nginx(エヌジーインエックス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
nginx(エヌジーインエックス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エヌジーインエックス (エヌジーインエックス)
英語表記
nginx (エヌジーインエックス)
用語解説
nginxは、「エンジンエックス」と発音されるオープンソースのソフトウェアで、Webサーバー機能を中心に、リバースプロキシ、ロードバランサー、HTTPキャッシュなど、多様なネットワーク機能を提供する。その最大の特徴は、高いパフォーマンスと低メモリ消費を実現するアーキテクチャにある。特に、大量の同時接続を効率的に処理できるため、高トラフィックなWebサイトやWebアプリケーションで広く採用されている。静的コンテンツの高速配信に優れるだけでなく、動的なコンテンツを生成するアプリケーションサーバーと連携することで、現代の複雑なWebシステムにおいて不可欠な役割を担っている。
詳細を説明する。nginxは元々、C10K問題、つまり単一サーバーで1万以上の同時接続を処理するという課題を解決するために開発された経緯を持つ。この課題を解決するため、nginxはイベント駆動型(ノンブロッキング)アーキテクチャを採用している。従来のプロセス・スレッドベースのサーバーが、接続ごとに新しいプロセスやスレッドを生成するのに対し、nginxは単一のプロセスで多数の接続を効率的に管理する。これにより、メモリ使用量を抑えつつ、高い並行処理能力を発揮できる。
Webサーバーとしての役割では、主にHTMLファイル、画像、CSS、JavaScriptファイルといった静的コンテンツの配信を高速に行う。クライアントからのリクエストに対して、これらのファイルを効率的に探し出し、素早くレスポンスを返す能力は、ユーザーエクスペリエンスの向上に直結する。また、ファイルを直接提供するだけでなく、SSL/TLSによる暗号化通信の終端処理も行うことができ、通信のセキュリティを確保する。HTTP/2プロトコルにも対応しており、より効率的な通信を実現している。
リバースプロキシとしての機能は、クライアントからのリクエストを一度nginxが受け取り、その後、内部の別のサーバー(アプリケーションサーバーなど)に転送し、そのサーバーからのレスポンスを再びクライアントに返すという働きを指す。これにより、バックエンドのアプリケーションサーバーを直接インターネットに公開せず、セキュリティを高めることができる。また、nginxを間に挟むことで、クライアントにバックエンドの構造を隠蔽し、柔軟なシステム構成を可能にする。例えば、異なる種類のアプリケーションサーバーを複数組み合わせて利用する場合でも、クライアントから見れば単一の入り口として機能させることが可能だ。さらに、リバースプロキシの段階でレスポンスをキャッシュすることで、同じリクエストが来た際にバックエンドサーバーへの負荷を軽減し、高速な応答を実現する。
ロードバランサーとしての機能は、複数のバックエンドサーバーがある場合に、それらのサーバーにリクエストを均等に、あるいは特定のルールに従って分散させることを目的とする。これにより、単一のサーバーへの負荷集中を防ぎ、システム全体の可用性とパフォーマンスを向上させることができる。nginxは、単にリクエストを均等に振り分けるラウンドロビン方式だけでなく、IPアドレスに基づいて振り分けるIPハッシュ方式や、最も負荷の低いサーバーに送る最小接続数方式など、複数のロードバランシングアルゴリズムをサポートしている。これにより、システムの特性や要件に合わせて最適な分散方法を選択できる。
さらに、nginxは設定ファイルが非常に簡潔で分かりやすいという特徴も持つ。この設定ファイルは、ディレクティブと呼ばれる命令群で構成され、Webサーバーの動作、リバースプロキシの設定、ロードバランシングのルールなどを細かく定義できる。また、モジュール構造を採用しているため、必要な機能だけを組み込んで軽量に運用したり、後から機能を追加したりすることも容易だ。例えば、WebDAVモジュールや画像処理モジュールなど、様々なサードパーティ製モジュールも存在し、機能拡張の自由度が高い。
これらの特徴から、nginxは静的コンテンツを高速に配信するWebサーバーとしてだけでなく、大規模なWebアプリケーションのフロントエンドとして、複数のアプリケーションサーバーやデータベースサーバーと連携し、システム全体のパフォーマンスと安定性を向上させるための重要なコンポーネントとして利用されている。例えば、Node.js、PythonのDjango、Ruby on Railsなどで開発されたアプリケーションの前に配置され、静的コンテンツの配信、SSL終端、リクエストの振り分け、キャッシュなどを担当し、アプリケーションサーバーは動的な処理に専念させるといった使い方が一般的だ。高性能かつリソース効率に優れるため、クラウド環境やコンテナ環境との相性も良く、現代のインフラストラクチャにおいてデファクトスタンダードの一つとなっている。