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【ITニュース解説】Compiling a Functional Language to LLVM (2023)

2025年09月20日に「Hacker News」が公開したITニュース「Compiling a Functional Language to LLVM (2023)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

関数型言語を、コンピュータが実行できるプログラムにするため、LLVMという汎用的なツールへ変換する技術を解説。言語の仕組みやコンパイラの働きを学ぶ入門記事だ。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す皆さんにとって、ソフトウェアがどのように動いているか、その根幹を理解することは非常に重要だ。今回紹介する記事は、私たちが書くプログラムが、最終的にコンピュータが理解できる形にどう変換されるのか、その仕組みの一端を教えてくれる。具体的には、独自の関数型言語を「LLVM」という強力なツールを使って、コンピュータが実行できるコードの中間表現に変換する過程を解説している。

まず、コンパイラとは何かから始めよう。私たちがC++やPythonのようなプログラミング言語で書いたソースコードは、そのままではコンピュータは理解できない。コンピュータはもっと低レベルな命令(機械語)しか実行できないからだ。コンパイラは、人間が書いた高級言語のコードを、コンピュータが理解できる機械語に変換するソフトウェアのことだ。この変換の過程は複雑で、通常はいくつかの段階に分かれている。

記事で焦点を当てているのは、この変換過程の中でも特に「コード生成」と呼ばれる部分だ。コンパイラはまず、ソースコードを「字句解析」という段階で意味のある最小単位(トークン)に分解し、次に「構文解析」でこれらのトークンからプログラムの構造を木のような形(抽象構文木、略してAST)に組み上げる。そのASTが文法的に正しいか、「意味解析」でチェックした後、いよいよそのASTを元にコンピュータが実行できるコードを作り出すのが「コード生成」だ。

この記事では、独自の関数型言語「Lang」のASTを、LLVMという共通の中間表現に変換している。LLVMとは、Low Level Virtual Machine(低レベル仮想マシン)の略で、様々なプログラミング言語(C, C++, Swift, Rustなど)のフロントエンド(コードの解析部分)と、様々なCPUアーキテクチャ(x86, ARMなど)のバックエンド(機械語生成部分)をつなぐ、非常に強力な中間層として機能する。LLVM IR(Intermediate Representation)と呼ばれるこの中間表現は、人間にとっても比較的読みやすく、そして何よりも、効率的な最適化が適用されやすいように設計されているのが特徴だ。これにより、言語開発者は独自のバックエンドを実装することなく、LLVMが提供する最適化や多様なターゲットCPUへの対応といった恩恵を享受できる。

コード生成の具体的なプロセスを見ていこう。Lang言語のASTは、例えば整数リテラル(数字そのもの)、変数、加算、let式(変数を導入する構文)といった様々な種類の「式」で構成されている。これらのASTの各ノードを、LLVM IRの対応する命令に変換していく。

変換作業には、LLVMが提供するC++のAPIを使う。例えば、LLVMContextはLLVMの内部的な状態を管理し、IRBuilderはLLVM IRの命令を簡単に構築するためのツールだ。Moduleはコンパイル単位全体を表し、その中にFunction(LLVMの関数)やBasicBlock(連続する命令のブロック)が含まれる。

簡単な例として、ASTの「整数リテラル」は、LLVM IRでは単なる定数として表現される。ASTの「変数」は、事前に定義されたシンボルテーブル(名前と値の対応表)から、その変数に対応するLLVMの値を検索して取得する。ASTの「加算」は、左右のオペランドのASTをそれぞれLLVM IRに変換し、その結果を使ってLLVMの加算命令を生成する。

もっと複雑な例として「let式」がある。「let x = 10 in x + 5」のような式は、新しい変数xに値10を束縛し、そのスコープ内でxを使った計算を行う。これをLLVM IRに変換する際には、まずスタック上にxのためのメモリ領域を確保する命令(alloca)を生成する。次に、xに割り当てる値(この場合は10)を計算し、その値を確保したメモリ領域に書き込む命令(store)を生成する。その後のx + 5のような式でxの値が必要になったら、メモリ領域から値を読み出す命令(load)を使う。LLVM IRは「Static Single Assignment (SSA)」形式という特徴を持つが、このようにメモリを使って変数を扱うことで、より複雑な言語機能もIRに落とし込める。SSA形式とは、各変数が一度しか値を割り当てられないという制約のことで、これによって様々な最適化がしやすくなる。

これらのステップを経て、最終的に生成されたLLVM IRはテキスト形式で出力され、人間がその内容を確認できるようになる。記事では、実際に独自の言語のシンプルなコードが、どのようなLLVM IRに変換されるかを示しており、そのIRがどのようにコンピュータの実行に近づいているかがよくわかる。

このプロジェクトは、コンパイラの仕組み、特にASTからLLVM IRへのコード生成の基本的な考え方を学ぶ上で非常に良い出発点となるだろう。LLVMのような強力な中間表現を使うことで、言語設計者は複雑な最適化や多様なハードウェアへの対応といった課題から解放され、言語そのものの設計に集中できる。システムエンジニアとして、このような低レベルの仕組みを理解することは、より効率的で高性能なソフトウェアを開発するための土台を築くことに繋がる。コンパイラ構築は一見難しそうに見えるが、このようにステップバイステップで学ぶことで、その奥深さと面白さを実感できるはずだ。

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