【ITニュース解説】Why API tooling needs a reset (and what we're doing about it)

2025年09月03日に「Dev.to」が公開したITニュース「Why API tooling needs a reset (and what we're doing about it)」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

API開発では、複数のツール利用で仕様やドキュメントが同期せず、エラーや遅延が頻発し開発者を悩ませる。新ツールVoidenはAPIの設計・テスト・ドキュメント作成をコードベースで一元化し、最新情報を共有。これにより、開発効率を上げ、チーム間の連携ミスを防ぐ。オフライン・無料で利用可能だ。

ITニュース解説

現在のソフトウェア開発、特にアプリケーションが異なる部品(フロントエンドやバックエンドなど)と連携する際に使われるAPI(Application Programming Interface)の開発は、多くのシステムエンジニアにとって複雑で非効率な課題となっている。APIは、例えばスマートフォンのアプリがサーバーから最新の注文状況を取得したり、オンラインストアの商品情報を表示したりするために不可欠な通信規約や窓口のようなものであり、その設計、開発、テスト、ドキュメント作成は多岐にわたる工程を含む。

このAPI開発の現状では、様々な問題が頻繁に発生し、開発チームに大きな負担をかけている。たとえば、新しい機能としてリアルタイムの注文追跡機能を小売アプリに導入する際、バックエンドチームはAPIの仕様書をあるツールで更新するものの、フロントエンドチームは別のプラットフォームに保存された古い仕様書に基づいて作業を進めてしまうことがある。その結果、フロントエンドが特定のデータ形式(例えば入れ子になったJSONオブジェクト)を期待してユーザーインターフェースを構築したにもかかわらず、バックエンドは別の形式(例えばフラットな構造)に変更してしまう、といった事態が起こる。実際にシステムを結合した際に、注文追跡機能が正しく動作せず、顧客に誤った配送状況が表示されるという問題が発生する。このような場合、どちらの仕様が正しいのかをめぐってフロントエンドとバックエンドの間で意見の相違が生じ、問題解決のためのデバッグに多くの時間が費やされ、プロジェクトの進行が大幅に遅れてしまう。

このような状況は決して珍しいことではない。多くの開発チームがAPIの設計、テスト、ドキュメント作成に5つ、6つもの異なるアプリケーションを併用している。それぞれのツールで仕様書、テスト項目、ドキュメントが別々の場所に管理されるため、情報が同期されなくなり、古い情報に基づいて作業が進められた結果、統合段階での失敗が頻発する。フロントエンドの開発者はすでに無効な仕様書に合わせてコードを書き、バックエンドの開発者は仕様変更をドキュメントに反映させないまま更新をプッシュし、品質保証(QA)チームは何が正しい動作なのかを推測しながらテストせざるを得ない。さらに、既存のオンラインプラットフォームの中には、ユーザーごとに料金を請求したり、開発データを追跡したり、自社のクラウド環境での利用を強制したりするものもあり、開発者はそのプラットフォームのバグやサービス停止の影響まで受けてしまう。

こうした複雑な状況は、プロジェクト全体の進行を遅らせる大きな要因となる。結果として、プロジェクトの期限は守られず、クライアントからの信頼は失われ、開発者は複数のツール間を頻繁に切り替える「コンテキストスイッチング」に疲弊し、バーンアウトしてしまう。一日の大半を、異なるアプリケーションを切り替えながら仕様書を二重に確認したり、どのバージョンのドキュメントが最新であるかを議論したりすることに費やすような状況は、開発者、テックリード、QA担当者、DevOps担当者にとって、信頼性の高いソフトウェアを開発するための大きな障害となっている。

このような問題がなぜ発生するのかというと、現在のAPIツールを提供する企業が、必ずしも開発者の本当のニーズに応えようとしているわけではないからである。彼らはむしろ自社の収益を最優先し、サブスクリプション契約を獲得するために、AIダッシュボードやエンタープライズ統合といった見栄えの良い機能を次々と追加している。その結果、開発チームを特定のプラットフォームに縛り付け、データを収集し、不必要な複雑さを増大させるようなツールが市場にあふれている。API開発の現場で頭を悩ませる状況を改善するためには、開発者の働き方を真に理解し、チーム間の連携を促し、余計な情報を排除し、最終的にコードがすべてを語るようなシンプルなツールが必要とされている。

このような現状の不満から生まれたのがVoidenという新しいアプローチのツールである。その基本的な思想は非常にシンプルで、開発者がツールの都合に合わせるのではなく、ツールが開発者の働き方に適応すること、そしてAPI開発のワークフロー全体を単一のツールで完結させることにある。

Voidenはまだ開発の初期段階にあるが、無料であり、ベンチャーキャピタルに依存せず、軽量で、オフラインでも利用できる特徴を持つ。ユーザーはアカウントを作成する必要がなく、開発データがクラウドサーバーに送信されることもないため、プライバシーやセキュリティの面でも安心感がある。ツール内にはターミナル機能が組み込まれており、またAPIに関するあらゆる情報をMarkdown形式で記述できるエディターも搭載されている。

他の既存ツールにはないVoidenの重要な特徴の一つとして、DRY(Don't Repeat Yourself)原則の徹底的なサポートが挙げられる。DRY原則とは、同じ情報を繰り返し記述することを避け、一度定義したものを再利用することで効率を高め、ミスの発生を抑えるという開発の考え方である。Voidenでは、API全体で共通して使われる要素、例えば特定のHTTPヘッダーやクエリパラメータなどを一度だけ定義し、必要な場所で簡単にインポートして再利用できる。これにより、同じ情報を何度も入力する手間が省け、開発時間を大幅に短縮できるだけでなく、入力ミスや情報更新時の漏れを防ぐことにもつながる。

APIの定義やドキュメントが完成したら、ツール内のターミナルからGitコマンドを直接使用して、APIのバージョン管理を行ったり、チームメンバーと共同で開発を進めたりすることが可能だ。既存の有料ツールでよく見られるような、ユーザーごとの料金請求といった不必要な課金は発生しない。

Voidenは、API開発における複雑な状況を解消し、APIの設計、テスト、ドキュメント作成をすべて一つの場所で完結させることを目指している。これは、開発者が普段から利用しているコードエディターやGitリポジリと密接に連携するように設計されており、フロントエンド、バックエンド、品質保証(QA)、運用開発(DevOps)の全てのチームが、常に最新の、そして共通の「真実の源」に基づいて作業を進められるようにする。

Voidenが実現するAPIワークフローは、まるでコードを記述するようなシンプルさを持つ。APIの仕様は.voidという拡張子を持つMarkdownファイルに記述され、これらはアプリケーションのコードと共にGitリポジトリに保存される。これにより、APIの仕様、関連するテスト、そしてドキュメントが常にコードと同期された状態を保つことができる。開発者は、仕様書を作成し、テストを実行し、ドキュメントを生成する一連の作業を、使っているエディターから離れることなく行えるため、フロントエンドとバックエンドのチーム間の認識のずれを防ぎ、連携を強化できる。

DRY原則は設計段階から深く組み込まれており、共通して利用されるヘッダーやエラーコードといった要素は一度定義するだけで、複数のAPIにわたって簡単にインポートして利用できるため、時間の節約とヒューマンエラーの削減に貢献する。さらに、Voidenは拡張性も備えており、開発者は必要に応じて追加機能をプラグインとしてインストールしたり、自分で作成したりすることも可能だ。クラウドサービスに依存しないため、サブスクリプション料金もかからず、データ追跡も行われない。開発者は自身のマシンとコードに集中して作業を進められる。

たとえば、共通のヘッダーやクエリパラメータを一度定義し、プロジェクト全体でそれらをインポートすることで、重複した記述を避けられる。ドキュメントも同じファイル内に構築されるため、チーム全員が常に最新かつ共通の情報に基づいて作業する。これらのファイルをアプリ内のターミナルを使ってGitリポジトリにプッシュすれば、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)パイプラインにすぐに連携できる。余計なアプリケーションをいくつも立ち上げる必要はなく、古いドキュメントによる情報齟齬もなく、フロントエンドとバックエンドのチーム間での無用な衝突も防げる。

なぜこのようなツールが重要なのか。現在のAPIツール業界は、開発者の実際のニーズを満たすことよりも、ツールベンダー自身の利益を追求する方向に傾きすぎているからだ。多くの企業は、開発チームを高価なサブスクリプションに縛り付け、開発データを監視し、複数のアプリケーションを切り替えることを強いるようなプラットフォームを押しつけている。その結果として、プロジェクトの遅延や開発者の燃え尽きといった負のサイクルが繰り返され、開発現場は混乱とフラストレーションに満ちた状態にある。

Voidenは、APIの仕様、テスト、ドキュメントをシンプルでコードベースのワークフローに統合することで、これまでの開発環境にあった不要なノイズを排除し、開発チームが本来の仕事であるコードの記述や新機能の提供に集中できるようにする。このアプローチは、現在のAPI開発における複雑さと非効率性に対する強力な解決策となり得る。まずは5分間でもVoidenを試してみれば、APIがどのように一貫性を保ち、従来のツールが引き起こす煩雑さから解放されるかを、実際に体験できるだろう。