ポリシング(ポリシング)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ポリシング(ポリシング)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ポリシング (ポリシング)
英語表記
policing (ポリスィング)
用語解説
ポリシングとは、ネットワークを流れるデータトラフィックが、あらかじめ定められた通信量や通信速度の制限(レート)を超えていないかを監視し、超過している場合に適切な処理を行う仕組みである。これは、ネットワーク帯域の公平な利用を促し、サービス品質を保証するために非常に重要な技術となる。
ポリシングは、個々のデータパケットがネットワーク上を通過する際に、そのパケットの流量やレートが、設定されたしきい値(レートリミット)を超えていないかをリアルタイムで評価する。この評価には、一般的に「トークンバケット」と呼ばれるアルゴリズムが用いられることが多い。トークンバケットは、一定の時間ごとにトークン(許可証のようなもの)を生成し、データパケットが送信されるたびにトークンを消費するという仕組みで、瞬間的な大量送信(バースト)は許容しつつも、長期的には設定された平均レートを超えることを防ぐ役割を果たす。
設定されるレートには、最低限保証されるべき通信速度を示すコミット情報レート(CIR: Committed Information Rate)や、CIRを超過しても一時的に許容される可能性があるエクセス情報レート(EIR: Excess Information Rate)などがある。また、瞬間的に許容されるバーストの最大サイズを示すコミットバーストサイズ(CBS: Committed Burst Size)やエクセスバーストサイズ(EBS: Excess Burst Size)といった値も設定される。ポリシングはこれらの設定値に基づいて、パケットを分類し、それぞれに応じたアクションを実行する。
評価の結果、パケットは通常三つの状態に分類される。一つ目は、設定されたレートの範囲内に収まっている「順守(Conform)」の状態である。この場合、パケットはそのままネットワークに転送される。二つ目は、コミット情報レート(CIR)は超えているものの、エクセス情報レート(EIR)の範囲内にある「超過(Exceed)」の状態である。この場合、パケットの優先度を低くするマークダウン処理が施されることが多い。具体的には、IPヘッダのDSCP(DiffServ Code Point)値やイーサネットフレームのCoS(Class of Service)値を変更し、ネットワークが混雑した際に最初に破棄される対象となるようにする。三つ目は、設定されたすべてのレートを大幅に超えている「違反(Violate)」の状態である。この場合、そのパケットはネットワークに転送されることなく、即座に破棄(ドロップ)される。
ポリシングの主な目的は、ネットワークの過負荷、つまり輻輳を未然に防ぐことにある。特定のユーザーやアプリケーションが大量のデータトラフィックを流すことで、ネットワーク全体が遅延したり停止したりする事態を防ぐ。また、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が顧客に対して保証する通信速度(SLA: Service Level Agreement)を遵守するためにも不可欠な技術である。これにより、契約以上の帯域を不正に利用することを防ぎ、契約内容に応じた公平なサービス提供が可能となる。さらに、ネットワークリソースを効率的に利用し、安定したネットワーク運用を維持する上で重要な役割を果たす。
ポリシングと似た機能に「トラフィックシェーピング」があるが、両者には明確な違いがある。ポリシングは、設定されたレートを超過したトラフィックに対して、即座に破棄するか、優先度を下げて転送するといったアクションを実行する。つまり、瞬時にトラフィックを制御し、違反パケットはネットワークから除去されるか、低い優先度で扱われる。これに対し、トラフィックシェーピングは、超過したトラフィックを一時的にキュー(待ち行列)に蓄え、設定されたレートに合わせてゆっくりと転送することで、滑らかなトラフィックフローを生成する。ポリシングは「超えたら即座に処理」するのに対し、シェーピングは「超えたら一旦待たせる」という点で大きく異なる。
ポリシングは様々なシーンで活用されている。例えば、インターネットサービスプロバイダがユーザーに対して「最大1Gbps」といった契約帯域を提供する場合、実際にその帯域を超過するトラフィックをポリシングによって制限し、契約内容を保証する。企業ネットワークでは、特定の部門やアプリケーション(例えば、ビデオ会議やVoIPなど、リアルタイム性が要求される通信)には十分な帯域を確保しつつ、それ以外のバックアップ通信やファイル転送などには利用可能な帯域を制限するといった制御にも用いられる。また、不正な大量アクセスや分散型サービス拒否(DDoS)攻撃などの異常なトラフィックを検知し、その通信量を制限したり破棄したりすることで、ネットワークの健全性を保つ対策としても機能する。