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【ITニュース解説】From Childhood Inspiration to Reality: Building My 2D Platformer Game With Kiro

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「From Childhood Inspiration to Reality: Building My 2D Platformer Game With Kiro」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Godot 4.4とAIツールKiroで2Dプラットフォーマー「Glitch Dimension」を開発。Kiroがアイデア検討から実装、品質管理まで開発プロセスを効率化し、次元反転ギミックや堅牢なシステムを持つ高品質なWebゲームを短期間で実現した事例だ。

ITニュース解説

この記事は、幼い頃に遊んだゲーム「クラッシュ・バンディクー」からインスピレーションを受け、一人の開発者がどのようにして自身の2Dプラットフォームゲーム「Glitch Dimension」を開発したのか、そしてその開発プロセスにおいて「Kiro」というAIツールがどのように重要な役割を果たしたかを詳細に解説している。システムエンジニアを目指す初心者でも理解しやすいように、その開発の道のりと技術的な工夫を見ていこう。

まず、開発者が子どもの頃に抱いた夢を、ゲームエンジン「Godot 4.4」を使ってWebブラウザ上で動作するゲームとして実現した点が挙げられる。しかし、この開発は一人きりで行われたわけではない。「Kiro」というツールが開発者の「副操縦士」となり、開発を迅速に、集中して、そして正直に進める手助けをしたという。

Kiroは、開発のサイクルを効率的に回すための仕組みを提供した。このサイクルは、「Vibe(試作)」「Spec(仕様定義)」「Hooks(自動化)」、そして「Iterate(反復)」というリズムで構成される。Vibeモードでは、開発者は重力調整やジャンプのタイミングなど、ゲームの核となる要素をコード上で自由に試し、すぐに結果を確認しながら修正できた。Specモードでは、プレイヤーの動き、ステージの流れ、チェックポイントの配置、敵の挙動、ステージマップといった具体的な要件を短い文書として明確に定義した。これは、漠然としたアイデアを具体的な計画に落とし込む上で非常に重要だ。そしてHooksは、一時的なテスト用シーンの整理、開発環境でのログの出力、プロジェクトファイルの整理といった、開発者が「退屈」と感じがちな定型作業を自動化した。Kiroは、このようなシンプルなサイクルを繰り返すことで、開発に勢いと規律をもたらし、「エージェンティック・コーディング(自律的なコーディング)」という概念を現実のものにした。

プレイヤーがゲームを体験する上で最初に感じる魅力として、いくつかの要素が挙げられている。まず、「ディメンションフリップ」という機能は、プレイヤーが次元を切り替えることで、障害物を避けたり、隠されたルートを発見したりできる。これは視覚効果と音響効果によって、その切り替えがダイナミックに表現される。また、ゲームの核となる「精密なプラットフォームアクション」には、「コヨーテタイム」(足場から落ちる直前でもジャンプできる猶予時間)や「ジャンプバッファ」(ジャンプボタンを先に押しておくと着地と同時にジャンプする機能)、そして可変ジャンプや二段ジャンプといった、プレイヤーが快適に操作できるような細かい調整が施されている。

さらに、データ駆動型で設計された「レベルセレクト画面」は、アンロック条件やカード形式の表示、サムネイルによって、まるでゲームストアのような洗練された印象を与える。ゲームには、複数のフェーズを持つ巨大なボスとの「ボスバトル」も用意されており、専用の体力表示UIとともに緊迫感のある体験を提供する。プレイヤーのゲーム進行状況は、ウェブ版でもデスクトップ版でも「セーブ」され永続的に保持される。ゲームの一時停止やシーンの切り替わりも、状態が乱れることなくスムーズに動作するよう設計されている。スマートフォンやタブレットでのプレイを考慮し、「タッチ操作」にも対応している点は、幅広いユーザーへの配慮が見られる。そして、開発者がユーザーの行動を追跡することなく、ゲームデザインの改善に役立てるための「オフライン分析」機能も実装されている。

Kiroは、開発者が単なるデモ版ではなく、実際のプレイヤー向けの「製品」としてゲームを設計する「プロダクションマインドセット」を持つよう促した。これは、システムの設計においていくつかの重要な原則を導き出した。

「モジュラーアクター」という考え方では、プレイヤー、インタラクティブなオブジェクト、収集アイテム、敵といった基本的な要素(アクター)が核となり、その上に体力、動き、アニメーション、音響、エフェクト、状態といった様々な機能を「コンポーネント」として組み合わせることで、多様な挙動を簡単に実現できる。

「スケーラブルなイベントシステム」は、ゲーム内の様々な要素(ゲームプレイ、ユーザーインターフェース、音響、エフェクトなど)間の通信を整理するために用いられる。これは、明確なカテゴリー分け、厳密な型のメッセージ、そして不要になったイベントの自動的なクリーンアップを強制することで、バグを減らし、将来的なシステム拡張を容易にする。

また、「信頼性とフォールバック」のシステムも構築された。これは、ゲームの重要な機能が利用可能かどうかを常にチェックし、安全な呼び出しを提供したり、万が一問題が発生した場合に備えて代替のリソースを読み込んだりする仕組みだ。これにより、ゲーム全体が突然停止するのではなく、部分的に機能が低下するだけで済む、といった頑強な動作が実現される。

ゲーム内の「動的なプラットフォーム」は、単なる背景ではなく、能動的なシステムとして設計されている。これらはエディタでサイズやテクスチャ、衝突判定などをリアルタイムで調整でき、見た目と物理的な挙動が一致するように設計されている。また、プラットフォームが安定状態から触れられ、揺れ、壊れ、最終的に破壊されるという一連の「ライフサイクル」を持ち、それぞれに対応するエフェクトや遅延、パーティクル表現が自然に変化する。次元切り替え機能との連携も考慮されている。

敵キャラクターにも工夫が凝らされている。「飛行型の敵AI」は、前方に複数のセンサー(レイ)を伸ばして障害物を避け、もし進行がブロックされれば上下左右に移動し、完全に動けなくなれば方向を反転するといった賢い挙動を見せる。プレイヤーが一定の範囲に近づくと追跡行動を開始し、視線が通っている場合に速度を上げ、プレイヤーが逃げ出すと追跡を停止してクールダウンする。その動きも、急な方向転換ではなく、緩やかな旋回や速度調整を行うことで、より自然で予測可能なものになっている。これらのAIは、軽量な計算、画面外での処理削減、アイドル時の低頻度更新といった「パフォーマンス予算」を意識して設計され、ゲーム全体の動作が重くならないように配慮されている。

「レベル選択画面」は、複数のレベルカードを横に並べて表示し、スムーズなスナップとフォーカス切り替えを伴うカルーセル形式で実装されている。ナビゲーションは左右の操作で可能で、選択されたカードへのスムーズなスクロール、フォーカス表示、そしてインデックスとスクロール位置を管理する軽量な状態モデルが組み込まれている。これらの設定はJSON形式のモデルで管理され、次元、スムーズさ、速度、スナップ、エフェクトなどを柔軟に調整できる。さらに、開発者向けの隠し要素として、マップ画面で特定のチートコードを入力することで全レベルをアンロックできる機能も用意されており、テストや探索に活用できる。

ゲームの基盤を支える「システム」も、軽量なGodotスクリプトによって構築されている。例えば、「Game.gd」がゲームの状態やスコア、試行回数を管理し、「LevelLoader.gd」が非同期でレベルを読み込む。「SceneManager.gd」はシーン間の遷移を管理し、「PauseManager.gd」はポーズ画面とその流れを制御する。音響効果は「Audio.gd」が管理し、画面の揺れやフラッシュといった視覚効果は「FX.gd」が担当する。「Persistence.gd」はプレイヤーのプロフィールや統計情報を保存し、「Analytics.gd」はユーザー追跡なしでローカルに分析データを記録する。これらは、「ObjectPool.gd」(オブジェクトの再利用によるパフォーマンス向上)や「HealthSystem.gd」(体力管理)といった様々なユーティリティスクリプトと連携し、ゲーム全体の安定した動作を支えている。

プレイヤーからの「入力」や「UI(ユーザーインターフェース)」、そして「アクセシビリティ」にも配慮がなされている。キーボード操作は、WASDまたは矢印キーでの移動、スペースキーまたはWキーでのジャンプ、Fキーでの次元フリップ、ESCキーでの一時停止、Rキーでのリスタートといった標準的な配置を採用している。UIはメインメニュー、レベルマップ、ポーズメニュー、結果画面、設定、タッチ操作用コントロール、ゲームHUD、ボス体力UIといった多岐にわたる画面が用意されている。アクセシビリティ機能としては、設定ファイルを通じて「色覚異常」や「高コントラスト」、不必要な動きを減らす「モーション削減」、より大きなUI表示などのオプションが提供されており、ConfigManagerによってリアルタイムで設定を変更できる。

「オーディオ」は小規模ながらも慎重に設計されている。「マスター」「ミュージック」「SFX」といった音のグループ分け(バス)がされており、パフォーマンスのためにSFXプレーヤーはプールされ再利用される。音量スライダーと設定の永続化に対応し、ウェブ環境に優しいOgg形式のオーディオファイルを使用している。さらに、ガイド音声やボスキャラクターのセリフには「Elevenlabs」というAIツールで生成された高品質なボイスオーバーが使用されており、それぞれに異なる声が割り当てられている。

ゲームの「パフォーマンスと安定性」も重視されており、いくつかの最適化が施されている。パーティクル、デブリ、収集アイテム、一時的なアクターなど、頻繁に生成・破棄されるオブジェクトは「オブジェクトプーリング」という手法で再利用され、ゲームの負荷を軽減している。レンダリング面では、テクスチャの圧縮、効率的な衝突判定、グループ化、カリング(画面外のオブジェクトを描画しない)、次元マスクといった技術が用いられている。メモリ使用量とロード時間に関しても、リソースのキャッシュとクリーンアップ、そして非同期のレベルローダーによって最適化が図られている。ゲームの目標性能としては、60フレーム/秒、メモリ使用量1GB未満、初回ロード時間10秒以内、ダウンロードサイズ50MB未満が設定されている。分析データは、ゲームプレイ、UI、パフォーマンス、エラー、進行度、収益化といったカテゴリーに分類され、ユーザーのプライバシーを尊重しつつ、ローカルにバッチ処理される。

ゲームの「レベル」と「進行」は、プレイヤーが段階的にゲームに慣れていけるように設計されている。最初の「Level00 First Steps」は短く友好的な導入として機能し、続くレベルで新しい敵や仕掛けが導入され、最終的に「Level_GiantBoss」では複数のフェーズを持つ巨大なボスとの戦闘が繰り広げられる。レベルのアンロック条件はJSON形式の設定ファイルで管理され、前のレベルのクリア、最低スコア、最大デス数、レリック収集数などが設定可能で、レベルカードにはサムネイル、ロック表示、最新スコア、ベストスコア、ハートの数などが表示される。

ゲームは「Webファースト」で開発・配信されており、最も広範なウェブブラウザで動作するように、GL Compatibilityレンダラーが設定されている。解像度は1280x720に固定されているが、キャンバスはレスポンシブに対応し、タッチ入力も意識されている。デプロイにはVercelが利用され、スマートなヘッダーとキャッシュ機能によって高速な配信を実現している。もちろん、Windows、macOS、Linux向けのビルドも可能だ。

最後に、開発者は「Kiro」がいなければこのゲームは実現しなかったと述べている。Kiroは、Vibeモードで迅速な試作を可能にし、Specモードで設計に明確な形を与え、Hooksで日々の作業を自動化し、開発者が「製品」としてのゲームを意識するように導いた。Kiroは、インディー開発者が陥りがちな「支えのない機能追加」という落とし穴を避ける手助けをし、開発を規律あるペースで進める「メトロノーム」のような存在だったという。

「Glitch Dimension」は、「クラッシュ・バンディクー」の閃きを「Godot」エンジンで形にし、そして「Kiro」という触媒によって、単なる夢が現実の、ウェブファーストのプラットフォームゲームとして実現された。このプロジェクトは、自律的なコーディングが未来のゲーム開発においていかに強力な味方となるかを示している。

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