【ITニュース解説】#DAY 7: From Data to Detection
2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「#DAY 7: From Data to Detection」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
WindowsイベントログとSplunkを使い、ブルートフォース攻撃を検知する方法を解説。失敗ログイン(ID 4625)などのイベントを監視し、特定のパターンをSplunk検索言語(SPL)で抽出する。自動アラート設定、攻撃シミュレーション、監視ダッシュボード構築を通じ、データから脅威を特定しセキュリティを強化する手順を示した。
ITニュース解説
セキュリティの世界では、日々のシステム運用で発生する膨大な量のデータから、隠れた脅威や攻撃の兆候を見つけ出すことが非常に重要である。特にシステムエンジニアを目指す者にとって、この「データから検知へ」というプロセスを理解することは、セキュリティ意識の向上と実務能力の基礎を築く上で欠かせない。ここでは、Windowsのイベントログを分析し、代表的なサイバー攻撃の一つである「ブルートフォース攻撃」を検知する一連の流れを解説する。
まず、ブルートフォース攻撃とは何かを理解する必要がある。これは、自動化されたプログラムが、システムへの不正アクセスを試みるために、ありとあらゆるユーザー名とパスワードの組み合わせを総当たりで試行する攻撃である。この攻撃は比較的単純だが、しばしば重大なセキュリティ侵害の「前触れ」として用いられるため、早期に検知し対処することが極めて重要となる。攻撃者は、多くのシステムで使われている弱いパスワードや、簡単に推測できるパスワードを狙うことが多い。
この種の攻撃をどこで検知するかというと、Windowsシステムでは「Windowsセキュリティイベントログ」が主要な情報源となる。Windowsはシステム内で発生するほぼ全ての動作を「イベント」として記録し、それぞれに固有の「イベントID」を割り当てている。特に認証関連のイベントには注目すべきイベントIDがいくつか存在する。 例えば、イベントID 4624は「正常なログイン」を示し、システムへの正当なアクセスを意味する。一方で、イベントID 4625は「ログイン失敗」を示しており、これがブルートフォース攻撃の「確実な証拠」となり得る。さらに、イベントID 4740は「アカウントロックアウト」を示す。これは、複数回のログイン失敗後にアカウントが一時的または永続的にロックされた状態を示し、イベントID 4625と組み合わせて分析することで、ブルートフォース攻撃のパターンを特定する強力な手がかりとなる。
これらのイベントログを効果的に分析するためには、Splunkのようなログ管理・分析ツールが非常に役立つ。Splunkは、大量のログデータを取り込み、検索し、分析し、可視化する機能を提供する。Splunkの検索言語(SPL: Search Processing Language)を用いることで、複雑な条件に基づいてイベントをフィルタリングし、パターンを抽出できる。
具体的なブルートフォース攻撃の検知プロセスを見てみよう。
まず、Splunkで「Windowsセキュリティログから、ログイン失敗を示すイベントID 4625を探す」という基本的な検索を実行する。これはsourcetype="WinEventLog:Security" EventCode=4625というコマンドで行う。このコマンドは、指定されたログソースから、イベントIDが4625である全てのログを抽出する。
次に、これらのログイン失敗イベントをさらに詳細に分析し、ブルートフォース攻撃のパターンを特定する。これは| stats count by _time, user, src_ip | where count > 5 | sort - countという一連のコマンドで実現できる。このコマンドの意味を分解して説明する。
| stats count by _time, user, src_ip:前の検索結果であるログイン失敗イベントを、発生した時間、試行したユーザー名、そして攻撃元のIPアドレスごとにグループ化し、それぞれのグループで失敗の回数を数える。これにより、どのIPアドレスから、どのユーザーに対して、どのくらいの頻度でログイン失敗が起きているかを把握できる。
| where count > 5:その数えられた失敗回数が特定の閾値(例えば5回)を超えているものだけをフィルタリングする。これにより、偶然の入力ミスなどではない、意図的な試行回数の多い活動を絞り込む。
| sort - count:最後に、フィルタリングされた結果を、失敗回数が多い順に並べ替える。これにより、最も攻撃的な試行が上位に表示され、優先的に調査すべき対象が明確になる。
この一連の検索によって、特定の短い期間に、同じユーザーやIPアドレスから何度もログインが試行された履歴を効率的に見つけ出すことができる。
このような検知のための検索クエリを作成したら、次に「アラート」を作成することが重要である。毎日手動でこの検索を実行するのは現実的ではないため、アラートを自動化することで、システムが脅威を検知した際に自動的に通知を受け取れるようにする。Splunkでは、作成した検索を「アラートとして保存」し、特定の条件が満たされた場合に通知を送信するように設定できる。例えば、「この検索が0件よりも多くの結果を返した場合(つまり、ブルートフォース攻撃の兆候が見つかった場合)に、セキュリティ担当者にメールで通知する」といった設定が可能である。アラートは、本番環境のシステムでは1分ごとなど、頻繁に実行するように設定されることが多い。
アラートが正しく機能するかを確認するためには、「攻撃のシミュレーション」を行うことが不可欠である。これは、実際にLinuxシステムなどからWindowsサーバーに対して、Hydraのようなツールを使って意図的にブルートフォース攻撃を仕掛けることで、作成したアラートが期待通りに作動するかどうかをテストする。このシミュレーションは、現実の攻撃が発生する前に、検知システムが適切に機能することを検証する上で極めて重要なステップである。
最後に、これらのセキュリティイベントを「ダッシュボード」として可視化することも、セキュリティ監視の現場では広く行われている。ダッシュボードは、セキュリティアナリストがシステムの認証アクティビティを一目で把握できるように、リアルタイムの情報を集約して表示する。例えば、成功したログインと失敗したログインの推移をグラフで表示したり、ログイン失敗が多いユーザーやIPアドレスを一覧で表示したりすることで、異常な挙動を素早く視覚的に捉えることが可能になる。Splunkでは、作成した検索結果を簡単にダッシュボードパネルとして追加し、様々なグラフや表形式で表示できる。
このように、Windowsのイベントログからセキュリティイベントを収集し、Splunkのようなツールを使って高度な検索を行い、ブルートフォース攻撃のような脅威を検知し、自動アラートを設定し、さらにはダッシュボードで可視化する一連のプロセスは、セキュリティ運用の中核をなす。システムエンジニアを目指す者にとって、この流れを理解し、実践できる能力は、安全なシステムを構築し運用するために不可欠なスキルである。生データから意味のあるセキュリティ情報を抽出し、具体的な行動へと繋げる能力は、現代のIT環境においてますますその重要性を増している。