100BASE-FX(ヒャクベースエフエックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
100BASE-FX(ヒャクベースエフエックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ひゃくベースエフエックス (ヒャクベースエフエックス)
英語表記
100BASE-FX (センベー スエフエックス)
用語解説
100BASE-FXは、イーサネットの物理層規格の一つであり、主に光ファイバーケーブルを用いて100Mbps(メガビット毎秒)の通信速度を実現する技術である。高速イーサネット(Fast Ethernet)と呼ばれる100Mbps対応イーサネット規格群の一部であり、電磁ノイズの影響を受けにくい長距離通信に適している。
「100BASE-FX」という名称は、その技術的な特徴を表している。まず「100」は通信速度が100Mbpsであることを示す。これは従来の10Mbpsイーサネットと比較して10倍の速度であり、当時のネットワークにおいて飛躍的な高速化をもたらした。「BASE」はベースバンド伝送方式を採用していることを意味する。ベースバンド伝送とは、デジタル信号をそのままケーブル上に流す方式であり、信号を変調せずに伝送するため、比較的単純な回路で実現できる利点がある。「FX」の「F」はFiber(ファイバー)を表し、光ファイバーケーブルを使用することを示唆している。「X」は、初期の高速ネットワーク規格であるFDDI(Fiber Distributed Data Interface)の物理層規格に由来する。これにより、100BASE-FXがFDDIの物理層技術を基盤としていることがわかる。
この規格の最大の特徴は、伝送媒体にマルチモード光ファイバーケーブルを使用する点にある。マルチモード光ファイバーは、複数の光のモード(経路)を伝送できるタイプの光ファイバーであり、主に比較的短距離の通信に用いられる。100BASE-FXでは、1300nm帯の光を使用し、送信用と受信用にそれぞれ一本ずつの光ファイバーを用いるため、合計2本の光ファイバーが必要となる。コネクタとしては、SCコネクタが一般的だが、STコネクタなども利用される場合がある。
100BASE-FXは、半二重通信と全二重通信の両方に対応している。半二重通信の場合、信号の衝突検出(CSMA/CD方式)が必要となるため、伝送距離は最大で412メートルに制限される。これは、衝突が発生した際にその情報を送信側が検知できる時間内に信号が往復できる距離に相当する。一方、全二重通信では、送受信が同時に行われるため衝突検出の必要がなく、伝送距離を最大2キロメートルまで延長できる。現在のほとんどのネットワーク機器は全二重通信をサポートしており、より効率的で高速なデータ転送が可能になっている。
光ファイバーケーブルを使用することには、いくつかの重要な利点がある。第一に、電磁ノイズや無線周波ノイズ(EMI/RFI)の影響をほとんど受けないことである。電気信号ではなく光信号でデータを伝送するため、工場やデータセンターなど、ノイズ源が多い環境での安定した通信を実現できる。第二に、電気的な絶縁性が高いため、グランドループの問題を回避できる。第三に、信号の減衰が少なく、比較的長距離の通信が可能である点も挙げられる。さらに、光ファイバーは電気信号を使用しないため、通信路からの盗聴が難しく、セキュリティ面でも優位性がある。
技術的な側面では、100BASE-FXはFDDIの物理層で使用されているPMD(Physical Medium Dependent)層の技術をベースにしている。具体的には、4B/5B符号化方式が採用されており、これはデータビットを5ビットのシンボルに変換して送信することで、直流バランスを保ち、クロック同期を容易にする役割を持つ。さらに、Fast Ethernetの共通物理層技術であるMII(Media Independent Interface)を介してMAC層と接続される。
100BASE-FXは、主にLAN環境において、ビル間接続、フロア間接続、あるいはノイズ対策が求められる環境でのバックボーン回線として利用されてきた。また、通信距離が比較的長く、電気的ノイズに強いという特性から、産業用ネットワークや医療機関など、特定の用途で現在でも利用されているケースがある。しかし、ギガビットイーサネット(1000Mbps)や10ギガビットイーサネット(10Gbps)といったさらに高速な規格が普及したことで、新規に構築されるネットワークでは主流ではなくなっている。それでも、既存のインフラとして、あるいは特定の要件を満たす選択肢として、その技術的な価値は依然として認識されている。