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【ITニュース解説】Public static void main(String[] args) is dead

2025年09月16日に「Hacker News」が公開したITニュース「Public static void main(String[] args) is dead」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Javaプログラムの開始点として必須だった「Public static void main(String[] args)」の記述が、新たな技術の登場で不要になり、時代遅れになりつつある。今後は異なる起動方法が主流になるだろう。

ITニュース解説

Javaプログラミングを学ぶ上で、誰もが最初に目にする「お約束」がある。それが public static void main(String[] args) という、プログラムの実行開始地点を示す記述である。長年にわたり、Javaプログラムを作成する際には必ずこの形式でメインメソッドを定義する必要があったため、多くの初心者プログラマが、その意味を十分に理解しないまま「とりあえず書く」ことを余儀なくされてきた。しかし、Java 21で導入された「Unnamed Classes and Instance Main Methods (JEP 463)」という新たな機能により、この伝統的なエントリポイントの記述方法が大きく変化し、より簡潔なJavaプログラムの作成が可能になった。

この変化は、タイトルにある「public static void main(String[] args) is dead」が示唆するように、従来の堅苦しい書き方が不要になることを意味する。具体的には、このJEP 463は主に三つの側面でJavaプログラムの構造を簡素化する。

第一に、「無名クラス」の導入である。これまでのJavaでは、すべてのコードは必ず何らかのクラスの内部に記述する必要があった。例えば、「Hello, World!」と表示するだけのシンプルなプログラムでも、public class MyProgram { ... } のようにクラスを定義し、その中にメインメソッドを書く必要があった。しかし、無名クラスの機能を使えば、クラスの宣言なしに、ソースファイルのトップレベルに直接メソッドを記述できるようになる。これは、まるでPythonやJavaScriptのようなスクリプト言語に近い感覚でJavaコードを書き始めることを可能にする。初心者にとっては、まずクラスの概念から入る必要がなくなり、より直感的にコードを書き始めることができるため、学習の初期段階での負担が大きく軽減されることが期待される。

第二に、「インスタンスメインメソッド」のサポートである。従来の main メソッドには必ず static キーワードが必要だった。static は、そのメソッドが特定のオブジェクト(インスタンス)に属するのではなく、クラスそのものに属することを示すキーワードである。オブジェクト指向プログラミングの学習初期において、オブジェクトの概念を学ぶ前に static という、やや抽象的な概念に触れることは、多くの初心者にとって混乱の原因となっていた。しかし、JEP 463により、main メソッドから static キーワードを省略し、通常のインスタンスメソッドとして定義できるようになる。これにより、メソッドが実行される際には、暗黙的にそのクラスのインスタンスが作成され、そのインスタンス上でメソッドが呼び出される形となる。これは、オブジェクト指向の基本を学ぶ上で、より自然な流れでメソッドの振る舞いを理解する手助けとなる。

第三に、「main メソッドのシグネチャの簡略化」である。これまでの main メソッドは public キーワードと String[] args という引数を必須としていた。public は、そのメソッドがどのクラスからでもアクセス可能であることを示すアクセス修飾子である。また、String[] args は、コマンドラインからプログラムに渡される引数を受け取るためのものである。これらのキーワードや引数も、初心者にとっては初見で理解しにくい要素だった。新しい機能では、public キーワードは省略可能になり、String[] args も、プログラムがコマンドライン引数を必要としない場合には完全に省略できるようになる。これにより、最もシンプルな「Hello, World!」プログラムは、もはやクラス宣言も staticpublicString[] args も必要とせず、たった数行のコードで書けるようになる。

これらの変更がもたらす最大のメリットは、Javaの学習曲線が大幅に緩やかになることである。これまでJavaの学習を始めたばかりのプログラマは、public static void main(String[] args) の各キーワードの意味を深く理解しないまま暗記し、その背後にある複雑な概念(クラス、インスタンス、静的メンバ、アクセス修飾子、配列など)に早い段階で直面していた。この「とりあえず書く」文化は、Javaの学習の敷居を高くしていた一因であったと言える。新しい記述方法では、まず実行したいコードをシンプルに書き、徐々にJavaのオブジェクト指向の概念やより高度な機能を学んでいくことができるようになるため、プログラミングへの導入がよりスムーズになる。

この機能はまた、Javaをスクリプト言語のように手軽に利用したい場合や、REPL(Read-Eval-Print Loop、対話型実行環境)での利用において非常に強力なツールとなる。REPLでは、これまでもクラス宣言なしにコードを実行できる工夫がなされてきたが、今回の変更により、より自然な形で簡単なコードスニペットを試すことができるようになる。これは、小規模なユーティリティスクリプトの作成や、特定の機能の動作確認など、迅速なプロトタイピングや開発に役立つ。

しかし、この新しい機能が従来のJavaのベストプラクティスを完全に置き換えるわけではない点には注意が必要である。大規模なエンタープライズアプリケーション開発や、複数のファイル、パッケージにまたがる複雑なシステムにおいては、これまで通りのクラスベースの構造や public static void main(String[] args) の形式が引き続き推奨される。無名クラスはパッケージに所属せず、他のクラスから参照されることもないため、その適用範囲は限定的である。今回の変更は、主にJavaの学習初期段階、小規模なスクリプト、プロトタイピング、そして対話型実行環境での利用に焦点を当てたものであり、Javaのエコシステム全体をより柔軟でアクセスしやすいものにすることを目指している。

結論として、Java 21で導入された「Unnamed Classes and Instance Main Methods」は、Javaプログラミングの最初のハードルを大きく下げる画期的な機能である。これにより、Javaがより多くの初心者プログラマにとって魅力的な選択肢となり、現代のプログラミング環境における多様なニーズに応えるための重要な一歩となる。従来の厳格な記述ルールに縛られることなく、もっと自由に、もっと気軽にJavaの力を活用できるようになるだろう。

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