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【ITニュース解説】Detecting Anomalies in R: A Practical Guide with Real-World Examples

2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Detecting Anomalies in R: A Practical Guide with Real-World Examples」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

R言語を使った異常検知の解説記事。データから異常なパターンや外れ値を見つけ出す技術で、金融業界での詐欺検知などに役立つ。Twitter AnomalyDetectionやAnomalizeといったRパッケージを使い、時系列データから不審な動きを特定する方法を実例と共に紹介。リスク防止や意思決定向上に貢献する。

ITニュース解説

異常検知は、データの中に潜む「いつもと違う」「予期せぬ」パターンを見つけ出す技術である。例えば、クレジットカード会社が顧客の利用履歴を分析する場面を想像してみよう。ある顧客が毎週25ドル程度の食料品購入を続ける中で、突然、一度の取引で700ドルもの高額な買い物があった場合、これは通常の行動から大きく逸脱した異常な動きとして、すぐに疑われる対象となるだろう。このように、これまでの確立されたパターンから著しく外れるデータが「異常(アノマリー)」と呼ばれるものである。

この異常検知は、銀行、金融、保険といった業界(BFSI)において極めて重要な役割を果たす。詐欺の検出、盗難の防止、不審な取引の監視など、企業が顧客の資産や信頼を守る上で不可欠な技術だ。近年では、Power BIのような分析ツールや、AI(人工知能)を活用したモデルの進化により、こうした異常をリアルタイムで特定できるようになってきている。

しかし、全ての異常が不正行為を示すわけではない。クレジットカードの例で言えば、家族構成の変化や大規模なイベントの開催など、顧客の生活に起因する正当な理由で一時的に高額な利用が発生することもある。異常検知における課題は、こうした「本物の行動変化」と「不正行為」をいかに正確に見分けるかにある。そして、その識別においてR言語を用いた異常検知モデルが非常に価値を発揮する。

データサイエンスの分野では、異常はしばしば「外れ値」という言葉で表現される。これは、一般的なデータパターンから大きく乖離した値のことだ。異常の発生原因は多様で、不正行為、システムのエラー、あるいは先述したような正当なイベントによっても生じる。具体的な異常の例としては、一枚のクレジットカードから少額ながら複数回にわたる不正な引き出し、顧客の過去の行動履歴と全く異なる突然の高額購入、あるいは普段とは異なる地理的場所からの取引などが挙げられる。BFSI企業にとって、このような異常なケースを迅速に特定することは、金銭的な損失を防ぎ、顧客からの信頼を維持するために不可欠なプロセスだ。AIコンサルティングファームは、異常検知アルゴリズムを導入することで、企業が詐欺や業務の非効率性、さらには顧客行動の変化を発見する支援を行っている。

R言語は、異常検知に特化した様々なパッケージを提供しており、それぞれ異なる統計的な手法に基づいている。この記事では、特に広く利用されている二つのアプローチを紹介する。一つはTwitter社が開発した「AnomalyDetection」パッケージで、これは「Seasonal Hybrid ESD(SH-ESD)」というアルゴリズムを利用している。もう一つは「Anomalize」パッケージで、時系列データ(時間の経過とともに観測されるデータ)を分析するための分解手法を用いている。これらのパッケージは、時間の流れの中で観測されるデータ、つまり時系列データの中に隠れた異常を見つけ出すのに有効だ。時系列データには、季節ごとの周期的なパターンや全体的な傾向といった要素が含まれることがあり、これらが実際の異常を見えにくくする可能性があるが、これらのツールはそのような隠れた異常を浮き彫りにする。

最初の例として、TwitterのAnomalyDetectionパッケージを用いたWikipediaページビューの分析を取り上げる。このパッケージは、時系列データにおける異常な急増(スパイク)や急減(ディップ)を特定する。例えば、国際サッカー連盟(FIFA)のWikipediaページビューデータを2013年3月以降で分析するケースを考えてみよう。R言語の特定のコマンドを使って必要なパッケージをインストールし、FIFAのページビューデータを取得した後、AnomalyDetectionTs関数を適用する。この関数は、与えられたデータの中から異常な日付を特定し、その結果をグラフとして可視化する。例えば、特定の日にページビューが異常に急増した場合、それはFIFAの試合開催日、選手に関するニュース、あるいは何らかの重要な発表があった日と一致することが多い。もし、そのような明確なイベントがないにもかかわらず急増が見られた場合、それはさらに調査すべき真の異常である可能性が高い。

次に、「Anomalize」パッケージを用いたBitcoin(ビットコイン)の価格変動の分析を見てみよう。Anomalizeは、特に金融系の時系列データ分析において強力なツールだ。このパッケージの大きな特徴は、「時系列分解(Time Decomposition)」という手法を利用する点にある。これは、時系列データを三つの主要な要素に分解することから始まる。一つは「トレンド(Trend)」で、データの長期的な上昇・下降傾向を示す。もう一つは「季節性(Seasonality)」で、週ごとや月ごとなど、周期的に繰り返されるパターンを指す。そして残りが「残差(Remainder)」であり、これらはトレンドや季節性では説明できない、イレギュラーな動きやノイズの部分である。Anomalizeパッケージは、まずこの時系列分解を行い、その後、残差の部分に対して「GESD(Generalized ESD)」という統計手法を適用して、異常な値を検出する。

具体的な手順としては、まずR言語でAnomalizeパッケージやその他の関連ライブラリをインストールし、ビットコインの過去の価格データを取得する。この価格データを時系列データとして整形した後、time_decompose関数を使ってトレンド、季節性、残差に分解する。分解された残差に対してanomalize関数を適用し、最終的にplot_anomalies関数で異常な点をグラフ上に赤色の点で表示する。この分析によって、例えば2018年のビットコイン価格の劇的な高騰のような、突然の価格変動を異常として識別し、視覚的に捉えることができる。

R言語には、これら以外にも多様な異常検知パッケージが存在する。「TsOutliers」は時系列データにおける外れ値の検出に特化しているし、「Factor Analysis(因子分析)」や「PCA(主成分分析)」に基づいた手法は、複数の変数が相互に関連する多変量データの中から異常を見つけるのに適している。どの手法を選ぶかは、データの性質や検知したい異常の種類によって異なるが、その根底にある原理は共通している。それは、「期待されるパターンから逸脱したデータポイントにフラグを立てる」ということだ。

異常検知は、単に「いつもと違う数字」を見つけるだけでなく、その「いつもと違う数字」がどのような文脈で発生したのかを深く理解することに本質がある。BFSI業界では不正を意味するかもしれないし、Eコマース業界では顧客の行動パターンが変化した兆候である可能性もある。また、医療分野では、患者の異常な身体活動を示唆することもあるだろう。R言語が提供する多様な異常検知パッケージを活用することで、企業は単に異常を発見するだけでなく、それに基づいてリスクを未然に防ぎ、業務プロセスを最適化し、より良い意思決定を行うための具体的な行動を起こすことができるようになる。データから価値を引き出し、ビジネス課題を解決するための強力なツールの一つが、この異常検知技術なのである。

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