【ITニュース解説】Chakra UI v3 v2 Downgrade: Errors I Got Stuck On and How I Fixed Them
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Chakra UI v3 v2 Downgrade: Errors I Got Stuck On and How I Fixed Them」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
UIライブラリ「Chakra UI」はバージョン3と2でAPIが大きく異なる。チュートリアルなどを参考に開発する際、バージョンが異なるとコンポーネントが見つからない等のエラーが発生する。開発時には参照する情報とライブラリのバージョンを一致させることが重要である。
ITニュース解説
Webアプリケーション開発において、利用者が直接触れる画面、すなわちユーザーインターフェース(UI)の構築は極めて重要な工程である。近年、このUI開発を効率化するために、ReactのようなJavaScriptライブラリが広く利用されている。ReactはUIを「コンポーネント」と呼ばれる独立した部品の組み合わせとして構築する考え方を採用しており、複雑な画面も管理しやすくなる。そして、このReactでの開発をさらに加速させるのが、Chakra UIのようなUIコンポーネントライブラリの存在だ。Chakra UIは、ボタンやフォーム、メニューといった、ウェブサイトで頻繁に使われるUI部品をあらかじめ美しくデザインし、機能的に実装したものの集合体である。開発者はこれらの完成された部品を組み合わせるだけで、迅速に高品質なUIを構築できる。
しかし、こうした便利なライブラリを利用する際には、注意すべき重要な点がある。それは「バージョン」の管理だ。ソフトウェアは、機能追加や不具合修正のために頻繁にアップデートされ、そのたびにバージョン番号が更新される。特に、バージョン番号の最初の数字が変わる「メジャーアップデート」(例えばバージョン2からバージョン3への更新)では、ライブラリの内部構造や使い方が大きく変更されることがある。これは「破壊的変更」と呼ばれ、古いバージョンの知識やコードがそのままでは通用しなくなり、エラーの原因となる。
最近、ある開発者がReactとChakra UIを用いてアプリケーションを開発する過程で、このバージョンの違いに起因する問題に直面した。開発者は、学習記録アプリを構築する中でChakra UIを導入し、画面にボタンを表示しようと試みた。しかし、プログラムを実行すると「Uncaught SyntaxError: The requested module ‘@chakra-ui/react’ does not provide an export named ‘Tbody’」というエラーが発生した。このエラーメッセージは、「@chakra-ui/reactというライブラリからTbodyという部品を読み込もうとしたが、その部品は提供されていない」ということを意味する。開発者は最新版のChakra UI(バージョン3)をインストールしていたが、彼が参考にしていたチュートリアルやサンプルコードが古いバージョン(バージョン2)を前提としていたため、バージョン3では既に存在しない、あるいは名前が変わってしまった「Tbody」という部品を呼び出そうとしてしまい、このエラーが発生したのである。
この問題の根本原因は、使用しているライブラリのバージョンと、参考にしている情報のバージョンが一致していないことにあった。解決策は、ライブラリのバージョンを、参考にしている情報で使われているバージョンに合わせることだ。具体的には、まず現在インストールされている最新版のChakra UIをコマンド(npm uninstall @chakra-ui/react)で削除する。その後、バージョン番号を明記して、古いバージョン2(具体的には2.8.2)を再インストールする(npm install @chakra-ui/react@2.8.2)。この際、Chakra UIが依存している@emotion/reactや@emotion/styledといった関連ライブラリも同時にインストールする必要がある。このように、意図的にバージョンを古いものに戻す作業を「ダウングレード」と呼ぶ。
このダウングレードによって、主要なバージョン不一致の問題は解消された。しかし、開発者は続けて別のエラーに遭遇した。「Uncaught SyntaxError: The requested module ‘@chakra-ui/react’ does not provide an export named ‘ClientOnly’」というエラーである。これも最初のエラーと同様に、Chakra UIライブラリに「ClientOnly」という部品が存在しないことが原因で発生している。おそらく、開発者が利用していたプロジェクトのテンプレートファイルや初期設定コードの一部に、最新版のChakra UIで使われる記述が残ってしまっていたのだろう。この問題は、原因となっているコードを特定し、削除することで解決できる。具体的には、「ClientOnly」を読み込んでいるファイル(src/components/color-mode.tsx)自体を削除するか、そのファイルの中から該当の読み込み命令(import { ClientOnly } from “@chakra-ui/react”;)を削除することで、存在しない部品を呼び出す処理がなくなり、エラーは解消された。
この一連の出来事は、システムエンジニアを目指す初心者にとって非常に重要な教訓を含んでいる。第一に、技術ブログやチュートリアルを参考にして学習や開発を進める際は、そこで解説されているソフトウェアやライブラリのバージョンと、自分が使っている環境のバージョンが同じであることを必ず確認する必要がある。バージョンが異なれば、コードが期待通りに動作しないばかりか、今回のようなエラーに繋がる可能性が高い。第二に、エラーメッセージを注意深く読むことの重要性だ。「does not provide an export named 'XXX'」という形式のエラーは、バージョン違いや、単純なスペルミスによって指定した部品が見つからない場合に頻発する。エラーメッセージは問題解決のための最も重要な手がかりであり、その意味を理解しようと努めることが、エンジニアとしての基礎的なスキルとなる。ソフトウェア開発の世界では、このようにライブラリのバージョン互換性に起因する問題は日常茶飯事である。問題に直面した際に、その原因がバージョンの違いにある可能性を常に念頭に置き、冷静にバージョンを確認し、必要に応じてダウングレードやコードの修正を行う能力は、実践的な開発現場で不可欠な力と言えるだろう。