【ITニュース解説】Spring streaming response made easy
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Spring streaming response made easy」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Spring Bootで大量のデータを取得する際、レスポンス表示に時間がかかる問題がある。この記事では、`StreamingResponseBody`を利用し、データを一つずつストリーミング配信することで、この遅延を解消する方法を解説する。これにより、クライアントは最初のデータからすぐに処理を開始でき、効率的に大量データを扱えるようになる。
ITニュース解説
現代のWebサービスでは、膨大なデータを扱う機会が非常に多くなっている。例えば、商品カタログや顧客リストなど、データベースに数百万件もの情報が保存されていることは珍しくない。このような大量のデータをWebアプリケーションを通じてユーザーに提供しようとする際、しばしば「応答の遅延」や「アプリケーションのメモリ不足」といった問題が発生する。これは、これまでの一般的なデータ取得方法が、すべてのデータを一度にまとめて処理してからクライアントに送るためである。
システムエンジニアがWebアプリケーションを開発する際、データベースからデータを取得し、それをWebブラウザなどのクライアントに返す処理を実装する。従来の方式では、例えば100万件の製品リストを返すAPIを作成した場合、まずアプリケーションがデータベースから100万件すべての製品データを読み込み、それをJavaなどのプログラム言語のオブジェクトとしてメモリ上に保持する。次に、これらのオブジェクトをJSONのようなデータ形式に変換し、すべての変換が完了してから、その巨大なJSONデータをネットワークを通じてクライアントに一括で送信する。
この「一括送信」方式にはいくつかの課題がある。一つは、すべてのデータがアプリケーションのメモリに読み込まれるまで、そしてそのデータがすべてJSONに変換されるまで、クライアントは何も情報を受け取ることができず、長い待ち時間が発生することである。特にデータ量が膨大であればあるほど、この待ち時間は長くなる。もう一つの課題は、100万件ものデータをすべてメモリ上に保持する必要があるため、アプリケーションが必要とするメモリ量が非常に大きくなり、場合によってはメモリ不足によってアプリケーションが停止してしまう可能性もあることだ。
記事では、JavaとSpring Bootというフレームワークを使ってこの問題を具体的に示している。まず、PostgreSQLというデータベースにproductsというテーブルを作成し、そこに100万件の架空の製品データを挿入するSQLスクリプトが用意されている。次に、Javaのコードとして、データベースのproductsテーブルに対応するProductというクラス(エンティティ)と、データベース操作を簡単に行うためのProductRepositoryというインターフェースが定義されている。
そして、従来のデータ取得方法として、ProductControllerというWeb APIを提供するクラスにgetAll()というメソッドが実装されている。このメソッドは、productRepository.findAll()を呼び出すことで、データベースに保存されている100万件すべての製品データを一度に取得し、List<Product>というJavaのリストとして返す。このシンプルな実装は、小規模なデータであれば問題ないが、100万件ものデータになると、前述したようにクライアント側での長い待ち時間や、アプリケーション側での大量のメモリ消費を引き起こす。クライアントは、すべての製品情報が完全に準備され、まとめて送信されるまで、最初の1件すら見ることができない状態となる。
この課題を解決するために導入されるのが「ストリーミング応答」という技術である。ストリーミング応答とは、データを一括で送るのではなく、準備ができたデータから順次、少しずつクライアントに送り出す方式を指す。これにより、クライアントは最初のデータが届き次第すぐに処理を開始できるため、体感的な待ち時間を大幅に短縮できる。また、アプリケーション側もすべてのデータを一度にメモリに保持する必要がなくなるため、メモリ使用量を抑えられ、システム全体の安定性向上にも繋がる。
記事では、Spring BootのStreamingResponseBodyという機能を使ってストリーミング応答を実装する方法を示している。getAllStreamed()というメソッドがそれにあたる。このメソッドでは、HttpServletResponseオブジェクトを通じてクライアントへの出力ストリームに直接データを書き込む。具体的には、まずresponse.setContentType("text/event-stream")を設定し、クライアントにデータがストリーム形式で送られることを伝える。そして、productRepository.findAll()で取得される個々の製品データをループ処理し、それぞれをJSON形式の文字列に変換する。変換されたJSON文字列は、outputStream.write()メソッドを使ってクライアントへの出力ストリームに書き込まれる。さらにoutputStream.flush()を呼び出すことで、バッファに溜まったデータを即座に送信する。
この実装により、100万件の製品データであっても、1件目のデータがデータベースから取得され、JSONに変換でき次第、すぐにクライアントに送信が開始される。その後も、2件目、3件目と、データが順次準備されるたびに少しずつクライアントへ送られていく。クライアントはデータ全体が揃うのを待つことなく、届いたデータから順次表示や処理を開始できるため、ユーザー体験が大きく向上する。アプリケーションも、メモリ上に100万件分のJSONデータ全体を保持する必要がないため、効率的に動作する。
さらに高度なストリーミングとして、記事では「エンドツーエンドのストリーミング」という考え方にも言及している。これは、現在のStreamingResponseBodyを使った実装でも、productRepository.findAll()の時点でデータベースからアプリケーションのメモリへ、すべてのデータが一度に読み込まれる可能性があるという点を指摘している。より理想的なストリーミングは、データベースからデータを取得する段階でも、すべてのデータを一度に読み込むのではなく、少しずつ流し込むようにするものである。Spring WebFluxやJPA Streamといった技術は、このようなデータソースから最終的なクライアントまで、データが中断することなく流され続けるような、非同期かつリアクティブなプログラミングパラダイムを導入し、さらなるパフォーマンスと効率の向上を目指す。これらの技術を活用することで、極めて大規模なデータや多数の同時リクエストを扱うシステムにおいて、より高速で応答性の高いアプリケーションを構築できる。
このように、ストリーミング応答は、大量データを扱う現代のWebアプリケーション開発において非常に有効な手段である。従来の「一括送信」方式が抱える応答遅延やメモリ消費の問題を解決し、ユーザー体験の向上とシステム効率化に大きく貢献する。システムエンジニアを目指す上で、このようなデータの効率的な扱い方は、設計や実装において重要な知識となるだろう。