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【ITニュース解説】【速報】iOS26での耐量子計算機暗号(PQC)調査

2025年09月16日に「Qiita」が公開したITニュース「【速報】iOS26での耐量子計算機暗号(PQC)調査」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

最新OS「iOS26」がリリースされた。筆者は、iPhoneが「耐量子計算機暗号(PQC)」に対応しているかを調査。以前、iPhoneがPQCに未対応だった事実から、新OSでの対応状況に注目している。

ITニュース解説

私たちの生活はインターネットと密接に結びついており、スマートフォンやパソコンを通じて日々様々な情報がやり取りされている。これらの情報の安全を守る上で欠かせないのが「暗号技術」だ。暗号は、私たちが送受信するデータが盗み見られたり、改ざんされたりするのを防ぐための重要な仕組みであり、オンラインショッピングでのクレジットカード情報や、メッセージアプリでの個人的な会話など、あらゆる場面で利用されている。もし暗号がなければ、私たちのデジタルなプライバシーやセキュリティは簡単に脅かされてしまうだろう。

現在広く使われている暗号技術の多くは、「公開鍵暗号」と呼ばれる方式に基づいている。これは、情報を暗号化するための「公開鍵」と、暗号化された情報を復号(元に戻す)するための「秘密鍵」という二つの鍵を使う方式だ。公開鍵は誰でも利用できるように公開されるが、秘密鍵は情報を受け取る人だけが厳重に保管する。これにより、たとえ通信を傍受されても、秘密鍵がなければ内容を読み取ることができないため、安全な通信が可能となる。特に、RSA暗号や楕円曲線暗号といった技術が、インターネット上のセキュリティを支える基盤となっている。これらの暗号の安全性は、非常に大きな数字を素因数分解するのが極めて難しい、あるいは特定の問題を解くのが非常に難しいという数学的な困難さに基づいている。現在のコンピュータでは、これらの問題を解くのに膨大な時間がかかり、事実上不可能であるとされているため、安全が保たれているのだ。

しかし、この安全性に大きな脅威をもたらす可能性を秘めているのが「量子コンピュータ」という次世代の計算機だ。量子コンピュータは、現在の私たちが使っている古典的なコンピュータとは根本的に異なる原理で動作し、特定の種類の計算において圧倒的な処理能力を発揮する。特に、先述した公開鍵暗号の安全性の根拠となっている数学的な問題を、量子コンピュータは現在のコンピュータでは考えられないほどの速さで解くことができると予測されている。例えば、RSA暗号を破る「ショアのアルゴリズム」や、楕円曲線暗号を破るための「グローバーのアルゴリズム」といった量子アルゴリズムが発見されており、これらが実用化されると、現在の暗号技術は簡単に破られてしまう危険性がある。つまり、今私たちが安全だと思って使っているインターネット上の情報が、将来的に量子コンピュータによって読み解かれ、プライバシーが侵害されたり、機密情報が漏洩したりする可能性があるということだ。

このような将来的な脅威に対抗するために開発されているのが、「耐量子計算機暗号(PQC)」、または「量子耐性暗号」と呼ばれる新しい暗号技術だ。PQCは、量子コンピュータをもってしても効率的に破ることができないように設計された暗号アルゴリズムの総称である。現在、世界中の研究者や機関がPQCの研究開発に力を入れており、複数の異なる方式が提案されている。これには、格子問題と呼ばれる数学的な問題に基づく暗号や、ハッシュ関数に基づく暗号、符号理論に基づく暗号など、様々なタイプがある。アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は、標準となるPQCアルゴリズムの選定を進めており、すでにいくつかの有望な候補が選ばれ、標準化の最終段階に入っている。PQCへの移行は、単に新しい技術を取り入れるだけでなく、将来にわたって私たちのデジタルな安全を確保するための、極めて重要な準備となる。

なぜ今、PQCへの移行がこれほどまでに重要視されているのか。それは、「今」から対策を始めることが不可欠だからだ。量子コンピュータが実用化されるのはまだ先の話だと考えられているが、一度実用化されてしまえば、それまでに蓄積された暗号化されたデータが全て危険にさらされる可能性がある。これを「ハーベスト・ナウ・デクリプト・レイター(今収穫し、後で解読する)」攻撃と呼ぶ。つまり、現在の暗号化されたデータを量子コンピュータが実用化されるまで保存しておき、将来的に一気に解読するというものだ。このような攻撃から機密情報を守るためには、量子コンピュータが登場する前に、PQCへと移行しておく必要がある。また、PQCの実装には、既存のシステムやインフラの変更が必要となり、そのプロセスにはかなりの時間とコストがかかる。そのため、できるだけ早く移行計画を立て、準備を進めることが求められているのだ。

今回のニュース記事では、GMOコネクトの菅野氏が「iOS 26」という新しいモバイルOS環境におけるPQC対応状況の調査を行ったことが報告されている。菅野氏は以前の記事で、iPhoneがPQCにまだ対応していないという事実を知り、その後の動向に強い関心を持っていたため、最新のiOSであるiOS 26がリリースされた際に、すぐにインストールしてPQC関連の変更がないかを確認した。これは、モバイル環境、特にスマートフォンにおけるPQC対応の重要性を示している。スマートフォンは私たちの日常生活に深く根ざしたデバイスであり、個人情報や決済情報など、極めて重要なデータを扱っている。もしスマートフォンのセキュリティが量子コンピュータによって脅かされることになれば、その影響は計り知れない。そのため、モバイルOSやアプリケーションがPQCに対応することは、将来的なセキュリティを確保する上で非常に重要なステップとなる。菅野氏の調査は、現状のiOSがPQCにどのように対応しようとしているのか、あるいはまだ対応に至っていないのかを探るための試みであり、将来のモバイルセキュリティの方向性を占う上で貴重な情報を提供するものだ。もし現状でPQCへの対応が進んでいなければ、それは今後のアップデートで対応が求められる大きな課題となるだろう。

このように、私たちのデジタルライフを支える暗号技術は、量子コンピュータの登場によって大きな転換期を迎えている。耐量子計算機暗号(PQC)への移行は、単なる技術的な課題ではなく、将来のセキュリティ、プライバシー、そして国家の安全保障に関わる重要な問題だ。モバイルデバイスを含むあらゆる情報システムにおいて、PQCへの適切な対応が進められることが、安全で信頼できるデジタル社会を維持していく上で不可欠である。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このPQCという新しい暗号技術とその動向は、今後ますます重要な知識となるだろう。

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