【ITニュース解説】Getting Started with rsync: The Smarter Way to Copy Files
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「Getting Started with rsync: The Smarter Way to Copy Files」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
rsyncは、ファイルやディレクトリを効率的にコピー・同期するツール。変更された部分のみを転送するため、高速で信頼性が高い。ローカルでのバックアップ、リモートサーバーへの同期、ウェブアプリのデプロイなどに活用可能。SSH経由での安全な通信もサポート。`--delete`オプションで完全な同期、`--dry-run`オプションで実行前の確認もできる。
ITニュース解説
rsyncは、Linux環境でファイルを効率的にコピー・同期するための強力なツールだ。多くの人がファイルのコピーにcpやscpコマンドを使うが、大規模なプロジェクトやリモートサーバーとの連携、頻繁なバックアップ作業においては、rsyncがより優れた選択肢となる。rsyncは、変更された部分のみを転送するため、高速かつ効率的で、信頼性も高い。
rsyncの最大の特徴は、その名前「remote sync(リモート同期)」が示す通り、差分同期の仕組みにある。単純に全てのファイルをコピーするのではなく、ソース(コピー元)とデスティネーション(コピー先)を比較し、変更があったファイルやデータのみを転送する。これにより、既に最新の状態であるファイルのコピーをスキップし、転送するデータ量を大幅に削減できる。また、rsyncは「デルタアルゴリズム」と呼ばれる技術を使用しており、ファイル全体ではなく、変更された部分(差分)のみを転送するため、さらに高速化される。
rsyncは、ファイルの内容だけでなく、パーミッション(権限)、オーナーシップ(所有者)、シンボリックリンクなどの属性も保持するため、データの整合性を保ったままコピー・同期できる。これは、システムの設定ファイルや重要なデータを扱う際に非常に重要だ。
基本的な使い方を見てみよう。rsync file.txt backup/というコマンドは、file.txtをbackup/ディレクトリにコピーする。これはcpコマンドと似た動作だが、rsyncは既にbackup/に同じファイルが存在する場合、変更がなければコピーをスキップする。
ディレクトリ全体を同期する場合は、rsync -av project/ backup/project/というコマンドを使用する。-aオプションは「アーカイブモード」を意味し、パーミッション、シンボリックリンク、タイムスタンプなど、ファイルの属性を全て保持する。-vオプションは「verbose(詳細表示)」を意味し、実行中に何が起こっているかを表示する。このコマンドを実行すると、backup/project/ディレクトリの内容がproject/ディレクトリと完全に同じになる。
rsyncの真価は、リモートサーバーとの連携で発揮される。rsync -av project/ user@server:/home/user/project/というコマンドを使えば、ローカルのproject/ディレクトリをリモートサーバーの/home/user/project/ディレクトリに同期できる。この際、rsyncはSSH(Secure Shell)を使用して安全な通信を行うため、特別な設定は不要だ。SSHでサーバーにログインできる状態であれば、rsyncもそのまま利用できる。
データの整理に役立つオプションとして、--deleteがある。rsync -av --delete project/ backup/project/というコマンドを実行すると、コピー元ディレクトリ(project/)で削除されたファイルやディレクトリが、コピー先ディレクトリ(backup/project/)からも削除される。これにより、常にコピー元とコピー先のディレクトリを完全に一致させることができる。
実際に変更を行う前に動作を確認したい場合は、--dry-runオプションを使用する。rsync -av --dry-run project/ backup/project/というコマンドを実行すると、rsyncは実際にファイルをコピー・削除する代わりに、どのような変更が行われるかを画面に表示する。これは、大規模なデータの同期を行う前に、設定が正しいかどうかを確認するのに非常に役立つ。
rsyncは、様々な用途に利用できる。バックアップシステムを構築する際に、cronなどのジョブスケジューラと組み合わせて定期的にrsyncを実行することで、自動バックアップを実現できる。また、Webアプリケーションのファイルをサーバーにデプロイする際に、rsyncを使用すれば、変更されたファイルのみを転送するため、迅速なデプロイが可能となる。さらに、ローカル環境で複数のフォルダを同期させることで、ファイルの管理を効率化できる。
rsyncは、最初は単なるコピーコマンドのように見えるかもしれないが、その豊富なオプションと機能を理解することで、時間、帯域幅、そして無駄な作業を大幅に削減できる。バックアップの構築、異なるマシン間でのプロジェクトの移動、サーバーへのコードのデプロイなど、様々な場面でrsyncを活用できる。最初はシンプルに使い始め、徐々にオプションを使いこなしていくことで、rsyncの真価を実感できるはずだ。