Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

Helloパケット(ハローパケット)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Helloパケット(ハローパケット)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ハローパケット (ハローパケット)

英語表記

Hello packet (ハロ パケット)

用語解説

Helloパケットとは、コンピュータネットワークにおいて、主にルーターなどのネットワーク機器同士が互いの存在を確認し、通信可能な状態を維持するために定期的に交換する特殊な制御メッセージである。ダイナミックルーティングプロトコルと呼ばれる、ネットワークの経路情報を自動的に学習・交換する仕組みの中で中心的な役割を担う。機器同士が初めて接続された際に、隣接する機器、すなわち「ネイバー」を発見するために使用される。その後も一定間隔で送信され続け、ネイバーが正常に稼働しているかを確認する生存確認信号として機能する。もし、定められた時間内にHelloパケットが相手から届かなくなると、そのネイバーはダウンしたと判断され、ネットワークの経路情報が更新される。これにより、ネットワーク障害発生時に自動的に迂回路へ通信を切り替えるなど、高い可用性と信頼性を実現する。つまり、Helloパケットはネットワークの自己組織化と自己修復機能の根幹を支える、重要な通信であると言える。

Helloパケットの具体的な動作と役割について、代表的なルーティングプロトコルであるOSPFとEIGRPを例に挙げて詳述する。まず、OSPF (Open Shortest Path First) プロトコルにおけるHelloパケットの役割は多岐にわたる。OSPFが有効化されたルーターのインターフェースは、デフォルトで10秒ごと(ネットワークの種類による)にHelloパケットを特定のマルチキャストアドレス(224.0.0.5)宛に送信する。このパケットには、自身のルーターID、所属するエリアID、ネットワークマスク、認証情報、Helloインターバル、Deadインターバル、そしてDR/BDR選出に使われる優先度などの重要な情報が含まれている。同じネットワークセグメントに接続された他のOSPFルーターがこのHelloパケットを受信すると、パケット内の情報と自身の情報を比較する。エリアID、ネットワークマスク、認証情報、Helloインターバル、Deadインターバルといったパラメータが一致した場合にのみ、相手をネイバーとして認識し、ネイバー関係の確立プロセスへと進む。これらのパラメータが一致しない場合、設定の不整合とみなされ、ネイバー関係は確立されない。これは、ネットワーク全体で一貫した設定を保ち、意図しない経路情報の交換を防ぐために不可欠な仕組みである。

さらに、OSPFではHelloパケットを通じて生存確認を行う。Deadインターバルは、ネイバーからのHelloパケットを待つ最大時間であり、通常はHelloインターバルの4倍に設定される。例えばHelloインターバルが10秒なら、Deadインターバルは40秒となる。あるネイバーからのHelloパケットを40秒間受信できなかった場合、そのネイバーはダウンしたと判断し、ネイバー関係を解消する。その後、トポロジー変更があったとして経路の再計算を行い、ネットワーク全体の経路情報を更新する。この迅速な障害検知と経路の再計算が、ネットワークの安定稼働に寄与している。また、イーサネットのようなマルチアクセスネットワークでは、HelloパケットはDR(代表ルーター)とBDR(バックアップ代表ルーター)を選出するためにも利用される。各ルーターはHelloパケットに自身の優先度情報を含めて送信し、最も優先度の高いルーターがDRに選出される。

次に、EIGRP (Enhanced Interior Gateway Routing Protocol) においてもHelloパケットは同様に重要な役割を担う。EIGRPルーターは、Helloパケットをマルチキャストアドレス(224.0.0.10)宛に定期的に送信し、ネイバーの発見と維持を行う。EIGRPのHelloパケットには、AS(自律システム)番号や、メトリック計算に用いるK値と呼ばれる重み付け係数などが含まれる。OSPFと同様に、ネイバー関係を確立するためには、AS番号とK値が両方のルーターで一致している必要がある。これらの値が異なると、経路計算の基準が異なることになり、正常なルーティングが行えないためである。EIGRPの生存確認の仕組みはホールドタイムと呼ばれるタイマーで管理される。ホールドタイムは、ネイバーがダウンしたと判断するまでの時間であり、通常はHelloパケット送信間隔の3倍に設定される。ルーターはネイバーからHelloパケットを受信するたびに、そのネイバーに対するホールドタイムをリセットする。もし、ホールドタイムがゼロになるまで次のHelloパケットが届かなければ、ネイバーがダウンしたと判断し、経路情報を更新する。この仕組みにより、EIGRPもまた、ネットワーク障害を迅速に検知し、代替経路へ素早く切り替えることが可能となる。

このように、Helloパケットは単なる挨拶や生存確認の信号にとどまらず、ダイナミックルーティングプロトコルが正しく機能するための基本情報を含んでいる。ネイバー関係を確立するためのパラメータ交換、ネットワークトポロジーの一貫性の維持、そして障害発生時の迅速な検知という複数の重要な責務を担っている。システムエンジニアは、ネットワークの設計やトラブルシューティングにおいて、これらのプロトコルが交換するHelloパケットの内容やタイマー設定を正しく理解し、適切に設定することが求められる。Helloパケットの流れを監視することで、ネイバー関係がなぜ確立されないのか、あるいはなぜ不安定なのかといった問題の原因究明に繋がることも多い。したがって、Helloパケットは、動的で回復力の高い現代のネットワークを支える、目立たないながらも極めて重要な技術要素である。

関連コンテンツ