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【ITニュース解説】Just Use HTML

2025年09月16日に「Hacker News」が公開したITニュース「Just Use HTML」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

Web開発では、複雑な技術に頼らずHTMLの基本的な機能を活用することの重要性を解説。特にコメント機能の実装において、シンプルにHTMLを使うことで、効率的かつ堅牢なシステム構築が可能になると指摘する。システムエンジニアを目指す初心者は、HTMLの基本を深く理解することが重要だ。

出典: Just Use HTML | Hacker News公開日:

ITニュース解説

Webサイトにコメント機能を追加することは、多くのシステムエンジニア志望者や初心者にとって魅力的なテーマだ。しかし、一見シンプルな機能に見えるコメントシステムは、実は非常に複雑な技術的課題を抱えていることが多い。ユーザーからのコメントを受け付け、保存し、表示するという一連のプロセスには、想像以上に多くの技術要素が絡んでくる。

まず、一般的なコメントシステムがどのような要素で構成されているかを考えてみよう。ユーザーがコメントを投稿するためには、何らかの入力フォームが必要になる。そして、投稿されたコメントは永続的に保存される必要があり、そのためにはデータベースが不可欠となる。データベースに保存されたコメントは、ウェブページ上に表示されるために、サーバーサイドのプログラムによってデータベースから読み出され、HTML形式に変換される必要がある。さらに、スパムコメントを防ぐための対策、不適切な内容を検出・削除するモデレーション機能、ユーザーがログインしてコメントできるようにするための認証機能、そしてコメントがリアルタイムに表示されるための仕組みなど、考慮すべき点は多岐にわたる。これらの機能をすべて自前で実装しようとすると、サーバーの設定、データベースの設計、プログラミング言語の選定、セキュリティ対策など、多くの専門知識と工数が必要となり、特に初心者にとっては大きな負担となる。

このような複雑さから、多くの開発者はDisqus(ディスカス)のようなサードパーティのコメントサービスを利用する選択をする。これらのサービスは、コメント機能のほぼ全てを外部に委託できるため、開発の手間を大幅に削減できるという大きなメリットがある。しかし、外部サービスに依存することには、パフォーマンスの低下(コメント部分の読み込みに時間がかかる)、プライバシーの懸念(ユーザーデータが外部に保存される)、表示のカスタマイズが制限されるといったデメリットも存在する。また、外部サービスの利用料が発生する場合もある。

そこで、「Just Use HTML」、つまり「ただHTMLを使うだけ」という哲学が提案される。これは、コメント機能のような複雑に見える課題を、できる限りシンプルに、HTMLを中心とした基本的な技術だけで解決しようというアプローチだ。この考え方の根底には、本当にその機能に複雑な技術が必要なのか、もっと簡単な方法はないのかという問いかけがある。

具体的な方法の一つとして、静的なウェブサイトでのコメント機能の実装が挙げられる。現代のウェブサイトでは、WordPressのようなCMS(コンテンツ管理システム)を使わずに、静的サイトジェネレーターと呼ばれるツールを使ってHTMLファイルを生成し、それをサーバーに配置する構成も増えている。このような静的サイトの場合、コメントをデータベースに保存する仕組みがないため、そのままではコメント機能を追加できないと思われがちだ。しかし、「Just Use HTML」のアプローチでは、ユーザーからのコメントを直接HTMLファイルに保存するのではなく、別の方法で受け付ける。例えば、コメントフォームの送信先を、GitHubのIssue機能や、管理者個人のメールアドレスに設定するのだ。

ユーザーがコメントを投稿すると、その内容はGitHubのIssueとして登録されたり、管理者のメールボックスに届いたりする。管理者は、届いたコメントの内容を確認し、手動でウェブサイトのHTMLファイルにそのコメントを追加する。その後、静的サイトジェネレーターを使ってサイト全体を再ビルドし、新しいHTMLファイルをサーバーにアップロードすることで、コメントがウェブサイト上に表示されるようになる。この方法は、サーバーサイドのプログラミングやデータベースの管理が一切不要となり、ウェブサイトのセキュリティリスクを大幅に低減できる。コメントが表示されるまでに管理者の承認という手間はかかるが、スパムコメント対策やコンテンツの品質維持の面では大きなメリットとなる。

もう一つのシンプルな実装方法は、HTMLのフォーム要素とメールプロトコルを組み合わせるものだ。HTMLの<form>タグに、送信先をmailto:your-email@example.comのように設定し、method="post"enctype="text/plain"と指定する。この設定により、ユーザーがフォームを送信すると、ウェブブラウザはユーザーのデフォルトのメールクライアントを起動し、フォームの内容を本文とした新しいメールを作成する。ユーザーはそのメールを送信することで、管理者へコメントを送ることができる。この方法も、サーバーサイドのスクリプトを一切必要としないため、非常にシンプルでセキュリティリスクが低い。ただし、ユーザーの環境にメールクライアントがインストールされていることや、送信時にユーザーが手動で確認・承認する必要があるという制約はある。

このような「Just Use HTML」のアプローチは、一見すると手間がかかる、あるいは時代遅れだと感じるかもしれない。しかし、これには多くのメリットがある。第一に、開発と運用が格段に容易になる。覚えるべき技術スタックが少なく、サーバー管理やデータベースの複雑さから解放されるため、初心者でも比較的簡単にシステムを構築・維持できる。第二に、システムが非常に堅牢になる。依存する外部システムや複雑なプログラムが少ないため、障害発生のリスクが低く、問題が発生した場合でも原因の特定と解決がしやすい。第三に、セキュリティが向上する。データベースやユーザー認証機能がないため、データ漏洩や不正アクセスといった攻撃の対象が大幅に減る。第四に、パフォーマンスが優れている。コメントが静的なHTMLとしてページに埋め込まれるため、ウェブページの表示速度が非常に高速になる。最後に、データに対する完全なコントロールが得られる。すべてのデータが自分の手元にあるため、プライバシーポリシーやデータ所有権に関する懸念がなくなる。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、この「Just Use HTML」の哲学は非常に重要な教訓となる。新しい技術や複雑なフレームワークを学ぶことは重要だが、それらを闇雲に導入するのではなく、本当にその技術が必要なのか、もっとシンプルで堅牢な解決策はないのかを常に問いかける思考力が求められる。技術はあくまで問題を解決するための手段であり、過剰な技術導入は、システムの複雑性を高め、開発・運用コストを増加させ、かえって問題を引き起こすことにもなりかねない。シンプルさを追求し、堅実な基盤の上にシステムを構築することこそが、長期的に安定した、信頼性の高いシステムを生み出すための鍵となる。この考え方を実践することで、初心者でも無理なく、しかし効果的なシステムを構築する力が身につくはずだ。

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