【ITニュース解説】What do you actually do after Senior Engineer? Demystifying the Staff+ role.
2025年09月03日に「Medium」が公開したITニュース「What do you actually do after Senior Engineer? Demystifying the Staff+ role.」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
シニアエンジニアの次にある、スタッフ、プリンシパルといった上級エンジニアの役割を解説。これらの職務では、技術力に加え、謙虚さ、情熱、チームを守る意識が重要となる。キャリアパスを具体的に知るのに役立つ記事だ。
ITニュース解説
システムエンジニアとしてのキャリアを歩み始めると、多くの人が「シニアエンジニア」という役職を一つの目標として意識するだろう。しかし、技術専門職としてのキャリアパスはそこで終わりではない。シニアエンジニアのさらに上には、より大きな責任と影響力を持つ「Staff+(スタッフプラス)」と呼ばれる役職群が存在する。これにはStaff Engineer、Principal Engineer、Distinguished Engineerなどが含まれるが、これらの役職が具体的にどのような役割を担うのかは、業界内でも十分に理解されているとは言えない。ここでは、シニアエンジニアの先に広がる技術キャリアの道筋を明らかにする。
シニアエンジニアとStaff+エンジニアの最も根本的な違いは、その「影響範囲」にある。シニアエンジニアの主な役割は、自身が所属するチームの技術的な課題を解決し、プロジェクトをリードすることである。彼らの貢献は、主にチームや担当するプロダクトの範囲内に留まる。一方で、Staff+エンジニアは、その影響範囲が複数のチーム、部門、場合によっては会社全体にまで及ぶ。例えば、あるサービスで利用されているデータベース技術を、全社的な標準として導入するためのアーキテクチャ設計や移行計画を策定するといった、より大規模で組織横断的な課題に取り組む。彼らは、一つのチームの成功だけでなく、組織全体の技術力の向上に責任を負う。
この影響範囲の拡大に伴い、日々の仕事内容も大きく変化する。シニアエンジニアまでは、新機能の開発やバグ修正といった、具体的なコーディング作業が業務の中心となることが多い。しかし、Staff+エンジニアになると、自身でコードを書く時間の割合は減少し、その代わりに技術的な戦略を立案したり、複雑なシステム全体の設計図を描いたり、異なるチーム間の技術的な利害を調整したりする時間が増加する。彼らは、目の前のコード一行だけでなく、ビジネスの成長を支えるために、システムが今後3年、5年とスケールし続けるにはどうあるべきかという、長期的かつ俯瞰的な視点で物事を考える役割を担う。
このような役割を果たすためには、卓越した技術力はもちろん不可欠だが、それだけでは不十分である。Staff+エンジニアには、技術力と同等に重要な人間的な資質が求められる。その中でも特に重要なのが、「謙虚さ」「情熱」、そして「チームを守る姿勢」の三つである。まず「謙虚さ」とは、自分の知識や経験が万能ではないと理解し、他のエンジニアの意見やアイデアに真摯に耳を傾ける姿勢を指す。複雑な技術課題は一人の天才の力だけでは解決できず、多様な視点を取り入れることで、より堅牢で優れた解決策が生まれることを知っている。次に「情熱」は、単に技術が好きという探求心にとどまらず、その技術を駆使して自社の製品やサービスをいかに成功させるかという、ビジネスへの貢献に対する強い意欲を意味する。この情熱が、困難で長期にわたる課題にも粘り強く取り組む原動力となる。最後に「チームを守る姿勢」とは、技術的なリーダーとして、チームが外部からの不合理な圧力や短期的な要求に惑わされることなく、技術的に正しい判断を下せるように擁護する役割である。エンジニアが本来のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、チーム全体の生産性を最大化することも彼らの重要な責務なのだ。
Staff+というキャリアパスは、エンジニアがマネジメント職に進むことなく、技術の専門家として組織に貢献し続けるための道筋である。シニアエンジニアの先には、コードを書くことから一歩引いた場所で、より大きな視点から技術的意思決定を行い、組織全体の技術力を底上げするという、挑戦的でやりがいのある世界が広がっている。システムエンジニアとしての長期的なキャリアを考える上で、このような多様な選択肢が存在することを知っておくことは、将来の目標設定において極めて重要である。