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NNTP(エヌエヌティーピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

NNTP(エヌエヌティーピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ネットワークニュース転送プロトコル (ネットワークニュースてんそうプロトコル)

英語表記

NNTP (エヌエヌティーピー)

用語解説

NNTP (Network News Transfer Protocol) は、インターネット上でニュース記事を転送するために設計されたアプリケーション層プロトコルである。このニュース記事とは、Usenet(ユーゼネット)と呼ばれる、世界規模の分散型電子掲示板システムにおける投稿を指す。NNTPは、World Wide Webが広く普及する以前から、インターネットユーザーが不特定多数と情報を共有し、議論を交わすための主要な手段であったUsenetにおいて、ニュースサーバー間で記事を相互に交換したり、ユーザーがニュースリーダーと呼ばれるクライアントソフトウェアを使ってニュースサーバーから記事を読み込んだり、新しい記事を投稿したりすることを可能にする基盤技術として機能した。

Usenetは、特定のテーマごとに「ニュースグループ」と呼ばれるカテゴリに分けられた議論の場を提供し、NNTPはそのニュースグループ内の記事が世界中のサーバーに効率的に配信され、ユーザーがそれにアクセスできる仕組みを実現した。電子メールが特定の個人間でのやり取りを目的とするのに対し、UsenetとNNTPは、共通の関心事を持つ人々が情報を公開し、議論を交わすためのフォーラムを提供した。このシステムは、今日のインターネットコミュニティ、例えばWeb掲示板やフォーラム、ソーシャルネットワーキングサービスの原型とも言える存在である。

詳細に入ると、NNTPがUsenetシステム内でどのように機能していたか、その役割がより明確になる。Usenetシステムは、多数のニュースサーバーが相互に接続されて構築されており、これらのサーバーはNNTPを使ってニュース記事を交換していた。このサーバー間の記事交換は、基本的に「プッシュ型」で行われる。あるニュースサーバーに新しい記事が投稿されると、そのサーバーはNNTPを使って接続されている他のサーバーにその記事を「プッシュ」(転送)する。このプロセスが連鎖的に繰り返されることで、記事はUsenetネットワーク全体に効率的に伝播し、世界中のユーザーがほぼリアルタイムで同じ記事を閲覧できる状態になった。この分散型のアーキテクチャは、単一のサーバーに障害が発生してもシステム全体が停止しないという点で、非常に堅牢で信頼性が高かった。

ユーザーがニュース記事を閲覧したり投稿したりする際には、ニュースリーダーと呼ばれる専用のクライアントソフトウェアを使用する。このクライアントソフトウェアはNNTPを使ってニュースサーバーと通信する。クライアントは、まずニュースサーバーから利用可能なニュースグループのリストを取得し、次に特定のニュースグループを選択して、そのグループ内の記事のヘッダ情報(件名、投稿者、日付など)の一覧を要求する。ユーザーが読みたい記事を見つけると、クライアントはNNTPを介してその記事の本文をサーバーから「プル」(取得)する。新しい記事を投稿する場合も、クライアントはNNTPを使って作成した記事をニュースサーバーに送信する。サーバーはその記事を受け取ると、上述のプッシュ型のメカニズムによって他のサーバーに転送し、記事がUsenet全体に広まる手助けをする。

NNTPが提供する主な機能は、ニュースサーバー間の記事の同期、クライアントによるニュースグループのリスト取得、記事のヘッダ情報(Subject, From, Newsgroupsなど)の取得、記事本文の取得、そして新しい記事や返信記事の投稿である。これらの機能は、TCP/IP上で動作し、通常はポート番号119を使用する。また、セキュリティを強化するためにSSL/TLSを介して暗号化された通信を行う場合は、NNTP over SSL (NNTPS) と呼ばれ、ポート番号563を使用することもある。NNTPのプロトコル自体は、比較的シンプルなテキストベースのコマンド構造を持つため、プロトコルの実装やクライアントソフトウェアの開発が容易であったことも、その普及を助けた要因の一つである。

今日のインターネット環境では、Webベースの掲示板システム、オンラインフォーラム、ソーシャルメディアプラットフォームが主流となり、UsenetおよびNNTPの直接的な利用はかつてほど一般的ではない。多くのユーザーはWebブラウザを通じて情報にアクセスするようになり、専用のニュースリーダーソフトウェアをインストールして使用する機会は減少した。しかし、NNTPは依然として特定のニッチなコミュニティや、過去のUsenetアーカイブへのアクセス手段として機能している場合がある。特に技術的な議論や特定の趣味の分野など、歴史的にUsenetが活発であった領域では、そのアーカイブが貴重な情報源となっている場合も少なくない。また、NNTPが体現する分散型かつ非中央集権的な情報共有の思想は、後のP2P (Peer-to-Peer) ネットワークや、さらにはブロックチェーン技術など、現代のインターネット技術の発展にも影響を与えていると言える。NNTPは、今日のインターネットにおける多様な情報共有の基盤を築いた、歴史的に非常に重要なプロトコルの一つである。

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