【ITニュース解説】Introduction to Apache Iceberg using MinIO
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「Introduction to Apache Iceberg using MinIO」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Apache Icebergは、複数のファイルをデータベースのテーブルのように扱える「オープンテーブルフォーマット(OTF)」の一つだ。大量のデータを単一のテーブルとして管理し、操作を効率化する。Icebergの実装には、メタデータを記録するカタログ、処理エンジン、そしてスケーラブルなオブジェクトストレージが必要となる。
ITニュース解説
Apache Icebergは、大量のデータを効率的に管理し、分析するための非常に重要な技術であり、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、その基本的な考え方を理解しておくことは将来のキャリアにおいて大きな強みとなる。この技術は、特にクラウド環境で増え続ける巨大なデータセットを扱う際に威力を発揮する「オープンテーブルフォーマット(OTF)」と呼ばれるカテゴリに属する。OTFにはIcebergの他に、HudiやDelta Lakeといった競合する技術も存在する。これらのOTFは、データの管理方法に新しい標準をもたらし、さまざまなツールやシステムが共通のルールでデータにアクセスし、操作できるようにする役割を担う。
OTFが一体何なのか、という点から説明しよう。私たちは普段、データベースでデータを取り扱う際、データを「テーブル」という形で管理している。テーブルは行と列で構成され、特定の情報が整理されて格納されているため、必要なデータを簡単に見つけたり、更新したりできる。しかし、世の中にはデータベースに直接格納するにはあまりにも巨大で、しかも日々増え続けるようなデータ、例えばログファイルやセンサーデータ、画像ファイルなどがたくさん存在する。これらのデータは通常、大量のファイルとしてバラバラに保存されている。OTFの基本的な考え方は、これらの「バラバラに存在するファイル群」を、まるでデータベースの「一つのテーブル」であるかのように扱えるようにすることだ。
つまり、OTFは、同じ種類の情報を含む複数のファイルを一つのまとまりとして見せるための「仕様」なのである。この仕様に沿ってファイルを整理することで、システムはそれらのファイルをまるで単一のエンティティ、つまりテーブルであるかのように認識し、操作できるようになる。これにより、ファイル一つ一つを手動で管理する手間が省け、データの検索や更新、追加といった操作が、データベースのテーブルを扱うのと同じくらい簡単に、しかも高速に行えるようになる。このOTFの仕様は、特定の企業が独占するものではなく、「オープン」であるため、さまざまな開発者や企業がこの仕様に基づいたソフトウェアを開発し、多様なシステムで利用できるのが大きなメリットだ。
Apache Icebergは、まさにこのOTFの仕様を実装した技術の一つである。Icebergが提供する機能により、ユーザーは大量のファイルをあたかも単一のテーブルとして扱えるようになるだけでなく、過去の特定の時点のデータにアクセスしたり、データの更新履歴を追跡したりする「タイムトラベル」のような高度なデータ管理も可能になる。また、大量のデータの中から必要な部分だけを効率的に読み込むことで、データ分析のパフォーマンスを向上させる仕組みも備わっている。これは、データレイクと呼ばれる、生データをそのまま大量に保存するシステムにおいて、データの管理と活用を大きく改善する技術として注目されている。
Apache Icebergの仕様を実際に利用するためには、主に三つの要素が必要となる。一つ目は「カタログ」だ。カタログは、Icebergテーブルの管理台帳として機能する。具体的には、テーブルがどのようなファイルで構成されているのか、ファイルがどこに保存されているのか、そしてデータの構造(スキーマ)はどうなっているのかといった、テーブルに関するすべての「メタデータ」を管理する。メタデータとは、「データについてのデータ」のことで、例えば本のタイトルや著者、ページ数などが本のメタデータにあたる。Icebergのカタログは、このメタデータを適切に管理することで、大量のファイルからなるテーブルの全体像を常に把握し、効率的なデータアクセスを可能にする。
二つ目は「プロセシングエンジン」である。これは、実際にデータに対して処理を実行するエンジンを指す。例えば、SQLクエリを使ってデータから特定の情報を抽出したり、集計したりする際に使用される「クエリエンジン」などがこれにあたる。Icebergは特定のプロセシングエンジンに依存するわけではなく、Apache SparkやPresto、Trinoといった様々な人気のあるクエリエンジンと連携して動作できるように設計されている。これにより、ユーザーは使い慣れたツールや、自身のニーズに最適なエンジンを選んでIcebergテーブル上のデータを分析・処理できる。
三つ目は「スケーラブルストレージ」だ。Icebergテーブルの実体である大量のデータファイルは、信頼性が高く、かつ必要に応じて容量を柔軟に拡張できるストレージに保存される必要がある。このような要件を満たすものとして、「オブジェクトストレージ」が広く利用されている。オブジェクトストレージは、ファイルを「オブジェクト」という単位で管理し、インターネット経由でアクセスできるクラウドベースのストレージサービスが多い。MinIOのようなオンプレミスでも利用できるオブジェクトストレージも存在する。これらのストレージは、ペタバイト級(1ペタバイトは1000テラバイト)のデータも低コストで保存でき、非常に高い可用性と耐久性を持つため、Icebergのような大規模データ管理システムにとって不可欠な基盤となる。
このように、Apache Icebergは、カタログでメタデータを管理し、プロセシングエンジンでデータを処理し、スケーラブルストレージにデータを保存するという三位一体の仕組みによって、巨大なデータセットを効率的かつ信頼性高く管理し、高度な分析を可能にする強力なオープンテーブルフォーマットだ。システムエンジニアとしてデータに関わる仕事をする上で、このようなデータ管理の新しい潮流を理解しておくことは、今後の技術動向を把握し、より高度なシステム設計に携わるために非常に重要である。