【ITニュース解説】Mastering High Availability: My Azure Load Balancer Implementation Journey
2025年10月02日に「Dev.to」が公開したITニュース「Mastering High Availability: My Azure Load Balancer Implementation Journey」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Azureのロードバランサーでアプリの高可用性を実現する手順を解説。仮想ネットワーク内に複数Webサーバーを配置し、ロードバランサーでトラフィックを分散する。サーバー障害時もサービスを継続させ、信頼性の高いシステム構築が可能になる。内部ロードバランサーを選びセキュリティも向上させた。
ITニュース解説
現代のデジタル世界において、アプリケーションが一時的に停止することは、ビジネスにとって大きな損失をもたらす。ECサイトであれば売上機会の損失に繋がり、社内システムであれば業務効率の低下を招き、顧客向けサービスであれば企業の信頼性に関わる問題となる。このような事態を避けるために、「高可用性(High Availability)」という考え方が非常に重要になる。これは、システムの一部に障害が発生しても、サービス全体が継続して利用できる状態を保つことを目指すものだ。
今回のニュース記事では、Azureの内部ロードバランサーを使って、アプリケーションの信頼性を高める具体的な手順が解説されている。ロードバランシングとは、複数のサーバーに対してネットワークトラフィックを均等に分散させる技術のことだ。これは、一台のサーバーにアクセスが集中して負荷が高まったり、そのサーバーが故障したりするリスクを解消する。ロードバランサーがない場合、すべてのトラフィックが一台のサーバーに集中し、そのサーバーが単一障害点となってしまうが、ロードバランサーがあれば、自動的に利用可能な他のサーバーへトラフィックを振り分け、アプリケーションが常に稼働し続けることを可能にする。
具体的な実装は、まず安全なネットワーク環境を構築するところから始まる。ここでは「仮想ネットワーク(Virtual Network、VNet)」が作られた。IPアドレス範囲が10.1.0.0/16の「IntLB-VNet」という名前のネットワークが用意され、さらにその中に複数の「サブネット」が分割して作成された。具体的には、Webサーバーを配置する「Backend subnet」(10.1.0.0/24)、ロードバランサーを配置する「Frontend subnet」(10.1.2.0/24)、そして安全に管理するための「Bastion subnet」だ。このようにネットワークを細かく分割することは、セキュリティの観点から非常に重要であり、異なる役割を持つコンポーネントをそれぞれ独立したネットワーク空間に配置するベストプラクティスに従っている。
次に、アプリケーションの心臓部となる「バックエンドサーバー」が準備された。今回は自動化されたテンプレートではなく、手動で3台の仮想マシン(VM)が作成された。名前は「web1」「web2」「web3」で、これらはすべてWindows Serverが動作する全く同じ構成のサーバーだ。これらのVMは「可用性セット(Availability Set)」という仕組みに登録された。可用性セットは、複数のVMが異なる物理サーバーやラック、電源などに分散して配置されることを保証し、仮に物理的な障害が発生しても、一部のVMが稼働し続けることを可能にする。また、セキュリティを高めるために、これらのVMには「パブリックIPアドレス」が割り当てられなかった。これにより、インターネットから直接これらのWebサーバーへアクセスすることはできなくなり、内部ネットワークからのアクセスに限定される。手動でのVM作成は時間がかかるものの、AzureのVM設定やネットワーク構成に関する深い理解を得る上で非常に有益だったと言える。
Webサーバーとしての機能を持たせるため、各VMにIIS(Internet Information Services)というWebサーバーソフトウェアがインストールされた。安全にVMへ接続するためには「Azure Bastion」が利用され、ブラウザ経由でリモートアクセスが可能になった。PowerShellコマンドを使ってIISをインストールし、さらに各サーバーには固有のテストページが用意された。「Web Server 1からのハロー」といったメッセージを表示させることで、後でどのサーバーが応答しているかを視覚的に確認できるようにした。このような手順は、企業向けアプリケーションが複数のサーバーに展開される際の一般的なプロセスを反映している。
そして、いよいよ「ロードバランサー」本体が構成された。主要な構成要素はいくつかある。一つは「バックエンドプール」で、これは先ほど作成したweb1、web2、web3の3台のWebサーバーを一つのグループとしてまとめたものだ。ロードバランサーはこのプール内のサーバーにトラフィックを分散する。次に「ヘルスプローブ(Health Probe)」が設定された。これは、プール内のサーバーが正常に動作しているか、応答しているかを定期的にチェックする仕組みだ。もしサーバーが故障したり、応答しなくなったりした場合、ヘルスプローブがそれを検知し、ロードバランサーはそのサーバーへのトラフィックの転送を停止する。これにより、ユーザーは常に正常に動作しているサーバーに接続できる。さらに「ロードバランシングルール」が定義された。これは、特定のポート(ここではHTTPトラフィックのためのポート80)へのアクセスをバックエンドプール内のサーバーにどのように分散するかを指示するルールだ。最後に、ロードバランサー自体が内部的に利用する「フロントエンドIPアドレス」として、10.1.0.7が割り当てられた。このIPアドレスを通じてサービスにアクセスすることになる。
今回、「内部ロードバランサー」が選択されたのは、いくつかの明確な理由がある。アプリケーションがインターネットから直接アクセスされる必要がなく、内部のビジネスアプリケーション向けに設計されている場合、内部ロードバランサーはセキュリティを大幅に強化できる。ネットワーク内で分離された環境に配置されるため、外部からの不正アクセスリスクを低減できるのだ。また、パブリックロードバランサーと比較して、コスト効率も優れている点もメリットとして挙げられる。
すべての設定が完了した後、最も重要な「テストと検証」が行われた。同じ仮想ネットワーク内の別のテスト用VMから、ロードバランサーのフロントエンドIPアドレス(10.1.0.7)にアクセスしたところ、期待通りにWebサーバーからの応答があった。さらに、ブラウザを更新するたびに、web1、web2、web3の異なるWebサーバーからのメッセージが表示されることが確認された。これは、ロードバランサーが完璧にトラフィックを3台のサーバーに分散していることを明確に示しており、今回の高可用性実現に向けた取り組みが成功した瞬間と言えるだろう。このように、ロードバランサーはアプリケーションの安定稼働と信頼性を確保するために不可欠な要素であり、システムエンジニアを目指す上で理解しておくべき重要な技術である。