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【ITニュース解説】Decoding XRP Ledger: How Protocol Requirements Shape the Network (September 2025 Update)

2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「Decoding XRP Ledger: How Protocol Requirements Shape the Network (September 2025 Update)」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

XRP Ledgerのウォレット残高分析で、プロトコルの最低維持額が残高分布に強く影響することが判明した。特に10XRPと20XRPが上位を占め、多くのウォレットが放置されている。新規ウォレットにはスパムにより1.00000100 XRPという特定残高が急増し、ブロックチェーンの運用とユーザー行動の傾向を示す。

ITニュース解説

XRP Ledgerというブロックチェーンネットワークの膨大なウォレット残高を詳細に分析した結果、そこには単なるランダムな数値の羅列ではなく、ネットワークの仕組みやユーザーの行動が刻まれた「DNA」のような明確なパターンが隠されていることが明らかになった。まるで一般的な銀行口座の残高を調べた際に、特定の丸い金額が異常に多く見つかるようなものだと想像すると分かりやすい。

この分析では、約700万個のXRP Ledgerウォレットの中から、最も頻繁に現れる250種類の残高値を抽出した。これら250の値だけで、ネットワーク全体の約38.3%にあたる268万個以上のウォレットをカバーしている。上位50の値だけでも34%を占めるため、ネットワーク全体の主要なパターンを高い精度で捉えていると言える。この手法は、膨大なデータの中から支配的な傾向を効率的に見つけ出すことに役立っている。

この調査で最も顕著に現れたのは、XRP Ledgerの「最低準備金(ウォレット有効化手数料とも呼ばれる)」というプロトコル要件が、ウォレットの残高分布に決定的な影響を与えているという事実だ。この最低準備金は、ネットワークの乱用を防ぐためにウォレットの開設時に必要なXRPの量であり、その値は時間の経過とともに変化してきた。例えば、2012年のローンチ当初は1000 XRP、2013年初頭には200 XRP、2013年12月から2021年9月までは20 XRP、2021年9月から2024年12月までは10 XRP、そして2024年12月以降は1 XRPと変動してきた。

驚くべきことに、これらの過去の最低準備金が、現在のウォレット残高として大量に存在している。まるで木の年輪や考古学的な地層のように、ネットワークの歴史を物語る「価値の化石」が残されているのだ。現在、10.0 XRPという残高を持つウォレットが59万個以上あり、ネットワーク全体の約8.4%を占めて最も多い。次に多いのが20.0 XRPで、53万個以上のウォレットに存在し、約7.6%を占める。この二つの値だけで、全ウォレットの16%以上を占めているのは、ユーザーが最低準備金ピッタリの金額を預けてウォレットを放置する傾向が強いことを示している。これは、人間がキリの良い数字を好むという心理的な傾向が、ブロックチェーンのような技術的な環境でも強く現れることを示している。

特に注目すべきは「1.00000100 XRP」という残高だ。この特定の値を持つウォレットが約47万個も存在し、ネットワーク全体における残高ランキングで3位に急上昇している。これは、新規ユーザーが最低準備金である1 XRPでウォレットを有効化した直後に、自動的に0.000001 XRPという微量のXRPがウォレットに追加される「メモスパム」と呼ばれる迷惑行為によるものであると強く示唆されている。新しいウォレットの有効化を狙った、組織的で自動化されたスパム行為が横行しており、新規ユーザーがネットワークに参加する際のリスクとなっていることが判明した。

また、正確な最低準備金からわずかにずれた残高も多く見られる。例えば、9.99998800 XRPや19.99998800 XRPのような値は、ユーザーが一度はウォレットから資金を引き出した際に、取引手数料としてごくわずかなXRPが差し引かれ、残ったものだと考えられる。これは、ウォレットが過去に活動していた痕跡であり、その後放置されたことを示している。一方で、10.00000100 XRPのようにわずかに上回る値は、最低限の準備金に加えて少額のバッファを追加するユーザー行動や、特定のウォレットソフトウェアの実装の違いを反映している可能性もある。これらの小さな変動は、ユーザーの具体的な行動パターンや、ウォレットを管理するソフトウェアの挙動を読み解く手がかりとなる。

これらのデータは、ユーザーが一度作成したウォレットを滅多に削除せず、活動を停止してもそのまま放置する傾向が強いことを裏付けている。プロトコルが変更され、古い最低準備金が引き下げられても、過去のルールで開設されたウォレットはその時の残高を保ったまま存在し続けるため、時間の経過とともに古い「価値の化石」は少しずつ減少しているものの、その存在はネットワークの歴史を刻み続けている。

ネットワーク全体のウォレット数は、この7ヶ月間で約80万個増加し、13%の成長を見せている。特に、最新の最低準備金である1 XRP周辺のウォレットは45%も急増しており、最低準備金の引き下げが新たなユーザー獲得に貢献していることがわかる。しかし、それに伴い1.00000100 XRPのようなスパムの標的となるウォレットも増大しているという課題も浮上している。古い最低準備金である1000 XRPや200 XRPを持つウォレットは、分析期間中に半減または微減しており、ネットワークの世代交代が進んでいることも示唆されている。

これらのパターンは、単なる統計的な面白さにとどまらない重要な意味を持っている。ブロックチェーンネットワークは、単なる技術システムではなく、プロトコルの設計がユーザーの行動やネットワークの進化に永続的な影響を与えることを示している。人間の心理が丸い数字を好む傾向は、ブロックチェーンのような技術的な環境においても変わらず、10や20といったキリの良い数字が圧倒的な人気を誇る。これらの分析結果は、将来のブロックチェーンシステムの設計において、ユーザー行動やネットワークの持続可能性を考慮する上で貴重な洞察を与えている。XRP Ledgerで見られるこれらのパターンは、最低準備金のような特定のプロトコル要件が存在する他のブロックチェーンネットワークにも共通して存在する可能性があり、プロトコルの要件がいかにネットワークの「DNA」を形成しているかを示す好例だ。