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Tomcat(トムキャット)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Tomcat(トムキャット)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

トムキャット (トムキャット)

英語表記

Tomcat (トムキャット)

用語解説

Tomcatとは、オープンソースのJavaサーブレットコンテナであり、Webサーバーとしての機能も一部持つソフトウェアである。Apacheソフトウェア財団によって開発・管理されており、Javaで開発されたWebアプリケーションを実行するための標準的な環境として広く利用されている。

概要: Tomcatは、Webアプリケーション、特にJava言語で書かれたWebアプリケーションを動かすために必要不可欠な存在である。インターネットの裏側で、私たちが普段利用する様々なWebサービスが動いているが、その多くはサーバーサイドで何らかのプログラムが動作している。JavaのWebアプリケーションでは、そのプログラムがサーブレットやJSP(JavaServer Pages)と呼ばれる形式で書かれることが一般的である。Tomcatの最も重要な役割は、これらのサーブレットやJSPを実行するための「コンテナ」を提供することにある。コンテナとは、アプリケーションの実行に必要な環境と管理機能を提供するものであり、Tomcatはサーブレットのライフサイクル管理、リクエストの受け付けと処理、レスポンスの生成といった、Webアプリケーションが動作するために必要な基盤を提供する。これにより、開発者は複雑なサーバーサイドの通信やリソース管理の詳細に気を取られることなく、ビジネスロジックの開発に集中できる。また、HTTPリクエストを受け付けてWebアプリケーションに渡し、その結果をクライアント(Webブラウザなど)に返すというWebサーバーの基本的な機能も備えているため、Tomcat単体でWebアプリケーションを公開することも可能である。しかし、その本質はWebアプリケーションの実行環境であるサーブレットコンテナにあり、大規模な静的コンテンツ配信や高度な負荷分散など、純粋なWebサーバーが専門とする機能については、別途Apache HTTP ServerやNginxといった専用のWebサーバーと連携して利用されることが多い。JavaのWeb技術を学ぶ上で、Tomcatは避けて通れない基本的なソフトウェアであり、多くの企業システムや開発現場で採用されている信頼性の高いプラットフォームである。

詳細: Tomcatの歴史は、Sun Microsystems(現在はOracleの一部)がJavaのWeb技術であるサーブレットとJSPの仕様を策定したことに端を発する。Tomcatは、これらの公式な参照実装として開発が始まり、後にApacheソフトウェア財団に移管され、Apacheプロジェクトの一つとして発展してきた。そのため、TomcatはJavaのサーブレットAPIとJSP仕様を厳格に実装しており、Java EE(Enterprise Edition)技術群の中でも「Web Profile」と呼ばれるWeb関連の最小限の仕様に準拠している。これにより、Javaの標準仕様に沿ったWebアプリケーションが確実に動作する環境を提供する。

Tomcatの主要な機能は、その内部アーキテクチャを理解することでより明確になる。Tomcatは主に以下の3つのコンポーネントで構成されている。

  1. Catalina(カタリーナ): これはTomcatの中核であり、サーブレットコンテナそのものである。クライアントからのリクエストを受け付け、設定されたWebアプリケーション内の適切なサーブレットにルーティングし、サーブレットのライフサイクル(初期化、実行、破棄)を管理する。セッション管理、セキュリティ管理、アプリケーションのリソース管理(データベース接続プールなど)もCatalinaの重要な役割である。Java EEの仕様に基づいて、Webアプリケーションが正しく動作するための実行環境を提供する。

  2. Coyote(コヨーテ): クライアントからのHTTPリクエストを実際に受け付けるコネクタコンポーネントである。Coyoteは様々なプロトコルに対応しており、最も一般的にはHTTP/1.1プロトコルを介してWebブラウザと通信する。WebブラウザからTomcatへのHTTPリクエストを処理し、Tomcat内部のCatalinaに渡す役割を担う。また、Apache HTTP Serverのような他のWebサーバーとの連携のために、AJP(Apache JServ Protocol)プロトコルもサポートしている。Coyoteが受け取ったリクエストは、内部的にCatalinaに渡され、処理された結果は再びCoyoteを通じてクライアントに返される。

  3. Jasper(ジャスパー): JSPエンジンである。JSPファイルは、HTMLの中にJavaコードを埋め込んだ形式で書かれるが、そのままではWebアプリケーションとして実行できない。Jasperは、これらのJSPファイルを動的にJavaのサーブレットクラスに変換(コンパイル)し、Catalinaが実行できる形にする役割を担っている。これにより、開発者はHTMLのような形式で動的なWebページを容易に作成できる。

Tomcatの利用例は非常に幅広い。例えば、企業の顧客管理システム、オンラインストアのバックエンド、ニュースサイトのコンテンツ管理、RESTful APIの提供など、Javaで開発された多岐にわたるWebアプリケーションの実行基盤として利用されている。開発環境では、IDE(統合開発環境)から直接Tomcatを起動してアプリケーションをデバッグしたり、テスト環境や本番環境では、アプリケーションサーバーとしてTomcatが常時稼働し、リクエストを処理している。Spring FrameworkやStruts、JSFといった様々なJavaのWebフレームワークも、Tomcat上で動作することを前提に設計されていることが多い。

Tomcatの大きな特徴として、まずオープンソースソフトウェアであるため、誰でも無償で利用でき、自由に改変・再配布が可能である点が挙げられる。これは、コストを抑えてシステムを構築したい企業や個人開発者にとって大きなメリットである。次に、軽量かつ高速な動作も特徴の一つである。Java EEのフルスタックなアプリケーションサーバー(例えばWildFlyやGlassFish、商用ではWebLogicやWebSphereなど)と比較して、Tomcatはサーブレット/JSPに特化しているため、必要なリソースが少なく、起動も高速である。この「軽量さ」が、特にマイクロサービスアーキテクチャを採用するようなシステムで重宝される理由の一つとなっている。また、長期にわたる開発と大規模なコミュニティのサポートにより、非常に高い信頼性と安定性を誇る。豊富なドキュメントや活発なフォーラムが存在するため、問題が発生した際にも解決策を見つけやすい。さらに、Windows、Linux、macOSなど、様々なオペレーティングシステム上で動作するクロスプラットフォーム対応も大きな利点である。

Tomcatは単体でもWebアプリケーションを実行できるが、実運用では他のソフトウェアと連携することが多い。前述したように、大量の静的コンテンツ(画像、CSS、JavaScriptファイルなど)の配信性能を向上させたい場合や、複数のTomcatインスタンスへの負荷分散、SSL/TLS終端処理、高度なURLルーティングなどが必要な場合には、Apache HTTP ServerやNginxといった専用のWebサーバーをTomcatの前に配置し、リバースプロキシとして利用することが一般的である。これにより、それぞれのソフトウェアが得意な役割を分担し、システム全体のパフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティを向上させることが可能となる。

このように、TomcatはJavaのWebアプリケーション開発において中心的な役割を果たすソフトウェアであり、その堅牢性、柔軟性、そしてオープンソースとしての利点から、今日のWebサービスを支える重要な基盤技術の一つとなっている。システムエンジニアを目指す上で、Tomcatの理解はJavaのWeb技術の基礎を固める上で非常に重要である。

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