【ITニュース解説】3 CompTIA Network+ Concepts That Aren't Just About Memorization

2025年09月10日に「Dev.to」が公開したITニュース「3 CompTIA Network+ Concepts That Aren't Just About Memorization」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

現代のネットワーク技術では、IPv4とIPv6の共存、コードでインフラを管理するIaCやSDN、そして「誰も信用しない」ゼロトラストセキュリティという3つの概念の理解が重要だ。これらは単なる暗記ではなく実務に必須の知識である。(119文字)

ITニュース解説

現代のネットワーク技術を理解するためには、個別の技術用語を暗記するだけでなく、その背景にある大きな変化の流れを掴むことが極めて重要である。ここでは、システムエンジニアを目指す上で知っておくべき、現代ネットワークの根幹をなす3つの重要な概念を解説する。それは、IPアドレスが進化し続ける現実、ネットワーク管理がコードによって自動化される潮流、そしてセキュリティの考え方が根本から変化しているという事実である。

第一に、インターネット上の住所にあたるIPアドレスは、大きな転換期を迎えている。従来から使われてきたIPv4という規格では、約43億個のアドレスしか利用できず、インターネットに接続されるデバイスの爆発的な増加によって、その数はすでに枯渇してしまった。この問題に対応するため、NATという技術で一つのグローバルIPアドレスを複数のデバイスで共有するなどの対策が取られてきたが、これはあくまで一時的な延命策に過ぎない。根本的な解決策として登場したのが、IPv6である。IPv6は128ビットのアドレス体系を持ち、事実上無限に近い数のアドレスを生成できるため、アドレス枯渇の問題を完全に解消する。しかし、IPv4とIPv6は互換性がなく、直接通信することができないという大きな課題がある。そのため、世界中のネットワークがIPv6へ完全に移行するまでの過渡期にある現在、両方のプロトコルを共存させる技術が不可欠となっている。その代表的な方法が「デュアルスタック」である。これは、コンピューターやネットワーク機器にIPv4とIPv6の両方のアドレスを割り当て、相手がどちらのプロトコルを使っていても通信できるようにする仕組みで、現在の主流な移行戦略となっている。このように、2つの異なるプロトコルを同時に管理しなければならないハイブリッドな状況こそが、現代のネットワークの現実なのである。

第二に、ネットワークインフラの構築や管理の方法が、手作業からソフトウェアによる自動化へと大きくシフトしている。従来、ルーターやスイッチといったネットワーク機器の設定は、エンジニアが一つ一つの機器にログインし、コマンドを手で入力して行うのが一般的だった。しかし、クラウドサービスの普及に伴い、インフラの規模は複雑化・巨大化し、手作業での管理は速度や正確性の面で限界を迎えている。そこで登場したのが、「Infrastructure as Code(IaC)」という考え方である。これは、サーバーやネットワーク機器の構成情報を、プログラムコードのようにテキストファイルで記述し、そのコードを基に自動でインフラを構築・管理する手法だ。コードで管理することにより、誰が作業しても同じ環境を正確に再現できる一貫性が保たれ、大規模なシステムも迅速に展開できる。また、変更履歴の管理や問題発生時の復旧も容易になる。このIaCの概念をネットワークアーキテクチャに適用したものが「Software-Defined Networking(SDN)」である。SDNは、ネットワーク機器のデータ転送機能(データプレーン)と、通信経路などを決定する制御機能(コントロールプレーン)を分離し、制御機能をソフトウェアで集中的に管理する。これにより、ネットワーク全体を一つの司令塔から柔軟に操作できるようになり、運用の効率が劇的に向上する。例えば、SD-WANという技術はSDNの応用例であり、アプリケーションの種類や通信品質を認識し、クラウドサービスへの最適な通信経路を自動で選択することで、ユーザー体験を向上させる。

第三に、セキュリティの考え方が根本的に見直されている。かつてのセキュリティ対策は、社内ネットワークを城壁で囲むように、その内側を「信頼できる領域」、外側を「信頼できない領域」として区別する「境界型セキュリティ」が主流だった。しかし、クラウドサービスの利用やリモートワークの普及により、守るべきデータやアプリケーションが社内外に分散し、従業員も様々な場所からアクセスするようになったため、この「内と外」という境界線自体が意味をなさなくなりつつある。そこで新たな標準となりつつあるのが、「ゼロトラスト」というセキュリティモデルだ。このモデルは、「決して信頼せず、常に検証する」という原則に基づいている。つまり、社内ネットワークからのアクセスであっても、全てのユーザーやデバイスを潜在的な脅威とみなし、リソースにアクセスするたびに厳格な認証と認可を要求する。具体的には、ユーザーの役割やアクセス元の場所、時間、デバイスの状態など、複数の要素を評価してアクセスの可否を動的に判断したり、ユーザーには業務遂行に必要な最小限の権限のみを与えるといったアプローチを取る。このゼロトラストの考え方を実現する技術の一つが「SASE」であり、セキュリティ機能をネットワークと統合してクラウド上で提供することで、ユーザーがどこにいても、どこにあるリソースにアクセスしても、一貫したセキュリティポリシーを適用する。また、物理的に離れたデータセンターやクラウドをまたいで、安全で論理的な一つのネットワークを構築するVXLANのような技術も、この新しいセキュリティモデルを支える上で重要な役割を担っている。

IPアドレスの共存、ネットワークのコード化、そしてゼロトラストセキュリティという3つの概念は、それぞれが独立しているわけではなく、相互に深く関連しながら現代のネットワークを形作っている。これらの根本的な変化を理解することは、単に試験に合格するためだけでなく、これからのIT業界で活躍するシステムエンジニアにとって、変化に対応し続けるための強固な土台となるだろう。