IIS(アイアイエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
IIS(アイアイエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
インターネットインフォメーションサービス (インターネットインフォメーションサービス)
英語表記
IIS (アイアイエス)
用語解説
IISは、Internet Information Servicesの略称であり、Microsoft社が開発・提供するWebサーバーソフトウェアである。主にWindows Serverオペレーティングシステムに標準で搭載されており、WebサイトやWebアプリケーションをインターネット上やイントラネット上に公開するために使用される。Webサーバーの基本的な役割は、ユーザーが使用するWebブラウザからのリクエストに応じて、HTMLファイルや画像、スクリプトなどのコンテンツを送信することである。IISは、この基本的な機能に加え、アプリケーションの実行環境や高度なセキュリティ機能など、多岐にわたる機能を提供する。Windows環境でシステムを構築する際のWebサーバーの選択肢として、非常に重要な位置を占めている。特に、Microsoftが開発したプログラミング環境であるASP.NETやASP.NET Coreで作成されたアプリケーションを動作させるのに最適な環境として知られている。
IISの最大の特徴は、Windows Serverオペレーティングシステムとの高い親和性である。OSに深く統合されているため、インストールや初期設定が比較的容易に行える。管理には「IISマネージャー」というグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)ツールが提供されており、コマンドライン操作に不慣れな初心者でも直感的に設定変更やサイトの管理が可能である。また、Windowsのユーザー管理機能であるActive Directoryと連携させることで、Webサイトへのアクセス制御を組織のユーザーアカウントと連動させて行うことができ、企業内システムでの認証基盤として強力な機能を発揮する。IISは、Microsoftが開発したWebアプリケーションフレームワークであるASP.NETおよび後継のASP.NET Coreの実行環境として最適化されている。これらの技術で開発されたアプリケーションは、IIS上で高いパフォーマンスと安定性を発揮する。もちろん、静的なHTMLコンテンツの配信も高速に行える。さらに、FastCGI(Fast Common Gateway Interface)というプロトコルをサポートするモジュールを追加することで、PHPやPython、Perlなどで開発されたアプリケーションも動作させることが可能であり、幅広い開発言語に対応できる柔軟性も備えている。
アーキテクチャ面では、「アプリケーションプール」という概念が重要な役割を担っている。アプリケーションプールは、Webアプリケーションをグループ化し、それぞれを独立したプロセスで実行するための仕組みである。これにより、あるアプリケーションでエラーが発生しても、他のアプリケーションプールで実行されているアプリケーションに影響が及ぶのを防ぐことができる。各アプリケーションプールは「ワーカープロセス(w3wp.exe)」という実体で動作し、個別にメモリ使用量の上限設定やプロセスのリサイクル(定期的な再起動)などのリソース管理を行えるため、システムの安定性とセキュリティが向上する。IISはモジュール構造を採用しており、必要な機能を選択して追加・削除することができる。これにより、サーバーの役割に応じて機能を最適化し、不要なモジュールを無効にすることで、リソースの消費を抑えたり、攻撃対象領域を減らしてセキュリティを強化したりすることが可能である。例えば、URLの書き換えを行う「URL Rewrite」、特定のIPアドレスからのアクセスを制限する「IPアドレスおよびドメインの制限」、各種認証方式を提供するモジュールなど、多様な公式モジュールやサードパーティ製モジュールが存在する。
セキュリティ機能も充実している。Webサイトの通信を暗号化するためのSSL/TLS証明書の管理と設定がIISマネージャーから容易に行える。認証機能としては、誰でもアクセスできる匿名認証、Windowsのユーザーアカウントで認証するWindows統合認証、ユーザー名とパスワードで認証する基本認証やダイジェスト認証など、用途に応じた複数の方式をサポートしている。また、要求フィルター機能を使えば、特定のURLパターンやHTTPヘッダー、ファイル拡張子などを含む不正なリクエストをサーバーレベルでブロックすることができる。運用管理の面では、IISマネージャーによるGUI操作に加え、コマンドラインツールのAppCmd.exeや、スクリプト言語であるPowerShellを使用して、設定の変更やサイトの作成・削除といった操作を自動化することもできる。これにより、多数のサーバーを効率的に管理することが可能になる。また、Windowsのパフォーマンスモニターやイベントログと連携し、サーバーの負荷状況やエラーの発生を詳細に監視することができるため、問題発生時の原因究明やパフォーマンスチューニングに役立つ。IISは、Windows NT Serverの時代に登場して以来、Windows Serverの進化と共にバージョンアップを重ねてきた。バージョンが上がるごとに、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化、HTTP/2のような新しいプロトコルのサポートなど、時代に合わせて機能が拡張されている。Webサーバー市場においては、オープンソースのApache HTTP ServerやNginxが特にLinux環境で高いシェアを持つが、IISはWindows環境、特に企業内の業務システムやASP.NETで開発された商用アプリケーションの実行基盤として、依然として広く利用されている。