【ITニュース解説】The DOM & Accessibility Tree explained with Pokémon
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「The DOM & Accessibility Tree explained with Pokémon」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
WebページのDOMツリーはHTML構造を基にブラウザが生成する。支援技術向けのアクセシビリティツリーはDOMツリーから作られ、コンテンツの名称、説明、役割、状態といった情報を持つ。スクリーンリーダーなどの支援技術はこのツリーを利用し、ユーザーに情報を提供する。正しいHTML構造はアクセシシビリティの高いWebページに不可欠である。
ITニュース解説
Webサイトやアプリケーション開発において、すべてのユーザーが情報にアクセスし、操作できる「アクセシビリティ」の確保は非常に重要である。特に、システムエンジニアを目指す初心者にとって、このアクセシビリティを実現するための基本的な仕組みを理解することは、将来のキャリアにおいて不可欠となる。ここでは、Webページの構造を司る「DOM Tree」と、それが支援技術にどのように情報を提供する「Accessibility Tree」、そしてそれらを仲介する「Accessibility APIs」について詳しく解説する。
まず、「DOM Tree(Document Object Model)」について説明する。DOMは、HTMLやXMLといった文書の構造をプログラムから操作できるようにするためのAPI(Application Programming Interface)である。簡単に言えば、Webページがブラウザに読み込まれた際に、そのページのすべての要素、属性、テキストなどが、まるで木の枝葉のように階層的なオブジェクトの集合体として表現されたものである。これは、Webページの「設計図」のような役割を果たし、JavaScriptなどのスクリプト言語がページのコンテンツやスタイルを動的に変更する際の基盤となる。例えば、ボタンをクリックしたときに表示されるテキストを変えたり、画像の表示・非表示を切り替えたりといった、あらゆるWebページのインタラクションはDOMを通じて行われる。DOMは、単に見た目の構造を表現するだけでなく、Webページの論理的な構造や意味も内包している。HTMLの<h1>や<p>、<a>といったタグが、それぞれ見出し、段落、リンクといった意味を持つように、DOM内のオブジェクトもそれらの意味を保持しているのだ。
このDOM Treeが、次に説明する「Accessibility Tree(アクセシビリティツリー)」の基盤となる。ユーザーがWebページを閲覧する際、ブラウザはDOMに基づいてAccessibility Treeを生成する。このAccessibility Treeは、スクリーンリーダーや点字ディスプレイなどの「支援技術」がWebサイトの内容を理解し、ユーザーに提供するために特化した情報構造である。支援技術は、このAccessibility Treeを「読み取る」ことで、Webページ上の要素がどのような役割を持ち、どのような情報を含んでいるのかを把握し、視覚に頼れないユーザーや操作に制限のあるユーザーにその情報を伝える。したがって、DOMを適切に構築することは、高品質なAccessibility Treeが生成され、支援技術がWebページを正確に解釈するために極めて重要となる。例えば、見出しの階層構造(<h1>、<h2>、<h3>…)を正しい順序で使うことは、Accessibility Treeを通じて支援技術がページの構造を把握し、ユーザーが効率的にコンテンツを移動できるようになるために不可欠である。この階層をスキップしたり、見た目だけで見出しのように見せかけたりすると、Accessibility Treeの構造が不完全になり、支援技術のユーザーは情報を追うことが困難になる。また、DOMはアクセシブルなカスタマイズも可能にする。例えば、日本語のルビ(ふりがな)を表現するためのrubyタグは、支援技術に対しても適切な発音情報を提供できるよう、DOMを通じてアクセシブルな情報として扱われる。
Accessibility Treeは、個々の要素について主に四つの重要な情報を持っている。第一に「Name(名前)」である。これは、特定の要素が何であるかを明確に識別するための情報であり、支援技術のユーザーが要素を理解する上で非常に重要だ。例えば、単に「こちら」というリンクではなく、「製品の詳細を見る」のように具体的に記述された名前は、ユーザーがリンクの遷移先を予測しやすくなるため、より有用な情報となる。第二に「Description(説明)」である。これは要素に関する追加情報を提供し、Nameだけでは伝えきれない詳細な文脈を補完する。第三に「Role(役割)」である。これは要素の種類を示す情報で、例えばその要素がボタンなのか、ナビゲーションメニューなのか、順序付きリストなのか、といった要素が持つ具体的な機能やタイプを伝える。この役割の情報があることで、支援技術は要素に対する適切な操作方法や情報の提示方法を判断できる。第四に「State(状態)」である。これは、特定の要素が現在どのような状況にあるかを示す情報である。例えば、チェックボックスが「チェックされている」のか「チェックされていない」のか、ボタンが「無効化されている」のか、といった動的な状態を伝える。すべての要素が状態を持つわけではないが、インタラクティブな要素にとってはこの状態情報が不可欠である。これらの情報がAccessibility Treeに完全に、かつ正確に記述されていることで、支援技術はWebページの内容を力強く、そして正確にユーザーに届けることができる。もしこれらの情報が欠けていたり、誤っていたりすると、支援技術のユーザーはWebページを正しく理解し、操作することが困難になってしまう。
最後に、「Accessibility APIs(アクセシビリティAPI)」について触れる。APIとは一般的に、二つ以上のコンピュータプログラムが互いに通信し、サービスを提供し合うためのソフトウェアインターフェースである。Accessibility APIsは、ブラウザが生成したAccessibility Treeの情報を、各プラットフォーム(Windows, macOSなど)の支援技術に橋渡しする役割を担う。つまり、Accessibility Treeが提供する情報を、支援技術が理解できる形式に変換し、支援技術がWebページの内容にアクセスできるようにする窓口であると言える。特定のOSやブラウザには、それぞれ独自のAccessibility APIが存在する。例えば、Windows環境では「Microsoft UI Automation」がその代表的な存在である。これは、支援技術がデスクトップ上のUI要素にアクセスするためのWindowsフレームワークであり、開発者がこのAPIとアクセシブルなデザインプラクティスを組み合わせることで、視覚、聴覚、運動能力に障害を持つ人々に対して、より使いやすいアプリケーションを構築できるようになる。また、UI Automationは自動テストのシナリオにおいても堅牢な機能を提供するために設計されている。macOS環境では、Appleが提供する「macOS Accessibility API」が存在する。Appleはユーザー中心のアクセシビリティへの取り組みで知られており、macOS Accessibility APIはアプリケーションをアクセシブルにするためのさらなるオプションを提供している。標準のAppKitビューやコントロールはすでにこのAPIを採用しているが、カスタムコントロールを使用する場合や、アプリケーションの文脈でコントロールをより有用にするためには、開発者が追加情報を付与したり、適切なアクセシビリティプロトコルを採用したりすることが求められる。Microsoft EdgeやMozilla Firefoxといった主要なブラウザにも、それぞれの内部でアクセシビリティツリーを構築し、各プラットフォームのAccessibility APIを通じて支援技術に情報を提供する仕組みが備わっている。
これらの知識は、システムエンジニアとしてアクセシブルなWebサイトやアプリケーションを設計、開発、テストする上で不可欠な基礎となる。DOMを正しく構築し、それによって生成されるAccessibility Treeが完全で正確な情報を提供し、そして各プラットフォームのAccessibility APIを通じてその情報が支援技術に適切に届けられるようにすることが、すべてのユーザーにとって使いやすいデジタル環境を実現するための鍵となるのだ。