【ITニュース解説】Google、ネットと完全に切り離されたセキュアなオンプレミスに対応した「Gemini」正式提供を開始。Google Distributed Cloudを基盤に
2025年09月08日に「Publickey」が公開したITニュース「Google、ネットと完全に切り離されたセキュアなオンプレミスに対応した「Gemini」正式提供を開始。Google Distributed Cloudを基盤に」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Googleが、ネットから完全に切り離された環境で使える生成AI「Gemini」の提供を開始。Google Distributed Cloudというオンプレミス向けの基盤上で動作し、外部ネットワークに接続できないセキュアな環境でもGeminiの機能を利用可能にする。セキュリティが重要な分野でのAI活用を促進。
ITニュース解説
Googleは、インターネットから完全に切り離された環境で使用できる「Gemini」を正式に提供開始した。これは、企業や組織が持つ機密性の高いデータを、外部ネットワークに接続せずに安全に扱えるようにするためのものだ。Geminiは、Googleが開発した高度な生成AIモデルであり、文章の作成、翻訳、要約、質問応答など、様々なタスクを実行できる。
これまで、GeminiのようなAIモデルを利用するためには、通常、Google Cloudなどのクラウドサービスを経由する必要があった。しかし、セキュリティ上の理由や法規制により、クラウド環境にデータをアップロードできない場合もある。例えば、金融機関や政府機関、研究機関などでは、顧客情報や機密情報、研究データなどを厳重に管理する必要があるため、外部ネットワークとの接続を極力避けたいというニーズがある。
今回Googleが提供するGeminiは、「Google Distributed Cloud(GDC)」という分散クラウド基盤上で動作する。GDCは、Google Cloudの技術を基盤としており、オンプレミス環境、つまり自社のデータセンター内に設置されたサーバー上で動作させることができる。これにより、データを外部に持ち出すことなく、Geminiの高度なAI機能を活用することが可能になる。
インターネットから完全に分離された環境でGeminiを利用するメリットは大きい。まず、データ漏洩のリスクを大幅に低減できる。外部からの不正アクセスやサイバー攻撃によってデータが盗まれる心配がないため、機密性の高い情報を安心して扱える。次に、法規制やコンプライアンス要件への対応が容易になる。データの保管場所やアクセス制御などを自社で完全に管理できるため、各国のデータ保護法や業界ごとの規制に準拠しやすい。さらに、ネットワーク遅延の影響を受けにくい。クラウド環境を経由する場合、ネットワークの混雑状況によっては処理速度が低下することがあるが、オンプレミス環境であれば、そのような心配はない。
GDC上でGeminiを利用するためには、まずGDCの環境を構築する必要がある。GDCは、サーバーハードウェア、ネットワーク機器、ソフトウェアなどがセットになったアプライアンスとして提供される。企業や組織は、このアプライアンスを自社のデータセンターに設置し、Google Cloudの技術を利用して環境を構築する。Geminiは、このGDC環境上で動作するソフトウェアとして提供される。
Geminiをオンプレミス環境で利用するための具体的な手順は、以下のようになる。まず、GDCアプライアンスをデータセンターに設置し、ネットワークを設定する。次に、Google Cloudの管理コンソールからGDC環境を登録し、Geminiの利用を申し込む。その後、GeminiのソフトウェアをGDC環境にインストールし、必要な設定を行う。最後に、Geminiを利用するためのAPIやSDKをダウンロードし、自社のアプリケーションに組み込む。
GDC上でGeminiを利用する際には、いくつかの注意点がある。まず、GDCアプライアンスの設置場所や電源、ネットワーク回線などを事前に準備する必要がある。次に、GDC環境の構築やGeminiのインストール、設定には、ある程度のITスキルが必要となる。また、GDCアプライアンスの保守や運用管理も自社で行う必要がある。
Googleは、GDC上でGeminiを利用するための技術サポートやトレーニングプログラムも提供している。これらのサポートを活用することで、GDC環境の構築やGeminiの利用をスムーズに進めることができる。
今回のGoogleの発表は、AI技術の利用方法に新たな選択肢を提供するものだと言える。これまで、セキュリティ上の制約からAI技術の導入を躊躇していた企業や組織も、GDC上でGeminiを利用することで、安全かつ効率的にAIを活用できるようになる。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、オンプレミス環境でのAI活用は、今後ますます重要なスキルとなるだろう。GDCやGeminiに関する知識を深め、これらの技術を活用できるエンジニアを目指してほしい。