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【ITニュース解説】Installing Openshift: The hard way!

2025年09月20日に「Dev.to」が公開したITニュース「Installing Openshift: The hard way!」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

OpenShiftを、オフライン環境や複数マシン構成など、実企業に近い複雑な設定でインストールする挑戦記。DNS、ロードバランサー、NTP、DHCP、外部ストレージ、Bastion Hostなど、導入に必要な要素を具体的に解説しており、システム構築の基礎が学べる。

出典: Installing Openshift: The hard way! | Dev.to公開日:

ITニュース解説

この記事は、Red Hat OpenShiftという複雑なシステムを、あえて難易度の高い方法でインストールすることに挑戦する内容だ。この「ハードな方法」を選ぶのは、実際の企業環境で直面するであろう状況を再現し、深いレベルで技術を習得するためである。システムエンジニアを目指す上で、このような実践的な学習は非常に価値がある。

筆者は、これまでの勤務経験から得た知見をもとに、以下のようなシナリオを再現しようとしている。一つ目は「オフライン環境」だ。これは、インターネットに直接接続できない環境を意味する。多くの企業では、セキュリティ上の理由から基幹システムが稼働するネットワークをインターネットから隔離している場合がある。このような環境でOpenShiftを構築するには、必要なソフトウェアやコンテナイメージを事前にダウンロードし、内部ネットワークに持ち込む手間がかかる。

二つ目は「異なるマシンでのサービス運用」だ。これは、ロードバランサー、DNSサーバー、DHCPサーバーといった、クラスターを支える基盤サービスが、OpenShiftクラスターを構成するマシンとは別に、それぞれ専用のサーバーで管理されている状況を指す。これは企業において一般的な構成であり、各サービスの専門性や負荷分散、障害分離の観点から理にかなっている。しかし、OpenShiftのインストールでは、これらの外部サービスとの連携を自分自身で構築・設定する必要があり、より複雑になる。

三つ目は「ネットワーク分離」である。これは、クラスターの各部分(例えば、管理用のネットワーク、アプリケーション用のネットワーク、ストレージ用のネットワークなど)がそれぞれ異なるネットワークに分かれている状態を指す。ネットワーク分離はセキュリティ強化やトラフィックの最適化に寄与するが、異なるネットワーク間の通信経路やファイアウォール設定を綿密に計画し、実装する能力が求められる。

このような複雑な環境を再現するため、筆者は自宅のラボ環境を構築している。具体的には、Proxmoxという仮想化ソフトウェアをインストールした一台の物理サーバー上で、OpenShiftクラスターに必要な多数の仮想マシンを動かす構成だ。物理的にはシンプルな構成に見えるが、その上に仮想的に複数のネットワークやサービスを構築することで、実際の企業環境に近い複雑さを実現する。

OpenShiftを構築する上で、特に重要となるいくつかのコンポーネントとその役割を以下に説明する。

まず「DNS(Domain Name System)」は、コンピューターの名前とIPアドレスを結びつける「インターネットの電話帳」のようなものだ。OpenShiftクラスターでは、すべてのノード(クラスターを構成する個々のコンピューター)がお互いの名前を解決できるよう、適切にDNSを設定する必要がある。具体的には、各ノードのホスト名とIPアドレスの「正引き(名前からIPアドレスを調べる)」および「逆引き(IPアドレスから名前を調べる)」レコードが必要となる。さらに、OpenShift上で稼働するアプリケーションに外部からアクセスできるようにするため、「*.apps.cluster.example.com」のようなワイルドカードDNSエントリの設定も欠かせない。これにより、複数のアプリケーションが異なる名前でアクセスされても、すべて同じIngressコントローラー(後述)にルーティングされる。

次に「ロードバランサー」は、多数のアクセスを複数のサーバーに均等に振り分ける交通整理役だ。OpenShiftクラスターでは、大きく二つの重要な場所でロードバランサーが使われる。一つは「APIサーバー」へのアクセスだ。APIサーバーはOpenShiftクラスターの脳みそのようなもので、クラスターの管理操作はすべてここを経由する。複数のAPIサーバーがある場合、ロードバランサーがこれらのサーバーにトラフィックを分散させ、単一障害点(一つのコンポーネントが停止するとシステム全体が停止する点)をなくし、可用性を高める。もう一つは「Ingressコントローラー」へのアクセスだ。Ingressコントローラーは、OpenShift上で動くアプリケーションへのHTTP/HTTPSトラフィックを外部から受け付ける玄関口であり、ロードバランサーがそのトラフィックを適切なIngressコントローラーに転送する。

「NTP(Network Time Protocol)」は、すべてのクラスターノードの時刻を正確に同期させるためのプロトコルである。コンピューターシステムが協調して動作する際には、各マシンの時刻が正確に一致していることが極めて重要だ。時刻がずれていると、ログの解析が困難になったり、認証プロセスで問題が発生したり、データの一貫性が損なわれたりする可能性がある。OpenShiftのような分散システムでは、NTPによる時刻同期は安定稼働の必須要件だ。

「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)」は、ネットワークに接続されたデバイスにIPアドレスやその他のネットワーク設定を自動的に割り当てる仕組みだ。静的なIPアドレスを手動で設定することも可能だが、特にラボ環境や頻繁に構成が変わる環境では、DHCPを使うことで設定の手間を大幅に削減できる。この記事のシナリオでは、DHCPも個別のサーバーで管理されることが想定されているため、その設定もインストールプロセスに含まれるだろう。

「外部ストレージ」は、アプリケーションが永続的にデータを保存するために必要な要素だ。OpenShift上で動くコンテナ化されたアプリケーションは、通常、一時的なデータしか保持しないため、アプリケーションが停止したり別のノードに移動したりしてもデータが失われないように、永続的なストレージが必要となる。記事ではNFS、iSCSI、Ceph/Rook、NetApp、Portworxといった具体的なストレージ技術の例が挙げられている。これらはすべて、クラスター内の複数のノードからアクセスできる共有ストレージを提供する技術であり、アプリケーションのデータ永続性を保証する。

最後に「踏み台サーバー(Bastion Host)」は、内部ネットワークと外部ネットワークの間に配置される、セキュリティ上の橋渡し役となる仮想マシンである。外部からの直接アクセスを制限し、セキュリティを確保しながら、内部のシステムを管理するための拠点となる。特に、オフライン環境では、OpenShiftのインストールに必要なコンテナイメージやファイルを外部から一度この踏み台サーバーに持ち込み、そこから内部のネットワークに配布するための「オフラインレジストリ」としても機能する。これは、インターネット接続がない環境でシステムを構築する際の重要なステップとなる。

この記事では、OpenShiftのインストールに向けた準備段階として、これらの基盤コンポーネントの重要性と設定の概要が述べられている。次回以降の投稿で、具体的な仮想マシンの構築手順が解説される予定だ。このような「ハードな方法」での学習は、各コンポーネントがOpenShiftクラスター全体の中でどのような役割を担い、どのように連携しているのかを深く理解する貴重な機会となるだろう。

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