【ITニュース解説】Networking foundations Part 2: What is Link layer in TCP/IP?
2025年10月05日に「Medium」が公開したITニュース「Networking foundations Part 2: What is Link layer in TCP/IP?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
TCP/IPのリンク層とは何かを、システムエンジニアを目指す初心者に解説する。コンピューターネットワークの基礎をなす、データが物理的にどう伝送されるか、その役割と仕組みを深掘りする。
ITニュース解説
ネットワークで情報をやり取りする際に、どのような仕組みでデータが運ばれているのか、その根元にある土台の役割を担うのがTCP/IPモデルの「リンク層」である。インターネットを含む今日のほとんどのネットワーク通信は、TCP/IPという一連のルールに基づいて行われている。TCP/IPモデルは、ネットワーク通信の複雑なプロセスをいくつかの「層」に分割し、それぞれの層が特定の役割を受け持つことで、効率的かつ確実にデータをやり取りできるよう設計されている。一般的にこのモデルは五つの層で構成されており、最も上にあるのがアプリケーション層で、私たちが普段使うWebブラウザやメールソフトなどがこの層のサービスを利用している。その下には、トランスポート層、インターネット層と続き、今回注目するリンク層は、これらすべての層を支える最も物理的な部分を担う重要な層である。
リンク層は、データが実際に電気信号や光信号、電波となって物理的な媒体(イーサネットケーブル、光ファイバー、Wi-Fi電波など)を流れる際のルールや手順を定める層である。この層の主な役割は、直接つながっている隣接する機器間でのデータの送受信を管理することだ。具体的には、データを物理的に伝送する準備と実行、そして送られてきたデータが途中で破損していないかを確認するエラー検出の機能を提供する。ネットワークの専門用語で言えば、OSI参照モデルという別の概念では、この役割はデータリンク層と物理層の二つに分かれているが、TCP/IPモデルではこれらを統合してリンク層と呼ぶことが多い。
リンク層において、ネットワークに接続する各機器を識別するために重要なのが「MACアドレス」である。MACアドレスは、ネットワークインターフェースカード(NIC)と呼ばれる、パソコンやスマートフォンなどの機器に組み込まれたネットワーク接続用の部品一つひとつに、製造時に割り当てられた世界で唯一の物理的な識別子である。例えば、パソコンの有線LANポートやWi-Fiモジュールには、それぞれ異なるMACアドレスが設定されている。データがネットワーク内を移動する際、このMACアドレスを宛先として、どの機器にデータを送るべきかを特定する。これは、ネットワーク上で特定の機器にデータを届けるための直接的な住所のような役割を果たす。
リンク層でやり取りされるデータの単位は「フレーム」と呼ばれる。上位層(例えばインターネット層)から受け取ったデータに、リンク層は自身の役割を果たすための情報、具体的には「ヘッダ」と「トレーラ」を付与してフレームを作成する。フレームのヘッダには、データを送る側のMACアドレス(送信元MACアドレス)と、データを受け取る側のMACアドレス(宛先MACアドレス)が含まれる。これにより、データがどの機器から来て、どの機器へ向かっているのかがリンク層のレベルで識別できる。また、フレームの最後には「FCS(Frame Check Sequence)」と呼ばれるエラーチェック情報が付与される。受け取った側の機器は、このFCSを使ってデータが正しく届いたかどうかを検証し、もし破損があれば再送要求を出すなどの処理を行うことで、通信の信頼性を確保する。
現在、有線LANで最も広く普及しているリンク層の技術が「Ethernet(イーサネット)」である。イーサネットは、どのようにケーブルを介してデータを送受信するか、どのようなフレーム構造を持つかといった具体的なルールを定めている。これにより、異なるメーカーのネットワーク機器でも互いに通信できる共通の基盤が提供され、世界中で標準的なネットワーク技術として利用されている。
インターネット層で使われる「IPアドレス」と、リンク層で使われる「MACアドレス」は異なる役割を持つ。IPアドレスは論理的な住所であり、ネットワーク全体での経路指定に用いられるが、MACアドレスは物理的な住所であり、直接つながった機器間でのデータ転送に必要となる。この二つのアドレスを結びつけるのが「ARP(Address Resolution Protocol)」というプロトコルである。ARPは、あるIPアドレスを持つ機器のMACアドレスを知りたいときに利用される。例えば、同じネットワーク内にいるパソコンAがパソコンBにデータを送りたいとき、パソコンAはパソコンBのIPアドレスは知っていても、直接通信するために必要なMACアドレスを知らない場合がある。この状況で、パソコンAは「〇〇のIPアドレスを持つ機器のMACアドレスを教えてください」というARP要求をネットワーク全体にブロードキャストする。該当するIPアドレスを持つパソコンBは、「私のMACアドレスはこれです」というARP応答をパソコンAに送り返す。これにより、パソコンAはパソコンBのMACアドレスを知ることができ、以降はMACアドレスを使った直接的なフレームの送受信が可能になる。
同じネットワーク内、特に有線LAN環境では「スイッチ」というネットワーク機器が重要な役割を果たす。スイッチは、複数の機器を接続し、フレームが効率的に転送されるようにする機器だ。スイッチは、どのMACアドレスを持つ機器がどのポートに接続されているかを学習し、「MACアドレステーブル」と呼ばれる情報を自身の内部に持つ。フレームがスイッチに届くと、スイッチはフレームの宛先MACアドレスを見て、MACアドレステーブルと照合し、該当するMACアドレスが接続されている特定のポートにのみフレームを転送する。これにより、無関係な機器にデータが送られることを防ぎ、ネットワーク全体の通信効率を向上させる。これは、ルーターがIPアドレスに基づいて異なるネットワーク間を接続するのに対し、スイッチはMACアドレスに基づいて同一ネットワーク内での通信を最適化する点で異なっている。
このように、リンク層はネットワーク通信の最も土台となる部分であり、データが物理的な媒体を介して正しく送受信されるための重要な役割を担っている。MACアドレスによる機器の識別、フレームによるデータの整形、イーサネットのような具体的な技術、そしてARPによるアドレス解決やスイッチによる効率的な転送など、これらの見えないところで機能する様々な仕組みが連携して、私たちの快適なインターネット利用を支えているのである。