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【ITニュース解説】From Deployment to Architecture: Designing for Change and Scale

2025年09月15日に「Dev.to」が公開したITニュース「From Deployment to Architecture: Designing for Change and Scale」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

システムを変化に強く、拡張可能にする設計の基本を解説。サービス間連携を動的に行う方法、リスクを抑えたデプロイ戦略、モノリスとマイクロサービスの適切な選択、分散トランザクションの処理、イベントソーシングといったシステム設計で重要な考え方とパターンを紹介する。

ITニュース解説

現代のソフトウェアシステムを設計し、開発する上で、変化への適応と規模の拡大は避けて通れない課題だ。この課題に対応するためには、特定の設計プラクティスやパターンを理解し、適用することが不可欠となる。本記事では、システムが時間とともに進化し、回復力を維持し、運用の複雑さを軽減するための重要な概念を初心者向けに解説する。

まず、サービスディスカバリについて説明する。システムが複数の独立したサービスで構成されるようになると、これらのサービスがお互いをどのように見つけるかが問題となる。かつてのように、サービスのアドレスをプログラムに直接書き込む「ハードコーディング」は、環境の変化やサービスの増減に対応できないため推奨されない。サービスディスカバリの目的は、サービスが互いのエンドポイントを動的に発見できるようにすることだ。具体的な方法としては、サービスが中央のレジストリ(ConsulやEurekaなど)に自身の情報を登録し、他のサービスがそのレジストリに問い合わせて目的のサービスを見つける「中央レジストリ」方式がある。クライアントが直接レジストリに問い合わせ、負荷分散も行う「クライアントサイドディスカバリ」や、ロードバランサがディスカバリロジックを担当する「サーバーサイドディスカバリ」も存在する。例えば、KubernetesではDNSとサービスメッシュのプロキシ(Envoyなど)がこのサービスディスカバリの役割を担い、サービス間通信を円滑にしている。動的な環境でサービスが他のサービスを見つける仕組みは、システム設計において非常に重要な要素と言える。

次に、デプロイ戦略について見ていこう。新しいバージョンのソフトウェアを本番環境にリリースする際には、常にリスクが伴う。このリスクを最小限に抑え、安全にデプロイを行うための戦略がいくつか存在する。主要なものとして「ブルー/グリーンデプロイメント」がある。これは、現在の安定稼働中の環境(ブルー)と、新しいバージョンを展開した並行環境(グリーン)を用意し、準備が整ったらトラフィックを一瞬でグリーン環境に切り替える手法だ。これにより、問題が発生した場合にはすぐにブルー環境に戻すことができる。もう一つは「カナリアデプロイメント」と呼ばれる戦略で、新しいバージョンを最初にごく一部のユーザーにだけ公開し、その挙動を慎重に監視する。問題がなければ徐々に公開範囲を広げていき、最終的に全ユーザーに展開する。もし途中で問題が見つかれば、すぐに新しいバージョンへのトラフィックを停止し、元の安定版に戻すことが可能だ。どのようなデプロイ戦略を用いるにしても、常に安定したバージョンにシステムを戻せるように「ロールバック」の計画を立てておくことが極めて重要となる。例えば、新機能がまず5%のユーザーに展開され、エラーがないか監視され、問題がなければ徐々に全ユーザーに展開される、といったシナリオはカナリアデプロイメントの良い例である。

システムの構造に関する選択肢として「モノリス」と「マイクロサービス」がある。モノリシックなシステムは、すべての機能が単一の大きなアプリケーションとして構築されている。開発初期段階ではシンプルで管理しやすいという利点があるが、コードベースが大きくなるにつれてスケーリングや機能追加が難しくなる傾向がある。一方、マイクロサービスは、システムを独立した小さなサービス群に分割するアーキテクチャスタイルだ。それぞれのサービスが独立して開発、デプロイ、スケーリングできるため、大規模なチームでの開発や特定の機能の高性能化に適している。しかし、サービス間の通信や分散システムとしての複雑性が増すというデメリットもある。マイクロサービスが単なる流行だからといって採用すべきではない。初期段階ではモノリスで開発を始め、運用上のボトルネックが発生したり、チームの規模が大きくなったりした時に初めてマイクロサービスへの分割を検討するのが現実的だ。

複数のサービスにまたがる処理の整合性を保つための「分散トランザクション」も重要なトピックだ。例えば、オンラインストアで注文を受け付けた際に、在庫を減らし、支払い処理を行い、顧客に通知するといった一連の操作は、すべてが成功するか、すべてが失敗するかでなければデータの整合性が保てない。従来のデータベースで使われる「二相コミット(2PC)」という方法は強い整合性を提供するが、複数のサービスが互いに待ち合うためレイテンシが高くなり、システム全体の可用性を損なう可能性がある。そこで推奨されるのが「Saga(サガ)」パターンだ。Sagaは、一連のローカルトランザクションで構成され、各トランザクションが成功した場合に次のトランザクションが実行される。もし途中のトランザクションが失敗した場合、その前の成功したトランザクションを元に戻すための「補償アクション」を実行して、システムを元の整合性の取れた状態に戻す。例えば、注文が在庫を減らし、支払い処理をトリガーするが、支払いが失敗した場合、在庫の減少を取り消す補償アクションが実行される、といった流れだ。これにより、2PCのような高い結合度を避けつつ、最終的な整合性を確保できる。

最後に、「イベントソーシング」と「CQRS(Command Query Responsibility Segregation)」について説明する。イベントソーシングは、アプリケーションの状態変化を直接保存する代わりに、その状態変化を引き起こしたすべての「イベント」を、追記のみのログとして永続的に保存するデータ管理の手法だ。これにより、システムが現在の状態に至るまでのすべての履歴を正確に追跡できる。これは監査性や、過去のある時点でのシステム状態を再構築する能力において非常に強力だ。CQRSは、システムの「コマンド」(データの変更を伴う操作)と「クエリ」(データの読み取りを伴う操作)を扱うモデルを分離するアーキテクチャパターンだ。これにより、書き込み操作に最適化されたモデルと、読み取り操作に最適化されたモデルをそれぞれ独立して設計・実装できる。例えば、イベントストアはすべてのアクション履歴を保持し、読み取りモデルはその履歴から生成された最適化されたデータ構造でクエリに応答するといった形だ。これらを組み合わせることで、複雑なビジネスロジックを持つシステムにおいて、データの監査性、パフォーマンス、スケーラビリティを向上させることが可能となる。

これらの概念は、現代の分散システム設計において非常に重要だ。サービスディスカバリを利用して動的な環境に対応し、ブルー/グリーンやカナリアといったデプロイ戦略で安全にリリースを行い、運用のコストが正当化される場合にのみマイクロサービスを採用する。また、分散トランザクションではSagaパターンを優先し、監査性やパフォーマンスが求められる場合にはイベントソーシングとCQRSを検討することで、システムは進化し続け、回復力を持ち、長期的に運用が簡素化されるだろう。これらの知識は、システムエンジニアを目指す上で強力な土台となるはずだ。

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