【ITニュース解説】Docker Series: Episode 17 - Advanced Docker Compose (Scaling, Dependencies, Overrides)
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Docker Series: Episode 17 - Advanced Docker Compose (Scaling, Dependencies, Overrides)」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Docker Composeで複数コンテナアプリをより効率的に管理する高度な使い方を学ぶ。サービスの複数起動で負荷分散、コンテナの起動順序指定、環境ごとの設定切り替え、コンテナが正常に動いているか確認するヘルスチェックなど、複雑なアプリ運用に役立つ機能を紹介。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上では、複数のプログラムが連携し動作する「マルチコンテナアプリケーション」の構築は避けて通れない道だ。Docker Composeは、これまで個別に管理していたコンテナ群を一括で定義・実行できる強力なツールだが、さらに複雑なシステムを効率的に管理するための高度な機能が存在する。今回は、その中でも特に重要なスケーリング、サービス間の依存関係、設定の上書き、ヘルスチェックといった機能について詳しく解説する。
まず「スケーリング」とは、サービスを実行するコンテナの数を増減させることだ。例えば、ウェブアプリケーションにアクセスが集中し、一つのウェブサーバーだけでは処理しきれなくなった場合を想像してみよう。このような時、同じウェブサーバーのコンテナを複数起動し、それぞれでアクセスを処理できるようにすれば、より多くのユーザーに対応できる。Docker Composeでは、このスケーリングを非常に簡単に行える。docker-compose up --scale web=3 -d のようなコマンドを実行するだけで、「web」という名前のサービスを3つのコンテナインスタンス(レプリカ)で動かすことが可能だ。これは、アクセス負荷を複数のコンテナに分散させる「ロードバランシング」の基本的な考え方であり、アプリケーションの安定性と可用性を高める上で非常に有効な手段となる。
次に「サービス間の依存関係」についてだ。多くのアプリケーションは、データベースやキャッシュサーバーなど、他のサービスと連携して動作する。例えば、アプリケーションのプログラムが起動する前にデータベースが起動していなければ、アプリケーションはデータベースに接続できず、エラーで停止してしまう。このような起動順序の問題を解決するのが、Docker Composeにおける依存関係の定義だ。docker-compose.yml ファイルの中で、あるサービスが別のサービスに依存することを depends_on キーワードを使って指定できる。例えば、アプリケーションサービスがデータベースサービスに依存するように設定すれば、データベースコンテナが起動してからアプリケーションコンテナが起動するという順序が保証される。しかし、ここで一つ重要な注意点がある。depends_on は、単に依存するコンテナが「起動を開始した」ことを確認するだけであり、そのコンテナ内のサービス(この場合はデータベース)が「完全に準備できて、接続を受け付けられる状態になった」ことまでは保証しない。
この depends_on の限界を補うのが「ヘルスチェック」機能だ。ヘルスチェックは、コンテナ内のサービスが本当に正常に動作し、他のサービスからのリクエストを受け入れられる状態にあるかを周期的に確認する仕組みだ。例えば、データベースコンテナが起動しても、内部での初期化処理に時間がかかり、すぐに接続できない場合がある。このような状況でヘルスチェックを設定しておけば、データベースが実際に接続可能になるまで、他のサービスは起動を待機できる。docker-compose.yml ファイル内で healthcheck キーワードを使い、テストコマンド(例: PostgreSQLが接続可能かを確認する pg_isready)や、チェック間隔(interval)、リトライ回数(retries)などを設定できる。これにより、アプリケーションがデータベースに接続しようとしたときに、データベースがまだ準備できていないという状況を避けることができ、システム全体の信頼性が向上する。
さらに、開発、テスト、本番など、異なる環境で同じアプリケーションをデプロイする場合、設定の一部だけを変更したい場面が頻繁に発生する。例えば、開発環境ではローカルのテストデータベースを使い、本番環境ではクラウド上の高性能データベースを使うといった場合だ。「設定の上書き」は、このようなニーズに応える機能である。Docker Composeでは、複数の設定ファイルを組み合わせて使うことができる。基本的な設定は docker-compose.yml に記述し、環境固有の変更点(例えばデータベースの接続情報やログレベルなど)は docker-compose.override.yml のような別のファイルに記述する。そして、docker-compose -f docker-compose.yml -f docker-compose.override.yml up のように複数の -f オプションを使ってこれらのファイルを同時に適用することで、ベースの設定を書き換えることなく、環境に応じた柔軟な設定が可能となる。これにより、設定ミスを減らし、デプロイプロセスを効率化できる。
これらの高度な機能を活用するための実践的なヒントもいくつかある。まず、「.envファイルを使って環境変数を管理すること」だ。データベースのパスワードなどの機密情報や、環境によって変わる設定値は、Docker Composeファイルに直接書き込むのではなく、.env ファイルに記述することで、安全かつ柔軟に管理できる。次に、「開発用と本番用のComposeファイルを分けること」も重要だ。開発環境ではデバッグ用のツールや設定を含め、本番環境ではパフォーマンスやセキュリティを重視した設定にするなど、それぞれの目的に応じたファイルを用意することで、管理がしやすくなる。最後に、スケーリングしたサービス群と「リバースプロキシ」を組み合わせることで、より高度なロードバランシングを実現できる。リバースプロキシは、クライアントからのリクエストを受け付け、スケーリングされた複数のバックエンドサービス(ウェブアプリケーションコンテナなど)のどれにリクエストを転送するかを判断する役割を果たす。NginxやTraefikといったツールがその代表例だ。
これらの高度なDocker Composeの機能は、単一のコンテナを動かすだけでなく、複数のコンテナが連携する複雑なシステムを安定稼働させ、効率的に管理するための基盤となる。システムエンジニアとして、堅牢でスケーラブルなアプリケーションを構築するためには、これらの概念と実践的な使い方を習得することが不可欠である。