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【ITニュース解説】パスワード不要の認証技術「パスキー」の基礎知識と導入メリットを徹底解説

2025年09月19日に「ZDNet Japan」が公開したITニュース「パスワード不要の認証技術「パスキー」の基礎知識と導入メリットを徹底解説」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

パスワード管理の手間や情報漏えい、不正アクセスのリスクは企業の大きな課題だ。これを解決する新しい認証技術が「パスキー」である。パスキーはパスワード不要で、セキュリティを強化し、従業員やIT部門の負担を軽減。次世代の安全な認証方式として注目されている。

ITニュース解説

システムを利用する上で避けて通れないのが「認証」という行為だが、特に主流のパスワード認証は、便利である一方で多くの問題とリスクを抱えている。ユーザーは複雑なパスワードを覚え、定期的に変更し、サービスごとに異なるものを設定する手間があり、これにより同じパスワードの使い回しや簡単なパスワード設定が発生し、セキュリティリスクを高めている。情報漏えいや不正アクセス、フィッシング詐欺といった脅威も絶えず、従来のパスワード認証ではこれらのリスクに完全に対応することは難しい。企業側も、パスワード忘れへの対応や、情報漏えい時の被害拡大といった課題に直面し、IT部門にとって大きな運用負担となっているのが現状だ。

このような状況を根本から改善し、より安全で便利な認証を実現するために登場したのが、次世代認証技術「パスキー」である。パスキーは、その名の通りパスワードを不要とする認証方式で、単にパスワード入力がなくなるというだけでなく、認証の仕組み自体が大きく進化しているのが特徴だ。パスキーは、FIDO Allianceという団体が提唱するFIDO認証(Fast IDentity Online)の技術を基盤としており、特にFIDO2と呼ばれる最新の認証仕様の一部として実装が進められている。

パスキーの認証は、公開鍵暗号方式という高度な暗号技術に基づいている。この方式では、「秘密鍵」と「公開鍵」という対になる二つの鍵が利用される。ユーザーが新しいサービスでパスキーを有効にすると、まずそのサービスとユーザーのデバイス(スマートフォンやPCなど)の間で、この秘密鍵と公開鍵のペアが生成される。生成された秘密鍵は、ユーザーのデバイス内に厳重に保管され、通常は生体認証(指紋や顔認証)やデバイスのPINコードによって保護され、ユーザー本人しかアクセスできないようになっている。この秘密鍵は、デバイスから外部に出ることは基本的にない。一方、公開鍵は、認証を行うサービス側に安全に登録される。

次に、ユーザーがそのサービスにログインしようとすると、デバイスは秘密鍵を使って特定の情報を「署名」する。この署名された情報がサービス側に送られると、サービス側は以前登録された公開鍵を使って、その署名が正しいものであるか、つまり正規のデバイスから送られたものかを検証する。この一連のプロセスが成功すれば、ユーザーはパスワードを入力することなくログインが完了する。重要なのは、秘密鍵がデバイスの外に出ないため、たとえサービス側が攻撃されて公開鍵が漏洩したとしても、ログインに必要な秘密鍵は安全なままであるという点だ。また、フィッシング詐欺のように偽のサイトに誘導されても、正規のサイトでなければデバイスが秘密鍵で署名を行わないため、ユーザーは騙されることがない。これにより、従来のパスワード認証が抱えていた多くのセキュリティ問題を解決できる。さらに、パスキーは複数のデバイス間で同期できる仕組みも提供されている。例えば、AppleのiCloudキーチェーンやGoogleのパスワードマネージャーなどを利用することで、あるデバイスで作成したパスキーを、同じアカウントで利用している別のデバイスでも簡単に利用できるようになる。これにより、デバイスの買い替え時や複数デバイスでの利用時もスムーズに認証が行えるため、利便性も非常に高い。

パスキーの導入は、利用者と企業双方に大きなメリットをもたらす。利用者にとっては、まずパスワードを覚える必要がなくなる点が大きい。複雑な文字列を記憶したり、定期的に変更したり、サービスごとに使い分けたりといった手間から解放される。ログイン時には、指紋認証や顔認証といった生体認証、あるいはPINコードを入力するだけで良く、非常にスムーズな体験が得られる。これにより、パスワード忘れによるログイン失敗や、パスワード再設定の煩わしさも解消される。また、フィッシング詐欺に対して非常に強い耐性を持つため、より安心してインターネットサービスを利用できる。

企業側にとっても、セキュリティの大幅な向上は計り知れないメリットだ。パスワードリスト攻撃や総当たり攻撃、フィッシング詐欺といった、従来のパスワード認証が抱えていた脆弱性からシステムとユーザーを保護できる。これにより、情報漏えいや不正アクセスのリスクを低減し、企業の信頼性を高めることが可能になる。また、パスワード忘れやロックアウトに関するIT部門への問い合わせが減るため、サポートコストを削減できる。従業員のパスワード管理にかかる時間やストレスも軽減され、結果として生産性の向上にも繋がるだろう。システムエンジニアの視点から見ると、標準化された安全な認証基盤を導入することで、認証システムの設計や実装が簡素化され、保守運用の効率化にも寄与する。

パスキーは、主要なオペレーティングシステム(Windows、macOS、iOS、Android)やWebブラウザがすでにサポートしており、技術的な基盤は整いつつある。サービス提供者は、FIDO Allianceの仕様に準拠した形で、既存の認証システムにパスキー認証を連携させたり、新しいサービスで導入したりすることが可能だ。段階的な導入も考慮されており、従来のパスワード認証と併用しながら、徐々にパスキーへの移行を促すことができる。パスキーは、単なる新しい認証技術ではなく、インターネットにおけるセキュリティと利便性の両面を向上させるための重要なステップとなる。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この技術は将来のシステム開発において避けては通れない知識となるだろう。安全で使いやすいサービスを設計・開発するためにも、パスキーの原理と利点を深く理解しておくことが重要である。

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