋め込み」を行う。この層は、モデルの事前学習中にバックプロパゲーションという方法で訓練され、単語の意味関係を捉えるように調整される。二つ目のステップでは、「位置埋め込み」が計算され、トークン埋め込みに加算される。位置埋め込みは、文章中における単語の並び順(位置)の情報をベクトルとして表現し、モデルが単語の文脈を理解できるようにする。この位置埋め込みも、torch.nn.Embeddingを使って生成される。最終的に、トークン埋め込みと位置埋め込みが合わさることで、入力される各単語のベクトルは、その単語の意味と文脈における位置情報の両方を持つことになる。
そして、LLMの中核をなす技術が「アテンションメカニズム」である。これは、入力されたテキスト中の各単語が、その文脈の中で他のどの単語と関連性が高いかを考慮する仕組みである。特に、ここでは「マルチヘッドアテンションメカニズム」が実装されている。これは、複数のアテンション機構(ヘッド)を並行して動作させ、それぞれのヘッドが異なる側面から単語間の関連性を評価し、その結果を統合するものである。マルチヘッドアテンションは計算コストが高い一方で、テキスト内の複雑なパターンを認識する上で非常に効果的である。GPT-2 smallでは12個のアテンションヘッドが使われており、各ヘッドの出力ベクトルは768次元を12で割った次元数となる。この仕組みでは、入力埋め込みから「クエリ(Query)」「キー(Key)」「バリュー(Value)」という三つの情報が生成される。これらもまた、W_query, W_key, W_valueという重みによって変換され、モデルの学習過程で調整される。各ヘッドでは、入力された情報がQuery, Key, Valueに分割され、それらのドット積を計算することで関連性のスコアが算出される。ここで重要なのが「マスキング」処理である。アテンションスコアの計算前にマスキングが適用され、モデルが未来の情報を「見て」しまわないようにする。これにより、モデルは次に来る単語を適切に予測できる。最終的なアテンションスコアは、Softmax関数を用いて計算され、全てのヘッドからの出力が連結されて、最終的なコンテキストベクトルが生成される。このコンテキストベクトルが、その単語の文脈を凝縮した情報となる。
ここまでで、GPTモデルの核心部分であるマルチヘッドアテンションメカニズムが構築された。この記事は、モデルの最も重要な部分の一つであるアテンション機構の構築までを解説しており、今後の記事ではトランスフォーマーブロックや出力層の実装、そしてモデルの事前学習へと進む予定である。この一連の作業は、LLMの内部動作に対する深い洞察を与えてくれるものとなる。