WebM(ウェブエム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
WebM(ウェブエム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ウェブエム (ウェブエム)
英語表記
WebM (ウェーブエム)
用語解説
WebMとは、Googleが主導し開発を進めるオープンソースの動画ファイル形式だ。Web(ウェブ)での利用に特化して設計され、特にHTML5の<video>タグを通じてウェブページ上で動画コンテンツを再生することを主な目的としている。この形式はロイヤリティフリー、つまり使用にあたってライセンス料が発生しない点が最大の特徴であり、ウェブ開発者やコンテンツ制作者が自由に利用できる環境を提供することを目指している。
WebMは、コンテナフォーマットとしてはMatroska(マトロスカ、略称MKV)のサブセットを基盤としており、動画ストリームにはVP8、VP9、そして次世代のAV1(AOMedia Video 1)といったオープンな動画コーデックを、音声ストリームにはVorbis(ヴォルビス)やOpus(オーパス)といったオープンな音声コーデックを組み合わせる。これにより、高画質・高音質でありながら、効率的なデータ圧縮を実現している。
詳細に説明すると、WebMが採用する主要な動画コーデックであるVP8は、Googleが2010年にオープンソース化したもので、比較的小さなファイルサイズで良好な画質を提供し、特にウェブ上でのリアルタイム通信やストリーミングに適している。その後継として開発されたVP9は、VP8よりもさらに高い圧縮効率を誇り、同等の画質であればVP8の約半分のビットレートで実現できるとされる。これにより、通信帯域が限られる環境でも、より高品質な動画配信が可能になった。そして、これらの技術を基盤とし、GoogleだけでなくAmazon、Apple、Facebook、Netflix、Microsoftなど、名だたるIT企業が参加する非営利団体Alliance for Open Media(AOMedia)が開発したのがAV1である。AV1は、VP9やH.265/HEVCといった既存のコーデックと比較して、さらなる圧縮効率の向上を目指しており、次世代のオープンな動画圧縮標準として大きな期待が寄せられている。高画質4K/8KコンテンツやVR/ARといった新しいアプリケーションでの利用も見据えて開発が進められており、ロイヤリティフリーでありながら、高い圧縮性能と画質を両立させることが目標だ。
音声コーデックとしては、初期にはVorbisが主に使われ、その後、より新しいOpusが導入された。Opusは、インターネットでの音声通信や音楽ストリーミングなど、幅広い用途で高品質かつ低遅延の音声を提供できる優れたコーデックであり、WebMの音声品質向上に貢献している。これらのコーデック群がすべてオープンソースかつロイヤリティフリーであるという特性が、WebMの最も重要な要素の一つだ。
従来の動画フォーマット、例えばH.264やH.265といった形式は、優れた圧縮効率を持つ一方で、利用にはライセンス料の支払いが必要となる場合が多い。これは、動画再生に対応するソフトウェアやハードウェアの開発者、さらには動画コンテンツを提供する企業にとって、コスト負担となる。特に、ウェブのようなオープンなプラットフォームにおいて、ライセンス料の発生は技術の普及を阻害する要因となりかねない。WebMは、こうしたライセンス問題を回避し、誰でも自由に動画コンテンツを作成、配信、再生できる環境を構築することで、ウェブのオープン性を維持・発展させようというGoogleの強い意志が込められている。
ウェブブラウザの対応状況を見ると、Google Chrome、Mozilla Firefox、Operaといった主要なブラウザがWebM形式の動画再生をサポートしている。Microsoft EdgeもChromiumベースになったことで対応が進み、Apple Safariもバージョンによって部分的に対応している。これにより、WebMはウェブ上で広く利用可能な動画形式の一つとして確立されつつある。YouTubeのような大規模な動画プラットフォームでも、WebM形式での動画配信が行われており、特に帯域幅の最適化や高速な再生開始が求められる環境でその真価を発揮している。プログレッシブダウンロードにも対応しているため、動画の一部をダウンロードしながら再生を開始でき、ユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与する。
WebMの利点は多岐にわたる。まず、オープン性によって技術仕様が公開されており、開発者が自由に実装や改善を行えるため、継続的な進化が期待できる。ロイヤリティフリーであることは、企業が新しい製品やサービスにWebMを採用する際の障壁を低くし、イノベーションを促進する。また、高圧縮効率なコーデックを採用しているため、少ないデータ量で高品質な動画を提供でき、特にモバイル環境や帯域幅が限られた環境でのユーザー体験を向上させる。ウェブ標準との親和性も高く、HTML5の<video>タグとの連携がスムーズであり、ウェブ技術者にとって扱いやすい。
一方で、課題も存在する。特にAV1のような新しいコーデックは、エンコード(動画を特定の形式に変換する処理)に非常に時間がかかる場合があり、高解像度コンテンツの制作においては高い計算資源と時間を要する。また、ハードウェアエンコーダーやデコーダーの普及はH.264/H.265に比べてまだ途上にあり、古いデバイスや一部の環境ではソフトウェア処理に頼らざるを得ないため、再生パフォーマンスが低下する可能性がある。しかし、これらの課題は技術の進化と普及とともに徐々に解消されるものと見られている。
将来的にWebMは、AV1コーデックのさらなる普及とハードウェアサポートの強化により、ウェブだけでなく、ストリーミングサービス、ビデオ会議システム、VR/ARコンテンツ、さらには放送業界に至るまで、幅広い分野での標準的な動画形式としての地位を確立していく可能性を秘めている。オープンソースコミュニティによる継続的な開発と、主要なIT企業のサポートが、WebMの進化を後押しするだろう。WebMは、ウェブの未来において、オープンで自由な動画エコシステムを支える重要な技術の一つとして、システムエンジニアが理解しておくべきファイル形式である。