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RNDIS(アールエヌディーアイエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

RNDIS(アールエヌディーアイエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

リモート・ネットワーク・ドライバ・インターフェイス・仕様 (リモートネットワークドライバインターフェイス仕様)

英語表記

RNDIS (アールエヌディーアイエス)

用語解説

RNDISは、Remote Network Driver Interface Specificationの略であり、USBデバイスを仮想的なネットワークアダプターとして機能させるためのプロトコルである。これは、Microsoftによって開発された技術であり、特にWindows環境において、USB接続されたデバイスがまるでイーサネットケーブルで接続されたかのようにIPネットワーク通信を行えるようにする。システムエンジニアを目指す初心者が日常的に利用するスマートフォンとPCのUSBテザリング機能の裏側で、しばしばこのRNDISが活用されている。

RNDISの主な目的は、USBポートしか持たないデバイスや、専用のネットワークインターフェース(例えばイーサネットポート)を持たないデバイスが、PCなどのホスト機器と容易にネットワーク通信を行えるようにすることにある。これにより、開発者はデバイスに複雑なネットワークハードウェアを搭載することなく、USBケーブル一本でPCとデバイスを接続し、IPアドレスを割り当てて標準的なネットワークプロトコル(TCP/IPなど)に基づいた通信を実現できる。これは、組み込みシステムやIoTデバイスの開発、デバッグ、初期設定の場面で非常に有用である。

RNDISの仕組みは、USBデバイスを「RNDISガジェット」、USBホスト(通常はPC)を「RNDISホスト」と見立てて動作する。USBデバイスは、通常のイーサネットネットワークで使われるデータフレーム(パケット)を、RNDISプロトコルでカプセル化(包み込み)し、USBのバルク転送という高速なデータ転送方式を用いてホストPCに送信する。ホストPC側では、RNDISドライバというソフトウェアがこれらのRNDISパケットを受け取り、その中から元のイーサネットフレームを取り出す(デカプセル化する)。そして、このイーサネットフレームをPCのオペレーティングシステムに対し、あたかも物理的なネットワークアダプターから受け取ったデータであるかのように提示する。結果として、PCはUSB接続されたデバイスを、まるで新しいネットワークカードが挿入されたかのように認識し、IPアドレスを設定して通信を開始できる状態となる。デバイスからホストへの通信だけでなく、ホストからデバイスへの通信も同様の逆の手順で行われる。

この「Remote NDIS」という名称は、Windowsが提供するネットワークドライバの標準インターフェースであるNDIS(Network Driver Interface Specification)に由来する。通常のNDISは、PCに内蔵されたり拡張スロットに挿入されたりする物理的なネットワークアダプターのドライバが、OSと通信するための規約を定義している。RNDISは、そのNDISのインターフェースを、USBという「リモート」な接続を介して実現するためのものであると言える。これにより、Windowsのネットワークスタックは、USB接続されたRNDISデバイスを既存のネットワークアダプターと区別なく扱えるため、アプリケーション層のプログラムは、それが物理的なイーサネット接続であるかRNDISによる仮想的な接続であるかを意識することなく、IP通信を利用できるという大きな利点がある。

RNDISの利用による主な利点はいくつか挙げられる。まず、既存のTCP/IPプロトコルスタックや、その上で動作するFTP、HTTP、SSHといった様々なネットワークアプリケーションをそのまま利用できる点である。特別な通信プロトコルを開発する必要がなく、汎用的なネットワークツールやライブラリを活用できるため、開発コストと時間の削減に貢献する。次に、WindowsオペレーティングシステムにはRNDISの標準ドライバが組み込まれていることが多く、特別なドライバのインストールなしにプラグ&プレイでデバイスを認識し、すぐにネットワーク通信を開始できる場合が多い。これにより、ユーザーは手間なくデバイスとのネットワーク接続を確立できる。さらに、デバイス開発者側から見ても、複雑なネットワークドライバを独自に実装する手間が省け、RNDISという標準化されたインターフェースを利用することで、開発の負担を軽減できるというメリットがある。

具体的な応用例としては、前述のスマートフォンのUSBテザリングが最も身近な例である。スマートフォンをPCにUSBケーブルで接続し、テザリング機能を有効にすると、PC側には新しいネットワークアダプターとしてスマートフォンが認識され、スマートフォンのモバイルデータ通信回線を通じてPCがインターネットに接続できるようになる。この際、多くの場合RNDISプロトコルが使用されている。また、ラズベリーパイのようなシングルボードコンピュータや、各種開発ボード、組み込み機器が、初期設定時やデバッグ時にPCとネットワーク接続を行う際にもRNDISが活用されることがある。例えば、ディスプレイやキーボードを持たない組み込み機器をPCにUSB接続し、RNDIS経由でIPアドレスを設定してSSH接続を行うことで、遠隔からコマンド操作やファイル転送を行うといった用途が考えられる。

RNDIS以外にもUSB経由でネットワーク機能を提供する規格は存在するが、RNDISは特にWindows環境においてそのドライバサポートの充実度と普及率の高さから、デファクトスタンダードの一つとして広く採用されている。これにより、Windowsユーザーにとっては、様々なUSBデバイスが提供するネットワーク機能を容易に利用できる環境が実現されている。RNDISは、USBという汎用的なインターフェースを通じて、多様なデバイスにIPネットワーク機能を手軽に付与することを可能にする、現代のITシステムにおいて重要な役割を担う技術であると言える。

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