【ITニュース解説】Should you learn Rust NOW? My contribution to the Rust community - State Pattern in Rust...
2025年09月05日に「Dev.to」が公開したITニュース「Should you learn Rust NOW? My contribution to the Rust community - State Pattern in Rust...」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
プログラミング言語Rustが注目されている。大手企業も採用し、8年連続で最も人気な言語に選ばれた。メモリを安全かつ高速に扱え、並行処理も得意。OS開発などシステムプログラミングに適したC/C++の代替候補だ。
ITニュース解説
近年、プログラミング言語「Rust」がIT業界で大きな注目を集めている。世界中の開発者が利用する情報共有サイト「Stack Overflow」の調査では、8年連続で「最も愛されている言語」に選ばれており、Microsoft、Amazon、Googleといった巨大IT企業も自社の重要なシステムに採用し始めている。なぜ今、これほどまでにRustは支持されているのか、その理由と実際のコード例を交えながら、システムエンジニアを目指す人にも理解できるよう解説する。
Rustが持つ最大の特徴の一つに、「メモリ安全性」が挙げられる。コンピュータがプログラムを動かす際、データや命令を一時的に記憶する「メモリ」という領域を使用する。C言語やC++といった従来のシステムプログラミング言語では、プログラマが手動でメモリを管理する必要があり、その操作を誤るとプログラムの異常終了や深刻なセキュリティ上の弱点に繋がる可能性があった。一方、Rustには「借用チェッカー」という独自の仕組みが備わっている。これは、プログラムを実行する前のコンパイル段階で、メモリの使い方が安全かどうかを厳格にチェックする機能である。これにより、実行時に発生しうる多くのメモリ関連のエラーを未然に防ぐことができる。また、多くのモダンな言語が採用するガベージコレクションという自動メモリ管理機能に頼らないため、処理速度が非常に速く、OSやデバイスドライバ、IoT機器のような性能が厳しく要求される分野での開発に最適な言語とされている。
もう一つの重要な特徴は、「安全な並行処理」を実現できる点だ。現代のコンピュータは複数のCPUコアを持ち、同時に複数の処理を並行して行うことで性能を高めている。しかし、複数の処理が同じデータに同時にアクセスしようとすると、データが意図せず書き換えられてしまう「データ競合」という問題が発生しやすく、これは並行プログラミングにおける非常に厄介なバグの原因となる。Rustの「所有権モデル」という概念は、どの処理がどのデータに対する操作権限を持つかをコンパイル時に明確にする。これにより、データ競合が発生する可能性のあるコードをコンパイルエラーとして検出してくれるため、開発者は安心して高速な並行処理プログラムを書くことができる。
こうした強力な安全性と高いパフォーマンスを両立している点が、RustがC言語やC++の現代的な代替として期待される理由である。さらに、Rustには「Cargo」という非常に優れたパッケージマネージャ兼ビルドツールが標準で付属しており、プロジェクトの作成からライブラリの導入、プログラムのビルドまでを簡単なコマンドで実行できるため、開発環境の構築もスムーズに行える。
では、実際にRustがどのように使われるのか、具体的な設計手法である「Stateデザインパターン」を実装したコード例を見てみよう。Stateデザインパターンとは、オブジェクトが持つ「状態」に応じて、その振る舞いが変化するような仕組みを整理して実装するための設計パターンである。例えば、信号機が「青」「黄」「赤」という状態に応じて「進め」「注意」「止まれ」と振る舞いを変えるようなケースを想像すると分かりやすい。このパターンを使うと、状態が増えてもコードが複雑化しにくく、保守性の高いプログラムを作ることができる。
記事で紹介されているコードは、チキンを料理する一連の流れをStateデザインパターンで表現している。まず、料理のプロセス全体を管理するMammaというオブジェクトが存在し、このオブジェクトが現在のチキンの「状態」を保持する。状態には「洗浄前」「洗浄後」「味付け済み」「調理済み」といった種類がある。そして、各状態で行える操作として「洗う」「味付けする」「調理する」「提供する」が定義されている。
このコードの核心は、各状態を個別の構造体(UncleanedState、CleanedStateなど)として定義し、それぞれの状態で実行可能な操作を実装している点にある。「洗浄前」の状態(UncleanedState)で「洗う」操作を行うと、チキンは「洗浄後」の状態(CleanedState)に遷移する。一方で、「洗浄前」の状態で「味付けする」操作を呼び出しても、何も起こらず状態は変わらない。このように、各状態が自身の振る舞いと次の状態への遷移ロジックを内包することで、if文で「もし今の状態が〇〇ならば〜」と延々と分岐を書く必要がなくなり、コードの見通しが良くなる。Mammaオブジェクトは、これらの状態遷移を順番に呼び出すだけで、一連の料理プロセスを完了させることができる。この例は、Rustのトレイト(共通の振る舞いを定義する機能)や構造体を活用することで、複雑な設計パターンもクリーンかつ安全に実装できることを示している。
まとめると、Rustはメモリ安全性と安全な並行処理という強力な特徴により、高速かつ堅牢なソフトウェア開発を可能にする現代的なプログラミング言語である。その適用範囲はシステムプログラミングにとどまらず、Webアプリケーションやクラウドサービスなど多岐にわたる。活発なコミュニティと成長を続けるエコシステムにも支えられており、これからシステムエンジニアを目指す者にとって、Rustを学ぶことは自身の技術的価値を高め、キャリアの可能性を大きく広げるための賢明な選択と言えるだろう。