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【ITニュース解説】# Schema Evolution & Encoding: Building Future-Proof Data Systems 🚀

2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「# Schema Evolution & Encoding: Building Future-Proof Data Systems 🚀」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

システム開発ではデータ構造(スキーマ)の変更は避けられない。本記事は、新しいデータ構造でも古いデータやシステムが問題なく動くよう、後方・前方互換性を保つ設計の重要性を解説する。ProtobufやAvroなどの技術で、変化に強く、未来にわたって安定稼働するデータシステムを構築する方法を紹介している。

ITニュース解説

現代のソフトウェア開発において、データは常に変化し、進化する。アプリケーションの要件は時間とともに変わり、それに伴ってデータを保存したり、やり取りしたりする際のデータ構造、すなわち「スキーマ」も変更する必要が出てくる。このスキーマの変更をいかにスムーズに、そして既存のシステムに悪影響を与えずに扱うかが、データシステムを「将来にわたって使える」ものにするための重要な課題である。

データが進化する中で最も重視されるのが、「互換性」の維持である。互換性には主に二つの種類がある。一つ目は「後方互換性」だ。これは、新しいバージョンのアプリケーションのコードが、古いバージョンのアプリケーションが作成したデータを問題なく読み込めることを指す。例えば、アプリケーションを少しずつアップデートしていく際に、すでに保存されている古い形式のデータが新しいアプリケーションでも使えることが保証される。二つ目は「前方互換性」だ。これは、古いバージョンのアプリケーションのコードが、新しいバージョンのアプリケーションが作成したデータを問題なく読み込めることを意味する。もし新しいバージョンに問題が見つかり、一時的に古いバージョンに戻す(ロールバックする)必要が生じた場合でも、新しいデータが古いアプリケーションで読み込めるため、安全にシステムを運用できる。これら二つの互換性を両立させることが、変化に強いデータシステムを構築する上で欠かせない。

データシステムがデータを保存したり、ネットワーク経由で他のシステムに送ったりする際、メモリ上にあるデータ構造を特定の形式のバイト列に変換するプロセスが必要になる。これを「エンコーディング」、あるいは「シリアライゼーション」と呼ぶ。例えるなら、宅配便で荷物を送る際に、中身の品物をダンボール箱にきちんと詰めて送れる状態にするようなものだ。このエンコーディングの形式が、後述する互換性の問題に深く関わってくる。

データ交換の伝統的な解決策として、gRPCやApache ThriftのようなRPC(Remote Procedure Call)フレームワークがある。これらはProtocol Buffersなどのスキーマ定義言語を使って、データ構造を厳密に定義する。例えば、ユーザーのプロフィール情報を扱うスキーマであれば、「ユーザーIDは整数、名前は文字列」といった具合に、フィールドの名前とその型をあらかじめ決めておく。そして、このスキーマ定義から、JavaやC++、Goのような静的型付け言語で利用できるクラスが自動生成される。スキーマを変更する際には、新しいフィールドを追加する場合はそれを「オプション」と指定したり、デフォルト値を設定したりすることで、後方互換性を保つ工夫をする。これにより、古いアプリケーションで使われていたデータでも、新しいアプリケーションで読み込む際に問題が生じないようにする。

しかし、JavaScript、Python、Rubyのような動的型付け言語では、このような厳密なスキーマ定義とクラス生成のアプローチが必ずしも適しているとは限らない。これらの言語ではコンパイル時に型チェックが行われず、実行時にスキーマの検証が必要になるため、伝統的な方法では柔軟性に欠けたり、不自然に感じられたりすることがあった。

この動的言語の課題を解決するために登場したのが「Apache Avro」である。Avroの最も特徴的な点は、「デュアルスキーマシステム」を採用していることだ。これは、データをエンコード(書き込む)する際に使う「書き込みスキーマ」と、デコード(読み込む)する際に使う「読み込みスキーマ」の二つのスキーマを使うという考え方である。データ自体にはスキーマ情報は含めず、書き込みスキーマと読み込みスキーマを比較することで、互換性を実現する。

Avroは、このデュアルスキーマシステムを使って、非常に賢く互換性を処理する。具体的なフィールドの解決ルールは以下の通りだ。もし書き込みスキーマにはあるが、読み込みスキーマには存在しないフィールドがあった場合、そのフィールドは読み込み時に無視される。反対に、読み込みスキーマにはあるが、書き込みスキーマには存在しないフィールドがあった場合、読み込みスキーマで定義されているデフォルト値が使われる。そして、両方のスキーマに共通して存在するフィールドは、直接マッピングされて読み込まれる。この仕組みにより、書き込み時と読み込み時でスキーマが異なっていても、柔軟にデータを処理することができ、前述の後方互換性も前方互換性も両方実現できるようになる。

さらに、複数のシステムがネットワークを介して通信する場合、どのスキーマバージョンを使うかを事前に合意する「スキーマネゴシエーション」というプロセスも重要になる。これは、通信を開始する際に、お互いのシステムが使用可能なスキーマバージョンを交換し、どちらのバージョンを使うかを取り決めることだ。一度合意されたスキーマは、その通信セッション全体で使われるため、メッセージごとにスキーマ情報を付与する必要がなく、パフォーマンスの向上にもつながる。

データシステムを将来にわたって使い続けるためには、スキーマ進化に関するいくつかのベストプラクティスがある。まず、新しいフィールドを追加する際は、必ず「オプション」として定義し、適切なデフォルト値を提供すべきである。これにより、古いスキーマで書かれたデータでも新しいアプリケーションで問題なく読み込める。次に、スキーマの変更にはセマンティックバージョニング(意味的なバージョン管理)を適用し、どの変更が互換性に影響するかを明確にするべきだ。そして、最も重要なことの一つは、実際にデータを使って互換性テストを十分に行うことである。逆に、避けるべきこととしては、必須フィールドを削除すること、フィールドのデータ型を大きく変更すること、そして異なる目的のために一度使ったフィールドIDや名前を再利用することなどがある。これらは、既存のデータやアプリケーションとの互換性を損ねる可能性が高いからだ。

Netflix、LinkedIn、Uber、Airbnbといった多くの大手企業が、これらのスキーマ進化のパターンを実際のシステムで活用している。例えば、マイクロサービス間のデータ交換にProtocol BuffersやThriftを、大規模なデータパイプラインにAvroを利用することで、システムを停止させることなく新しいバージョンをデプロイしたり、古いデータを新しい形式にスムーズに移行したりする「ゼロダウンタイムデプロイメント」を実現している。

結論として、スキーマ進化への対応は、単なる技術的な課題ではなく、ビジネスの成長とシステムの信頼性を支える基盤である。適切なエンコーディング戦略と互換性維持の原則を初期段階から設計に取り入れることで、デプロイメントに伴うリスクを低減し、多様な技術スタックをサポートしながら、持続的にシステムを進化させることが可能となる。Protocol Buffers、Thrift、Avroのいずれを選択するにしても、「変化に対応できるように設計する」という考え方が、将来にわたって使えるデータシステムを構築する上での最も重要な教訓となる。

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