【ITニュース解説】A question for experienced developers
2026年09月22日に「Medium」が公開したITニュース「A question for experienced developers」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
経験豊富な開発者への問いかけを通じ、システム開発の深い課題や実践的な知識、キャリアパスを考察する記事。初心者には見えにくい開発現場の現実や、エンジニアとして成長するためのヒントが示されている可能性がある。将来のSE像を考える上で参考になるだろう。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す上で、「DevOps」という言葉を耳にする機会は多いだろう。これは開発(Development)と運用(Operations)という二つの領域を組み合わせた造語で、ソフトウェア開発のライフサイクル全体を効率化し、より迅速で安定したリリースを目指す考え方を指す。従来の開発と運用が別々に進められていた時代には、開発チームが作ったソフトウェアを運用チームが受け取って本番環境にデプロイする際、互いの連携不足から問題が発生することも少なくなかった。DevOpsは、こうした壁を取り払い、両者が協力して一連の流れを最適化することを目指すものだ。
DevOpsエンジニアの主な仕事内容は多岐にわたる。具体的には、ソフトウェアを動かすためのサーバーやネットワークなどのインフラ環境の構築と管理、コードの変更が自動的にテストされ、本番環境にデプロイされるまでの一連の流れ(CI/CDパイプラインと呼ばれる)の設計と運用、そしてシステムが正常に動作しているかを常に監視し、問題が発生した際にすぐに対応できるような仕組み(モニタリングとアラート)の構築などが挙げられる。システムを安定稼働させるための運用業務と、新しい機能を追加するための開発業務の両方に深く関わることになるため、システム全体を俯瞰する視点が求められる。
しかし、ここで多くの初心者が疑問に思うことがあるかもしれない。DevOpsエンジニアは、具体的にどの程度の「コード」を書くのだろうか、ということだ。アプリケーションの機能を作る開発エンジニアとは異なり、DevOpsエンジニアの仕事はインフラの設定やプロセスの自動化が中心に見えるため、「あまりコードを書かないのではないか」と感じるかもしれない。しかし、その認識は必ずしも正しくない。DevOpsエンジニアは、アプリケーション開発とは異なる種類のコードを、非常に多く書くのが実情である。
まず、「Infrastructure as Code(IaC)」という考え方がDevOpsにおいて非常に重要だ。これは、これまで手作業で行われていたサーバーの構築やネットワークの設定といったインフラの定義を、プログラミング言語のようなテキストファイル(コード)として記述し、自動的に実行できるようにする手法である。手作業ではミスが発生しやすく、同じ環境を再現するのが難しいという問題があったが、IaCを使うことで、インフラの構築を自動化し、いつでも同じ設定の環境を素早く、正確に作成できるようになる。Terraform、Ansible、CloudFormationといったツールがIaCを実現するために広く使われている。これらのツールを使う際には、インフラの構成を専用の言語や記述形式でコードとして書き、それを実行することでインフラが自動的に構築・変更されるのだ。これはまさに、インフラを「プログラム」する行為であり、DevOpsエンジニアが書く重要なコードの一つである。
次に、CI/CDパイプラインの構築と運用においても、DevOpsエンジニアは多くのコードを書く。CI/CDとは、開発者がコードを変更するたびに、自動的にプログラムをビルド(実行可能な形に変換)し、テストを実行し、問題がなければ本番環境へデプロイするまでの一連のプロセスを指す。このパイプラインを構築するために、Jenkins、GitLab CI/CD、GitHub ActionsなどのCI/CDツールが利用される。これらのツール上で、ビルド、テスト、デプロイといった各ステップを自動化するためのスクリプトを書く必要がある。多くの場合、Bash(シェルスクリプト)、Python、Goといったプログラミング言語を使って、例えば「このファイルをコンパイルする」「このテストを実行する」「このサーバーにファイルをコピーする」といった具体的な指示をコードとして記述していく。この自動化スクリプトは、ソフトウェア開発のスピードと品質を保つ上で不可欠であり、DevOpsエンジニアの重要な仕事の一部となる。
さらに、システムのモニタリングとログ管理の自動化もDevOpsエンジニアの役割だ。システムが正常に動作しているかを監視し、異常があればすぐに検知して担当者に通知する仕組みを構築する。PrometheusやGrafanaといったツールを使って、サーバーの負荷やアプリケーションのエラー状況をリアルタイムで可視化するだけでなく、特定の条件を満たしたときに自動的にアラートを発報したり、問題解決のための自動化スクリプトを起動したりすることもある。ここでも、監視設定をコードで記述したり、特定のログデータを解析して必要な情報を抽出したり、カスタムスクリプトで独自の監視項目を追加したりするなど、様々な形でコードが活用される。
また、クラウドサービスを利用する場合、クラウドプロバイダが提供するSDK(Software Development Kit)を使って、プログラムからクラウド上のリソース(仮想サーバー、データベース、ストレージなど)を直接操作することもある。例えば、AWS(Amazon Web Services)のSDKを使えば、PythonやJavaScriptなどの言語でコードを書き、AWSのAPI(Application Programming Interface)を介して、新しい仮想サーバーを立ち上げたり、ストレージの容量を変更したりといった操作を自動化できる。これは、クラウド環境の管理をより柔軟かつプログラム的に行うための重要な手段であり、DevOpsエンジニアのコード記述能力が直接的に活かされる場面だ。
このように、DevOpsエンジニアが書くコードは、Webアプリケーションのビジネスロジックを実装する「機能開発」のコードとは性質が異なる。DevOpsにおけるコードは、主に「自動化」「管理」「オーケストレーション(複数のシステム連携の調整)」を目的としている。システム全体のインフラ、開発プロセス、運用プロセスを効率化し、信頼性を高めるためのツールとしてコードを用いるのだ。問題を発見し、それをコードで解決したり、作業を自動化してヒューマンエラーを防いだりすることが、DevOpsエンジニアの役割となる。
結論として、DevOpsエンジニアはアプリケーション開発者とは異なる種類のコードを非常に多く書く専門職である。インフラをコードで管理し、CI/CDパイプラインをスクリプトで自動化し、モニタリングやクラウドリソースの操作をプログラムで行う。システムエンジニアを目指すのであれば、DevOpsの考え方や、自動化のためのスクリプト、IaCツールなど、多様な技術要素とその背後にあるコードの役割を理解することが、将来のキャリアにおいて大きな強みとなるだろう。単にプログラムを書くだけでなく、システム全体の効率と安定性を追求するためにコードを活用する能力は、これからのIT業界でますます重要になっていくことは間違いない。