【ITニュース解説】From Object Oriented Analysis and Design to Language like Rust - a major paradigm shift in the programming world...
2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「From Object Oriented Analysis and Design to Language like Rust - a major paradigm shift in the programming world...」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
C++やJavaなどのオブジェクト指向プログラミングから、Rustのような言語への移行は大きなパラダイムシフトだ。Rustはクラスベースの継承を避け、トレイトとコンポジションを利用する。メモリ管理は独自の所有権モデルで行い、ガベージコレクションやポインタを使用しない。ポリモーフィズムは静的ディスパッチを基本とし、例外処理にはResultとOptionを使用する。これらの違いを理解することが重要だ。
ITニュース解説
プログラミングの世界では、長年オブジェクト指向設計(OOAD)が主流だったが、Rustのような言語の登場により、大きなパラダイムシフトが起きている。C++やJavaといった言語からRustへの移行は、単なる新しい言語の学習以上の意味を持つ。
オブジェクト指向プログラミングでは、データ(状態)とそれを操作するメソッド(振る舞い)をまとめてクラスとして定義し、継承を使ってコードの再利用や機能拡張を行う。しかし、Rustではクラスベースの継承モデルを避け、代わりにトレイト(インターフェースに類似)とコンポジション(合成)を重視する。トレイトは、型が実装すべき共通の振る舞いを定義するもので、オブジェクト指向のインターフェースと似ている。コンポジションは、より小さな部品を組み合わせてより大きな機能を実現する設計手法で、継承による複雑な階層構造を避けることができる。
メモリ管理も大きな違いだ。Javaではガベージコレクションが自動的にメモリを解放するが、C++ではプログラマ自身がメモリを管理する必要がある(スマートポインタなどを使う)。Rustでは、所有権という独自の概念を導入し、メモリの安全性を保証する。Rustでは、すべての値に単一のオーナーが存在し、オーナーがスコープから外れると、その値が自動的に解放される。また、借用とライフタイムという仕組みにより、データへの参照がそのデータよりも長く生存することを防ぎ、ヌルポインタやデータ競合といったエラーをコンパイル時に検出できる。
ポリモーフィズム(多態性)の扱い方も異なる。オブジェクト指向では、継承を使ってポリモーフィズムを実現することが多いが、Rustでは静的ディスパッチ(単相化)を基本とし、必要に応じて動的ディスパッチを選択できる。静的ディスパッチは、コンパイル時に呼び出す関数を決定するため、実行速度が向上する。ただし、コードサイズが大きくなる可能性がある。動的ディスパッチは、実行時に呼び出す関数を決定するため、柔軟性があるが、静的ディスパッチよりも実行速度が遅くなる。Rustでは、ResultとOptionを使って例外処理を行う。
オブジェクト指向設計で重要な役割を果たしてきたUML(統一モデリング言語)の概念も、Rustでは異なる形で表現される。例えば、UMLの集約(Aggregation)は、Rustのライフタイム管理の制約により、完全に同じようには実現できない。集約は、オブジェクト同士が互いに独立して存在できる関係を表す。Rustでは、参照を使うことで集約に近い関係を表現できるが、所有権のルールにより、オブジェクトのライフサイクルが密接に結びついている必要がある。代わりに、所有権を使うことで、コンポジション(Composition)に近い関係を表現できる。コンポジションは、オブジェクトが別のオブジェクトを所有し、所有されるオブジェクトが所有するオブジェクトなしでは存在できない関係を表す。
Rustは、並行処理に関しても独自の仕組みを備えているが、この記事では詳細には触れられていない。
オブジェクト指向設計の原則を熟知しているエンジニアにとって、Rustへの移行は、プログラミングの考え方を大きく変える必要があることを意味する。デザインパターンも、Rustの特性に合わせて適用する必要があるだろう。